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ロックダウン(都市封鎖)では何が起きるか:ニューヨークからのレポート その2 「Social Distancing と3密の謎」-2020年4月6日

先日投稿した記事が今風に言うと「ワタシ史上最高にバズり」ました。かといって日頃何かと地味な活動をしていますので、何千何万というわけではありません。それでも100人強くらいの、友人、その友人、そのまた友人くらいにはNY市の今現在の雰囲気が伝わったようで喜んでいます。

私の素性も知らないのに記事に共感してスキやいいねボタンを押してくださったり、シェアしてくださったり、はたまたフォローしてくださった方、ありがとうございます。何者かをちょっとだけ書きますと、現在NYのブルックリン在住のアーティストです。海外生活が長く、以前はベルギーに住んでいたこともあり、ヨーロッパ各国にもたくさん友人がいます。日本の伝統芸能もやっているので、日本にも一年にいつもなら3回くらいは帰ります。なんだかますます怪しい人物のようですが、それ程怪しくありません。

このように、三味線の音に乗って小便小僧と自由の女神とハチ公が輪になって踊っているような脳内風景の人間なので、ロックダウン中のNYの街にいても、あちこち他の国ことが気になって仕方がありません。特に日本の新コロナウイルス対策とアメリカの対策の違いは、ずっと気になっていました。今日はその中の一つ「Social Distancing と3密」について書いてみたいと思います。私はもちろん、医療の専門家でも、感染症のエキスパートでもありません。これから書くことはNYに住んでいる私が見聞きした情報を元にした一個人の私見ですので、それぞれのご判断でご参考になさって下さい


Social Distancing について

NYの新コロナ対策で人々に推奨されてること、ズバリその第一は Social Distancing です。ソーシャル・ディスタンシング。日頃はあまり使わない言葉なので、日本語では何て訳せばいいのかな、とググってみると「社会的距離戦略」とか「社会的距離の確保」とか訳されたりしているようです。ウィキペディア(英語ページ)によると公衆衛生の専門用語としては結構古くから使われているらしく、1916年のNY市でのポリオ流行時にもこの概念があったようです。詳しく説明すると長くなりますが、要するに人と人との社会的距離を保つことで、感染症の流行拡大を防ぐ方法、ということになります。
社会的距離を保つって言われても、何それー、わかんないー、とならないように、驚くほどキリッとした目安が出されています。それは家族や同居人以外の人との距離を常に、最低限6フィート以上保つ、という目安です。(下の追記を参照)これは室内であろうと、外であろうと常に同じ。6フィートは、ほぼ2メートルくらい。2メートルの距離を、散歩中であろうが、買物中であろうが、街中の人ががんばって保つわけです。
これが譲れない最重点ルールですので、どうがんばっても2メートルの間隔をみんなが保てない場所や状況、すなわち学校、職場、集会などは閉鎖され、テレワークやオンライン授業等に切り替えられます。そして、なるべく家にいることが推奨されます。2メートルは最低限の目安で、人になるべく接触しないに越したことがないからです。また、誰かが家にいれば、その分街にスペースが生まれるわけで、どうしても外に出なければならない仕事や境遇の人の感染リスクを下げられます。この前も言いましたが、今は人に会わないことが「愛」です。引きこもりが地球を救う、という平時とはなんだか真逆みたいな価値観が出現しています。

(4/6夜追記:今回の新コロナウイルスには屋外で、6フィートの距離でも社会的距離が足りないのではないか、という専門家の説も出てきているようです。確認でき次第、追記します。ともあれ、6フィート=2メートルでも最低限と考えて行動した方が良さそうです。)

三密について


三密って壇蜜みたいだなー、というありがちな感想はともあれ、キャッチーですよね、ゴロがいい。換気の悪い「密閉空間」、多数が集まる「密集空間」、間近で会話や発声をする「密接場面」、この三つを避けよと首相官邸のPDFに書いてあります。そこには「3つの「密」が重ならないよう工夫しましょう」、とあり、「3つの条件がそろう場所がクラスター(集団)発生のリスクが高い!」とあります。3つの「密」ってたまらなくキャッチーだなあ、とつい感心してしまいますが、ポイントはそこじゃないです。キャッチーさの裏に、ちょっとした落とし穴があるんじゃないかって、どうも感じちゃうのです。このミッツのミツっていうのを聞く度、NYで<2メーター人との距離を取るべし取るべし>、と毎日呪文のように呟きながら暮らしている身としては、もやもやと腑に落ちないものが湧き上がってくるのです。まず、「密」という言葉に具体的な数値としての客観的な距離の目安がないというもやもや。私にとっては2メーターが「密」でも、あなたはの「密」は50センチかもしれないわけで。みんながどうがんばっても1メーターくらいの距離しか取れないところでも、主観的には「自分にとってはコレ全然「密」じゃない」、と思う人もいるわけで、全然役立たない目安なわけです。客観的に数値として示してくれれば、「おじさーん、2メーターより近づいてるよーん」とか言えるけど、そうじゃなければ何も言えないし。
2つ目は、3つの「密」のどれか1つでも起こっている場所は避けよと言っているのではなく「3つの「密」が重なる」ところを避けよと言っている点がもやもやします。人と6フィート=2メートルの距離を取るアメリカ式「社会的距離」対策の視点からすると、密2(密集空間)、密3(密接場面)のいずれかが単独で起こっても❌なわけです。密1の密閉空間については密閉してても2メートル間隔があればいいのかという話になりますが、こういうケースは確かにあります。NYでいうと、小さなスーパーマーケットなどがこうした例です。現在は、スーパーの中でも人と人とが2メーター以上近づかないように、入り口の外で間隔を保って並ばせ、入店制限をして換気や消毒と共に室内の環境をコントロールしています。


結論:2メートル ✖️3つのみつ=6


さて、日米それぞれから違うことをしろと言われている如き、もやもやとして「ウォーーーーン!」と思わず遠吠えしたくなるような状況の中で、もし私が今日本にいたらどうするだろうと考えてみました。結論は、三つの密の「どれか一つ」がある場所は可能な限り避ける繰り返しますけど、三つが重なる場所、じゃなくて「どれか一つでも」です。その上で、できる限り人との間隔を2メートル以上取るようにする。その間隔が取れない状況は極力避ける。つまり、3つじゃなくて3✖️2=6です。勝手に「にさんがろっく」方式とか名付けてみます。2メーターとサンミツでロック!です。(うわっ、自分で書いてて、恥ずかしいです、今)当方、広告代理店ではないので、この程度のキャッチーさしか思いつきません。アメリカと日本の対策を掛け合わせた(そのまんまですけど)強力なアプローチ(のはず)ですので、このような行動ができる境遇、環境にある方は試してみて下さい。
ただし、このロックンロール!方式が普及するには、通勤の満員電車等の対策が必要になります。そのためには、在宅勤務の推進、自粛期間に顧客が減ったり、職を失ったり、店を閉めなければならなくなる業種への休業補償、現金給付等、行政によるさまざまなサポートが必須です。民間でもできることはやっていく。この前のレポートにも書きましたが、みんなで行動様式を変えないとどうもうまくいかないようなのです。新しいコロナのいる世界は。特に、弱い人を切り捨てたり、差別したりは誰のためにもなりません。新しい旅はまだ始まったばかりです。

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