見出し画像

ローマはプチ建築ラッシュ?


 突然の雷雨や、そうでなくてもどんよりと曇っていたり、すっきりしないお天気の続いていたローマもようやく、この土日は雲ひとつない晴天に恵まれ、一気に初夏のような陽気となった。

 そのローマでは先週から、にわかにプチ建築ラッシュともいうべき現象が発生している。

 先日新たに発表された政府令で、明日26日から、飲食店が屋外に限り、着席での営業が可能になる。もともとイタリアでは、外で食事をすることが好まれる。見晴らしのよいテラスや広場はもちろん、え!?ここで食べる?というほど、車がバンバン走る道ぞいだろうが、人がひっきりなしに通る歩道だろうが、隙あらば所狭しとばかりにテントとテーブルを並べてわさわさと賑やかに食べたり飲んだりしているのは、観光名所の風物詩と言ってもいいかもしれない。実はなんてことないパスタやパニーノだって、外で食べるだけでおいしく感じるもの。観光客でなくとも、気候がよく日が長くなるこれからの季節、お茶でも食事でも、外でいただくのは悪くない。

画像1


 
 あくまでも、制限の軽い「イエロー・ゾーン」に指定された場合のみではあるが、2月の段階では「イエロー」でも着席・店内で食べられるのはランチ(日中)のみだったのが、今回は22時までとはいえ、夕食も可能となる。ただし、ともかく、当面は屋外のみということで、飲食店が軒並み、いそいそと外テーブルの準備を始めたのは当然といえば当然の成り行きだろう。もともとテラス席があったものの、ローマが飲食店の店内飲食禁止のレッド・ゾーンに入った3月15日以来、テントをたたみ、テーブルや椅子を重ねたままだったところは、掃除をしてテーブルを整えている。さらに、これまでそうした席がなかったところも、急ピッチで簡易テラスを組み立てている。カフェ1杯だって、テラス席のあるかないかで提供できるかどうかに関わるとなれば、それはもう、テラスだって組み立てようというものだろう。たかがテラス、だがそこには明らかに、何か前向きの期待感のようなものが溢れていて、なるほど、これが建築ラッシュというものか、などと感じている。同じテントでも、薬局の外に置かれた抗原検査のそれとは180°異なる。

画像2

画像3

画像4

画像5

  同じく「イエロー」でも2月までと違うのは、屋外であれば接触を含むスポーツの解禁、劇場や映画館も開館できるようになること。さらに美術館施設は週末も開けられるようになる。いずれももちろん感染対策や人数制限を行った上とはいえ、完全ゼロ状態からすると、規制解除へ向けてイタリアは大きく梶をきることになる。
 先月の段階で、4月いっぱいは「イエロー適用なし」だったのが明日26日から、国内20州のうち6州をのぞき、イエロー・ゾーン指定となり、この新しい条件が適用される。

 日本が4度めの緊急事態宣言発出で、美術館や展覧会の突然の閉館・閉幕というニュースが次々と 飛び込んでくるのとクロスするように、イタリア国内の美術館や博物館の開館お知らせが続々と届いている。個人的には、大声で長時間話すことのない美術館等は、予約制で人数を制限することで十分危険は回避できるのでは、と思う。だがこの手強いウィルスにはまだまだ正解はないのだろう。
 まだまだ感染を抑えきれていない中での制限緩和により、もしかすると2週間もするとまた、元の木阿弥になってしまうのかもしれない。それでも緩和を求める各界の声を聞く道をここで選んだイタリアでは、きちんと必要な対策を守れるのか、感染拡大を防ぐことができるのか、一人一人の行動が試されている。

画像6

#ローマ #ローマ暮らし #エッセイ #ロックダウン #イエローゾーン #オレンジゾーン #規制緩和 #建築ラッシュ  

Fumie M. 04.25.2021


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?