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「灯台へ」 ヴァージニア・ウルフ

御輿哲也 訳  岩波文庫  岩波書店

灯台と波と夫人


次は何読もうかと思案した結果、ヴァージニア・ウルフの「灯台へ」にした。ウルフのとてもセンシティブな文章が好きなのだが、前に読んだ「オーランドー」が友人がモデルになっているのに対し、こっちは自分の両親とその一家のことが根底にある。それと、心情描写している対象がフワフワと入れ替わっていくさまが面白い。バックには波。そういう名前の作品もあった。
これ読み終わったら、次は「ダロウェイ夫人」だな、ウルフは…
(2008 04/07)

窓とドア


今読んでいる「灯台へ」に、登場人物の一人(主人公という言葉はこの小説にはふさわしくない…)のラムジー夫人の口癖として、「窓は開けて、ドアは閉めること」というのがある。なにかこの言葉が気になって考えてみたのだが、窓は自分から世界を見ること、ドアは世界が自分に侵入してくること。これを先の口癖方程式?に代入すれば、ラムジー夫人のおおまかな人柄がわかるという仕掛け。ふーん、と視線をやや上に上げてみれば、現在読んでいる第一部は「窓」というタイトルついてる。これはもう確信的。
では、「灯台」は何だろうか?考えるのはまた読み進めてから…
(2008 04/09)

時はすぎゆく


確かそんなタイトルだったはず、「灯台へ」の第2部。第1部が1日というか半日を精密に描いたものに対し、この第2部はそこから数年が一気に経過する。
まあ、それだけならある意味長編小説の常套手段なのだが、ここでの主眼は第1部の舞台の別荘。ラムジー夫妻始め人々は亡くなったり(それも3人も)いろいろロンドンなどで動きがあるのだが、それはト書きで、読者の前には戦争で忘れ去られていく別荘の荒れ果てていく様子が展開される。んで、こういう時間経過の描写が巧みなのだ、このウルフという作家は…。「オーランドー」でも同様に…
(2008 04/10)

池澤夏樹個人編集世界文学全集の鴻巣友季子訳で「灯台へ」を入手。
(2019 03/31)
(そちらの記録は以下に)


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