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信州の冬と越境読書

こんにちは。村暮らしのライター、ふみぐら社です。

冬ですね。いまさら何言ってるんですかって言われそうですが、ほんと今シーズンの信州(うちが暮らしている東信地域)は、基本、そこまで寒くなくてようやくここにきて雪が少し積もったぐらい。

※信州(長野県)は、大きく4つのエリア「北信=長野市とか」「東信=上田市とか」「中信=松本市とか」「南信=飯田市とか」で呼ばれることが多いです。

真冬日(最高気温が氷点下の日)もほとんどないです。といっても、信州の冬は長いのでまだわからないですけどね。うちはメインの暖房が「薪ストーブ」なのですが、だいたいゴールデンウィークぐらいまで稼働するのが平常運転です。

あ、だからってこの辺の人がみんな薪ストーブユーザーってことではないです。最近はエアコンと床暖房の家も多いし、あとは石油ファンヒーター、古くからのお宅だと「豆炭こたつ」も。

薪ストーブについて語ると情報量が多すぎるので、また別の機会に語らせてください。

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で、信州の冬といえば何なのか。野沢菜もそうなんですが、こっちの農家さんの話を聞いてると、なんとなく「冬は本を読む」季節なんだなって思うことが多々あります。

一瞬、想定外な過ごし方のようでいて、よくよく考えればすごく納得できるというか。特に年輩の女性の農家さんに読書好きが多いかも。

あるリンゴ農家のお母さんと話したときも、「仕事、なにしてる?」と聞かれて、僕がものかきをやってると答えると「うちも本、たくさんあるよ」と。たしか、小説では中上健二さんが好きで、なんとかっていう先生の哲学の本も読むと話してくれた記憶が。

まあ、本当に農家さんは春~秋はやることがたくさんで「(※)ずく」を出さないとできないことばかり。見てると、本当に早朝から日が暮れるまで働いてます。とてもそんな時期に本はしっかり読めない。だから、比較的農作業の少ない冬は「読書の季節」なんですよね。

※「ずく」とは信州全般で通じる方言で、なんだろう「やるべきことを真面目にちゃんとやる」という感じの意味合い。でも、うまく翻訳できない。「あの人はずくあるな」とか言います。

これは個人的な感覚でしかないけど、昔の農家さん(いまもかもしれない)は単に楽しみとして本を読んでたのではなく、本を通して森羅万象を学んでたような気がするんですよ。

それも農業の本とかだけじゃなく、小説も読めば哲学書、自然科学の本とか多様なものから学んでた。

その知識とか本からの気付きをスループットして、きっとどこかで自然相手の仕事にも生かしてたんじゃないかと。

もちろん経験則とか長年の知識も重要なんですが、それでもその年の気候、自然条件の変化、いろんな不確定要素にも対応して野菜や果物を「ちゃんと育てる」ためには、それだけじゃ足りないこともある。

それってある種の「越境学習」ですよね。いまの世の中で言う「新しい学びの方法」を、じつは読書好きの農家さんは昔から自然にやってたのかもしれないです。なんか、やっぱり農家さんすごいな。