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古賀史健

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古賀史健の note、2018年以降のぜんぶです。それ以前のものは、まとめ損ねました。
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2020年12月の記事一覧

ぜったいにやる、と言うしかない。

ぜったいにやる、と言うしかない。

あれは2013年の夏だったのか。

2020年の夏期オリンピック・パラリンピックの東京開催が決まったとき、ぼくは平々凡々たるフリーランスのライターだった。2020年なんて、いかにも遠い未来に感じられた。そしてぼんやり、「そのときにはぜひ、オリンピック関係の仕事がしたいなあ」と思った。たとえば「Number」みたいな雑誌で観戦記を書かせてもらえるような、そういうライターに2020年までになれるといい

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クリスマスと初詣。

クリスマスと初詣。

もういくつ寝るとお正月。あと一週間でお正月。

のんびり過ごすときのようでいて、案外と正月は忙しい。たとえばわが家の現在がそうであるように、正月を前に大掃除に追われる家庭は多いだろう。年賀状を書く人もまだまだ多いはずだし、大晦日ともなれば紅白歌合戦や「ガキ使」や格闘技の特番を見ることが、なかば恒例となっている。そして年が明けたらお屠蘇を飲んで雑煮をつくり、おせちを食べ、お年玉を渡したりもらったりし

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仕事納めを前にして。

仕事納めを前にして。

明日でいちおう、仕事納めである。

例年であれば、「もう仕事納めかあ。今年はこんな仕事があったなあ。あんな仕事もしたっけなあ。よくがんばったなあ」と自分の仕事を振り返る場面なんだけれど、今年はそれができない。一冊の本をずっと書き続け、それがまだぜんぜん終了していないからである。こまかい仕事はいくつかあったものの、基本的には来年春発売の「あの本」をただ、書き続けてきた。今年を振り返って思うのは、「ず

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おもしろかったインタビュー。

おもしろかったインタビュー。

これは、おもしろかった。

カッキーこと柿内芳文氏が勝手に師と仰ぐ「神吉春夫」さんについて語る、全三回のインタビューである。

もしカッキーが知り合いでなかったなら、こころの底から「こいつと仕事がしてみたい!」と興奮したと思う。いろんなところでインタビューを受けたり、講座や講演会に呼ばれたりしている彼だけれど、柿内芳文史上最高のインタビューになっていると断言する。

彼と本をつくっていると、一冊に

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私的スマートフォン・ショック。

私的スマートフォン・ショック。

柳澤健さんの『2016年の週刊文春』を読んだ。

『1976年のアントニオ猪木』にはじまる柳澤健さんの年号シリーズ、その最新刊だ。バブル期の週刊文春をつくった花田紀凱氏と、「文春砲」の時代を築き上げた新谷学氏の両編集長を主人公としつつ、菊池寛以来の文藝春秋史を振り返る一冊である。著者・柳澤健さん自身が文春OBであり、花田・新谷両氏とともに雑誌をつくってきた経験の持ち主でもあるため、文藝春秋や雑誌づ

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ぼくがいちばん「無敵」だったとき。

ぼくがいちばん「無敵」だったとき。

高校3年生に3学期は、ほぼない。

いや、いまの時代の話は知らないし、公立校だとまた違うのかもしれないけれど、すくなくともぼくの通った私立高校では、3学期がほとんどなかったと記憶している。受験と、補習めいた時間と、卒業準備のあれこれで、授業らしい授業はなかったはずだ。というか、「いえーい。もうなんにもしなくていいぜー!」と思った記憶だけがある。

結果、ぼくは3学期に入ってから卒業するまでのあいだ

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かっこいいおじさんは、いない。

かっこいいおじさんは、いない。

高校生のころ、メンチカツが苦手だった。

満員電車のなか、背広姿のおじさんがげっぷをする。肉と脂と玉ねぎの混じった猛烈なメンチカツ臭が、その湿り気とともにこちらの顔に振りかかる。大袈裟ではなく、ほんとに吐きそうになる。餃子や焼肉と違って、メンチカツを食べたおじさんはおのれの口臭(げっぷ臭)に無頓着だ。ああいうおじさんにはなるまい。メンチカツには手を出すまい。高校生のぼくは、固くこころに誓いながら、

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来年のことを考えるなど。

来年のことを考えるなど。

来年のことを、ぼんやり考えている。

気が早いと思いながら再来週の今日はもう、大晦日だ。来年のことを考えるのは、まったく当然のプランニングである。ひとつ決めているのは、数年ぶりに「ほぼ日」の5年手帳を復活させることだ。2021年から2025年までのぶんを購入した。きっかけとなったのは、「ほぼ日の學校」河野通和校長のインタビューだ。

肩に力の入っていない、けれどもすてきな使い方をされていて、読んで

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REQUIEM for TAMA.

REQUIEM for TAMA.

ようやく時間がとれたので。

銀座・西村画廊で開催している、横尾忠則さん「タマ、帰っておいで」展に行ってきた。

例年以上にたくさんの本を読んだ 2020年だったけれど、いちばんこころに響いた一冊を挙げよと言われたならば、ぼくは間違いなく『タマ、帰っておいで』を選ぶ。芸術家として生きるうえでの覚悟と、そこからくる(芸術家としての)当たり前がぜんぶ、この画集には詰まっているように思われた。画廊はおろ

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アクセスしない時代の言論空間。

アクセスしない時代の言論空間。

「アクセス」ってことば、死語になったなあ、と思う。

かつて(96年〜98年くらい?)インターネットは、能動的に「アクセス」するものだった。当時のぼくの感覚としては、パソコンという機械に電話線をつなぎ、プロバイダーさんという交換手に電話をかけ、インターネットさんに取り次いでもらい、そこから長電話するように人や情報と触れあうことがすなわち「インターネットする」だった。電話回線を占有しながら機械語で電

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『嫌われる勇気フェス』の振り返り。

『嫌われる勇気フェス』の振り返り。

12月12日の『嫌われる勇気フェスティバル』、無事終了しました。

事前に想像していた以上にたのしい5時間になったこと、ご視聴くださったみなさん、参加してくださったみなさん、そしてスタッフのみなさん、あらためて御礼申し上げます。YouTube上にはアーカイブも残っていますので、気になるコーナーだけでもぜひ、ご覧になってみてください。

【オープニング】わー、はじまっちゃったー。という感じで緊張気味

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「嫌われる勇気フェス」を前に。

「嫌われる勇気フェス」を前に。

明日、12月12日に「嫌われる勇気オンラインフェス」が開催されます。

【タイムテーブル】

13:00〜 オープニング
13:10〜 『嫌われる勇気』7年の歩み
13:50〜 SPトーク 株式会社ユーグレナ社長・出雲充×岸見一郎
14:40〜 SPトーク 糸井重里×田中泰延×古賀史健
16:05〜 人気 YouTuber が語る『嫌われる勇気』
16:55〜 声優・梶裕貴インタビュー&朗読動画先

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面倒くさい男との打ち合わせ。

面倒くさい男との打ち合わせ。

きのう、カッキーこと柿内芳文氏と打ち合わせをおこなった。

原稿についての打ち合わせではない。原稿はもう、個人的に「完成した」と思えるところまで行きつき、その最終稿を彼に手渡している。きのうは、本のパッケージやプロモーションプランについて話し合う予定だった。打ち合わせの冒頭、カッキーは1枚のA4用紙を差し出し、「いや、今回の最終稿をもう一度頭から読み返したんですけどね」と語りはじめた。

A4用紙

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年末までの大仕事。

年末までの大仕事。

年末までにやることが、だいたい決まった。

ぼくの場合、「やることを決める」のはほとんど「やらないことを決める」に等しい。これについては来年やればいい、あれについては1月に、これについては2月以降にでも着手すればいい。(まだ)やらないことを決めるとそのまま、やることが浮かび上がってくる。

やることのひとつに、大掃除がある。

いまのオフィスに引越してきて早2年。広々ときれいだったオフィスは(とい

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