夏疾風
冬に甦る夏。
風が吹き抜けるような一瞬の思い出。
夏空の青は力強い。冬空の柔らかな青を眺めながら、あの青の力強さを脳裏に呼び覚ます。
頰にそよぐ夏の空気は涼やかだ。刺すような冬の空気を感じながら、あの涼やかさを懐かしむ。
どの残像も、くっきりと浮かび上がる。
大好きな何かに一生懸命で、結局、願いはかなわなくて。でも好きだってことは変わらなくて。
夏って、そんな季節。
夏とは違うどこかへ踏み出さなきゃならない。そこは必ず辿り着かなければならない場所で、だから耐えながら前に進む。
冬って、そんな季節。
冬の厳かさが、夏の眩しさを際立たせる。
四季は風がなびくように流れ、そして、つながっている。
切ない願いが駆け抜けた夏を、いつだって追い続ける。
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