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古賀史健

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古賀史健の note、2018年以降のぜんぶです。それ以前のものは、まとめ損ねました。
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2019年9月の記事一覧

なんて気持ちのいい「ごめんなさい」。

なんて気持ちのいい「ごめんなさい」。

スポーツを観ているとそれは、たまにやってくる。

こころから「ごめんなさい」を言いたくなるような場面が、ときどきやってくる。選手個人に対しても、チーム全体に対しても。今回もまたぼくは選手たちに、スタッフのみなさんに、平身低頭して詫びたくなってしまった。その伏線となっていたのは、五郎丸歩選手である。

ラグビーワールドカップ開催まで100日というタイミングでおこなわれた記念イベントに出席した五郎丸歩

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わたしはファンになりたい。

わたしはファンになりたい。

最近、ネパール料理をよく食べる。

もちろんあれだ。ネパールに行って、ネパールという国とそこに住む人たちが好きになって、その料理にベタ惚れしちゃったからだ。帰国後、何人ものひとにネパール旅行をおすすめした。もはやネパールのファンだし、ネパール料理のファンだと言ってもいい。

考えてみるとこの1年、ぼくはたくさんのものを好きになり、ファンになった。幡野広志さんと田中泰延さんの影響で、写真が好きになっ

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引越をして、よかったね。

引越をして、よかったね。

打ち合わせの帰り、ひさしぶりにそのビルの前に立った。

去年の冬までオフィスを構えていた、渋谷の雑居ビルだ。老朽化のあまり、取り壊しが決定してぼくらはこのビルを退去した。駅からも近く、1階にはコンビニがあり、各フロアの共用部分に男性用・女性用トイレがそれぞれある、なかなかいい物件だった。たしか2015年の3月くらいに入居したはずで、4年近い時間をここで過ごした計算になる。

自分では自分のこと、そ

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仕事になるか、ならないか。

仕事になるか、ならないか。

いろいろあって本日は、ぺだるの出社日。

出社するのもきょうで通算何日目だろうか。ありがたいことにぺだるも、ずいぶんこのオフィスに慣れてくれた。いまでも不意の物音に吠えてしまったりはするけれど、考えてみればそれは自宅でも散歩の道中でもやっちゃうことだ。

以前、海外のサイトで「オフィスに犬を連れてくるべき理由」みたいな記事を読んだことがある。その記事によるとオフィスの犬は、

① 生産性向上への寄

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参加しない人も含めた「みんな」の話。

参加しない人も含めた「みんな」の話。

いやはや、たいしたもんだなあ、と思う。

ラグビーのワールドカップだ。もともと、新国立競技場のこけら落としの場となるはずだったラグビーワールドカップ。しかし、ザハ・ハディドの案が暗礁に乗り上げ、競技場の建設が大幅に遅延。そこに漂う「オリンピック・パラリンピックには間に合わせるけど、ラグビーはもう横浜で我慢しろ」な雰囲気自体がもう、ラグビーの国内的ポジションを物語っていたし、事前の盛り上がりもイマイ

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本を書くとき、ぼくはいつも。

本を書くとき、ぼくはいつも。

これまでぼくは、およそ100冊の本をつくってきた。

簡単にできた本など、ひとつもない。どの本も苦労したし、途方に暮れた。具体的には毎回「はたしておれは、これを書き上げられるのだろうか。そんな日は、ほんとうに訪れるのだろうか」と思ってしまう。とくに本の前半、登山でいえば2合目から3合目あたりのときにつよく、それを思う。ここまで登ってきた苦しさと、雲に隠れて見えない頂上の果てしなさに、こころが折れそ

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足もとの戦闘力。

足もとの戦闘力。

『ドラゴンボール』という漫画がある。

いまさら「〜という漫画がある」なんて紹介する必要もないくらい有名な、世界レベルの大ヒット漫画だ。しかしぼくは、この作品を途中までしか読んでいない。具体的にはピッコロ大魔王と闘っていたところで「週刊少年ジャンプ」を卒業してしまった。なので、それ以降に登場したベジータさんとかフリーザさんとかのことは、よくわからない。

しかし、これが大ヒット漫画のすごいところで

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びっくりマークとはてなマーク。

びっくりマークとはてなマーク。

「おれは1日に何百通ものメールをやりとりしている」

そう豪語する人に、取材したことがある。1990年代のおわりごろ、携帯電話の3Gサービス(当時は「IMT-2000」と呼ばれていた)開始が目前に迫り、そういうのに敏感な人たちが大騒ぎしていたタイミングでの取材だ。

さすがに何百通とまではいかなくとも、当時のぼくだって毎日何十通というメールを受信していた。大半はダイレクトメールだったけれど、多い日

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思い出したら、それは。

思い出したら、それは。

朝、シャワーを浴びながら鼻歌を口ずさんでいた。

どこから降って湧いたのかわからないけれど、ぼんやりうろ覚えの歌詞のまま、森山良子さんの『今日の日はさようなら』を歌っていた。小学校の卒業式だかなにかで歌った、夕暮れどきの空を思わせる歌だ。何度かリピートするうち、ちょっと待てよ、と思った。

いつまでも 絶えることなく
友達でいよう
明日の日を 夢みて
希望の道を

歌い手は、いつまでも友達でいるこ

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レンズの沼に、おれもハマるのか。

レンズの沼に、おれもハマるのか。

北海道から帰ってきて、ぼくが真っ先にやったこと。

いや、もちろん仕事もしたし、督促状の清算をすませたりもした。犬ともあそび、散歩させたりもした。でも「これはぜったいやらなきゃ!」と鼻息を荒くしてやったこと。それはカメラのあたらしいレンズを買うことだった。これまで、ミラーレス一眼にセットとしてついてきていたズームレンズを使っていたのだけど、単焦点レンズを買うことにしたのだ。首から常時ぶら下げるには

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わたしにとって、それは切実な課題なのか。

わたしにとって、それは切実な課題なのか。

『嫌われる勇気』という本をつくったとき、ぼくは39歳だった。

刊行されたときには40歳になっていたけれど、最終稿を書き上げた時点ではギリギリ30代だったので、「ああ、40歳までにこれを書き上げることができてほんとうによかった」と思った夜のことを、いまでもよく憶えている。たぶん、昭和の時代によく言われた「40歳までにマイホーム」にも似た区切りとして、40歳までになにかを成したい、自分がこころから満

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ただ、おしゃべりをするために。

ただ、おしゃべりをするために。

月曜から火曜にかけて、北海道の帯広市に行ってきた。

その様子は、一緒に旅をした浅生鴨さん、田中泰延さん、幡野広志さんらが「#北海道のここがえーぞ」というハッシュタグをつけてたくさんツイートされていた。同じく一緒に旅した永田泰大さんは、ほぼ日刊イトイ新聞さんのなかで「鴨さんに誘われて、北海道に本を売りに行く。」というテキスト中継コンテンツをつくっている。

お前はなにをしていたのか、と言われれば、

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やっぱり、きてよかった。

やっぱり、きてよかった。

ほんとうは北海道のことを先に書くべきなのだろうけれど。

かたちから入りたがるぼくは、幡野さんがネパールで使っていたものと同じミラーレス一眼レフのカメラを購入した。幡野さんがあれほど口を酸っぱくして「写真家と同じカメラを使っても写真がうまくなるわけじゃない」と言っているのに、我慢できずに買ってしまった。最近のぺだるの写真は、ほとんどこのカメラで撮影している。

北海道で対面した幡野さんに、「これ、

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きょうのわたし、その前半戦。

きょうのわたし、その前半戦。

先ほど飛行機が羽田空港を離陸した。

つまり現在、ぼくは機上の人である。帯広行きの飛行機のなかで、パソコンを広げてこれを書いている。自分はどうしてここにいるのかと、いろんな意味で不思議に思う。

そもそも今朝、6時くらいに羽田に集合する予定だった。早朝から札幌(新千歳)に飛び、大きなレンタカーを借りて、そこからわいわい騒ぎながら帯広をめざす予定だった。それが台風15号の接近により、なにがなんだかわ

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