IVRyの2024年のAIプロダクトの進化を振り返りとAIによるコンタクトセンターの可能性
IVRyのプロダクトマネージャーの清水文明です。本名はふみあきですが、もっぱらブンメイと社内外で呼ばれています。アドベントカレンダー書いてる最中にCEOの奥西より「うんちく王」を拝命しました笑 雑学的なうんちくも大好きです。
今回はIVRyにおける2024年のプロダクトの進化を振り返り、私が取り組んでいるコンタクトセンターの事業開発を中心とした2025年のIVRyを書かせて頂きます。
AIプロダクトの進化
2024年のIVRyは一言で表すとAIシフトが更に進んだ年と言えるでしょう。1月の「AI電話代行」の正式リリースに始まり、7月には音声認識Q&A(ボイスボット)へのFAQレコメンド機能の提供、10月の株式会社リクルートが提供するレストランボード連携による「AI電話予約サービス」の正式版がリリースされました。
「AI電話代行」は音声対話によってAIが内容をヒアリングして管理画面やメールでその通話内容を確認でき、通話結果に応じてお客様が後続対応を必要に応じて実施するというサービスです。営業時間外を含む既存の顧客サポートやお問い合わせの一次対応が可能になり、業務効率化や機会損失の低減が可能になりました。
「AI電話予約サービス」は飲食店の電話予約というアクションをAIで完結させるサービスです。IVRyのAIが一次対応に留まらず、ユースケースによってアクション完結まで到達した年だったと言えます。このサービスはカスタマーが希望した日時に空きがなかった場合は近くの日時をレコメンドしたり、キャンセルにも対応しています。単なる予約に限らない人の接客のような柔軟な対応を実現しています。
音声認識Q&A(ボイスボット)をIVRyでは従来から提供してきましたが、ボイスボットを構築する際には答えを登録する作業が一つ煩雑な点としてあります。この作業に対するソリューションとして、AIがIVRyの通話歴を解析し、必要なFAQをレコメンドし、人が確認しながら登録するという機能がリリースされています。FAQを満足に揃えられているという事業者は少数であり、その課題に対してソリューションを提供しております。
今年の4月に高柳が2023年の振り返りをしておりましたが、そこからさらにAIシフトが進んだと言えます。
一方で11月にはIVRy AI FAX(β版)をリリース。IVRyが電話というコミュニケーション手段から他の手段への拡大を始めたという年にもなりました。
FAXという伝統的なコミュニケーション手段の場合従来は構造的なデータへするために何らかWeb化し、FAXというコミュニケーション手段はそのままにAIによって非構造化データを構造化するということが実現できています。
AIがコンタクトセンターの働き方を変える!
ここまではIVRyが2024年に特にAIで進化したポイントを見てきましたが、ここからは私が今IVRyにおいて取り組んでいるコンタクトセンターのユースケースを交えてIVRyのこれからついて述べたいと思います。
コンタクトセンターの業界課題
人手不足という言葉が叫ばれて久しい昨今ですが、コンタクトセンターはその中でも深刻な人手不足に悩まされている業務の一つです。コンタクトセンター業界の提案活動をしていく中で、この業界におけるAIに対する期待というのは、様々な業界の中でも突出してると感じます。
その背景は主に3つ挙げられるでしょう。1つはまず電話が繋がらないこと。これは十分な人を確保できないということもありますが、繁忙期閑散期の波に人では対応仕切れない部分も含みます。例えば、急に寒くなるとエアコンやストーブを使う人が多くなり、そのエアコンの修理やサポートの電話が増えるといった具合です。繋がらないことはシンプルに顧客体験の低下に繋がっており、電話の繋がらない企業にはカスタマーは悪い印象を持ってしまいます。カスタマーがコンタクトセンターに対する不満の調査(コンタクトセンター白書2023/株式会社リックテレコム)によるとトップの不満は電話が繋がらないことです。
2つ目はオペレーターの採用難易度が高いことです。人手不足による採用難易度が上がってるだけでなく、カスハラなどでメンタルを消耗するケースも多いため、離職率も高い業界です。コンタクトセンターを運営する事業者の自動化ニーズは高いですが、従業者にとってもAIのアシストやサポートは望まれるところでしょう。
3つ目は営業時間外などの機会損失です。どうしても人が対応する以上、24H365Dで人が対応するのはハードルが高いです。夜間帯はさらに人手を確保することが難しいことに加えて、対応コストも高くなりがちです。にも関わらず非対面のサービスはますますカスタマーからは求められており、営業時間を限定し電話のみでのサービスは機会損失を生み出してしまいます。Webによる対応など他の媒体での対応も促進は進んでいますが、電話というチャネルに対する需要、音声体験の方がテキストより優れているシーンもあり、対応は一筋縄ではいきません。
AI活用によるコールセンター課題の解決への期待
前述の課題にコンタクトセンターは従来から取り組んでおり、IVR等による自動対応というのは以前から実施されてきました。しかしながら多数はあくまで大多数の対応は人が実施することが前提となっており、IVRも柔軟な受け答えはなかなか難しく、かつ設定が難しいシステムも多いです。その結果コンタクトセンターは人手不足でありながらも、人による対応を迫られてきました。こういった背景がコンタクトセンター業界のAIに対する期待値の高さに現れていると思われます。
IVRyにおけるコンタクトセンターの取り組み
IVRyはIVR(自動応答システム)を皮切りにAI電話代行、AIによるボイスボット(音声認識Q&A)と機能を拡充してきましたが、主に中小企業向け、かつ代表電話や店舗の電話のユースケースを得意としてきましたが、大企業向け、コンタクトセンターというユースケースも拡大をしています。
実際にアソビュー様の事例のようにコンタクトセンターで大幅な自動化を達成することもでき始めています。前述したレストランボードの事例では飲食店の予約電話を実際の空き状況を確認して完了するところまでが正式版として社会実装されています。こういったワークフローのAIによる完結はコンタクトセンターで望まれるAIの使用例と言えるでしょう。
こういった課題の発信、AIによるコンタクトセンターの可能性については11月の「コールセンター/CRM デモ&コンファレンス 2024 in Tokyo」にて宮原が登壇した際の資料もありますので、こちらもご参考までに!https://speakerdeck.com/miyashino/call-center-crm-demo-and-conference-20241122
一方で、今までのIVRyはコンタクトセンター特有のプロダクト課題、既存のオペレーションと結合するようなシステム連携はあまり取り組めていない領域でした。コンタクトセンターのオペレーションをAIによって自動化率を上げつつ全体のオペレーションを最適化するにはこういった他システムとの連携を行うプロダクト開発を進めていていく予定です。これらを進めることで、注文・予約やキャンセルなどといったワークフロー的な電話業務は自動化が大きく進むでしょう。ワークフローまでAIを担うようになると、コンタクトセンターの働き方は大きく変化をするでしょう!
ユースケースはコンタクトセンターのみではありませんが、AIによる対話も更なる進化が望まれます。問い合わせに関しても、ボイスボットのように一問一答的な対話で実際の電話業務は解決しないことも多いです。
例えば「テレビが壊れた」という問い合わせがあったとします。実際のオペレーターはまず本当にユーザーがテレビが壊れたといってるが、単に操作の問題ではないのかとかを切り分けます。例えば、テレビ電源が抜けてないか、リモコンの電池が切れてないかなどです。その上でテレビがどういった状態なのかの切り分けをします。全く電源がつかないのか、それとも画面が乱れているのか。画面が乱れている場合はアンテナケーブルが緩んでいたり、破損していることがないか。切り分けの結果、故障と思わしき場合は故障受付を手配します。
このような切り分けは現状のIVRyのプロダクトではIVRとAIを組み合わせて実現できますが、問い合わせの種類が膨大なケースではIVRでは分岐が多くなってしまいまだまだうまく対応できない領域です。日々進化するLLMを利用しつつIVRyへのAIプロダクト進化を進めていく2025年になるでしょう。
私自身過去コンタクトセンターで業務していた経験からこういった業界課題を長年感じており、自分自身で業界課題そのものをダイレクトに解決に導きたいと思っていますし、プロダクトマネージャーでかつドメイン知識がある者の役割だと勝手ながら自認しています。コンタクトセンターで長年解決できなかった課題がAIによって解決に導かれ、カスタマー、働く人、事業者のすべてに豊かさを届けてくれるでしょう!
最後に
IVRyのAIは急速な進化を続けています。上記のコンタクトセンターはあくまで一例であり、あらゆる側面でやることが急拡大しています。一緒に働く仲間を大募集しています!
また年明けにはIVRyのカンファレンスとして「シゴトシフト2025」が開催されます。CEOの奥西がこの記事に記載したようなAIの活用を含めたAIによるシゴトの変化に関するセッション、他多数のセッションをご用意しております。是非こちらへのご参加もお待ちしております