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riako
ライオンドリーム
ライオンが夢に出てきた。
まだ子ども、かわいいライオンだった。
僕に近づいてきて、ささやいた。
「僕はちっぽけだ。でも、いつか、父さんや母さんのようになりたい。僕を守り、命がけで獲物を捕ってきてくれる母さん。たてがみを堂々となびかせながら、群れを束ねる父さん。そんな大人になりたい」
目が覚めた。
台所で、ちょっと寝ぼけ眼の母さんが朝食の準備を始めていた。「今日はトーストね。あと、昨日の残り物だけど、野菜スープつくるから。あったまるわよ」
父さんは、もう仕事に出かけていた。まだ僕がライオンと語り合っていた明け方、誰も起こさないように、そっと家を出る。玄関の鍵を開けたり閉めたりする音、たまに聞こえるんだけどね。
ライオンのように完璧な父さんと母さんじゃ、決してない。
でも、こんな朝が懐かしく、幸せだったと思える日が、きっと、いつか、来るんだろうな。
うん。なんか、今日は素敵な一日になりそうだ。
ライオンの夢。
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