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【前編】スマートホーム業界歴10年の僕が、自ら納得のいくカオスマップを作ってみた

なぜカオスマップを作ったのか

僕は、スマートホーム事業に関わり10年を迎える。これまでいくつかスマートホームのカオスマップを目にしてきたが、これまで見てきたものはどれも業界に精通している人が作ったと思われるものに出会ったことがなかった。そのため、いつも精度が微妙だなという気持ちで眺めてきたのだ。

そんななか、我が社スマートホームのプロ集団X-HEMISTRYが所属するLTA(リビングテック協会)から「スマートホームのカオスマップを作りたい、協力をしてもらえないか」という打診を頂いた。

実際に作るのは大変だなー、と思いつつも、「自分が納得のいくカオスマップを作ってみたい!」という気持ちも心の奥底にあったこともあり、打診をもらった瞬間に「やりましょう」と快諾。実際相当な時間を費やしたものの、なんとかお披露目に至ることができた。

たった今、YouTubeライブでお披露目と説明を終えたところだが、自らのnoteを使って改めて解説をしてみたい。

スマートホームは単に”便利さ”だけなのか

スマートホームの普及が遅れる日本では、スマートホームの価値についてもまだまだ認知が低く「へー、便利ですね。でも、難しそうだし私には使いこなせそうだからいらないかなー。」という声もまだまだ聞く。

もちろん、スマートホームは便利なものだし、クールなガジェットという側面もあることは確かである。アメリカを初めとした海外諸国では、そこに魅力を感じて購入する層も一定あることは確か。

スマートホーム黎明期である日本でも、まだまだそういった便利だとかクールだとかという動機でスマートホームを使い始めたり、楽しんでいる人たちもいると思う(それはそれでいいこと!)。

しかし、スマートホーム先進国のアメリカでは”人々の課題を解決する手段”としてスマートホームを位置づけ、利用者から支持を受け、事業として成功しているプレイヤーが多数出てきているのだ。そんな切り口を含んだカオスマップがあっても良いのではないかと考えていたこともあり、今回作ったカオスマップは他とひと味違う出来映えになったのではないか、と自負している。

カテゴリー別解説

今回のカオスマップは12のカテゴリーに分けて、時計のような仕切りでカテゴリーを配置している。はじめに1時のところに位置する「スマートホームセキュリティ」という領域から順に時計回りに解説をしていきたい。

スマートホームセキュリティ

スマートホームセキュリティというソリューションは、スマートスピーカーが出てくる以前からアメリカのスマートホーム市場を形作ってきた王道領域で、年々市場が拡大しているソリューション領域となっている。

日本で「ホームセキュリティいりますか?」と尋ねると、伝説的な野球プレイヤーや屈強のレスリングメダリストを使ったプロモーションが頭に浮かび「うちはいらないかなー」という人も少なくないのが日本である。

そもそも日本は安全な国という印象が根強いこともあり、日本における警備サービスの普及率は2〜3パーセント程度と言われており、一定の需要がある中で非成長市場である。ちなみにアメリカのホームセキュリティの普及率は40%にも達している。アメリカでは犯罪が多いからそんなに重要があるのか、というとそればかりが要因ではない。違いは「スマートか否か」なのである。

犯罪率が高いという印象のあるアメリカも、実はスマートなホームセキュリティが出てくるまではホームセキュリティの普及率は20%程度で非成長市場であった。それが、スマホが普及しはじめたくらいの時期からスマートホームとホームセキュリティを一体にしたサービスが世の中に出始めた。それが新たな支持層を獲得し、現在は年間15-20パーセントくらいのペースで成長を続けている。

スマートロックやスマートビデオドアベル

スマートなホームセキュリティとは?と思う方は、アメリカで200万世帯ほどのシェアを持つスマートホームセキュリティの大手Vivintのプロモーションビデオを見て頂くとわかって頂けると思う。

このビデオに表現されているように”生活の中で普段使いできるホームセキュリティ”というサービスになっており、人気のスマートロックスマートビデオドアベルなどもセットで提供されるため、防犯対策もできつつ便利なスマートホームも日常的に楽しめる、という安心感と便利さがセットになったパッケージ構成になっている。これがこれまで需要がなかった新しい層にウケ、市場が伸びている要因となっている。日本でも今日本で手に入るようなホームセキュリティはいらないと思っていても、防犯が気になるという人は少なくないはずだ。

防犯は気になるけどこれまでのホームセキュリティはいらないかな、でもスマートホームもついてくるなら良いね!という層が新たなマーケットを作っている。

スマートロックやスマートビデオドアベルについてピンと来ない方は、過去にnoteに記しているので、もしより詳しく知りたい方がいれば、是非そちらの記事も参考にして頂きたい。

スマートネットワークカメラ

スマートロックやスマートビデオドアベルに加えて人気を博しているのが、スマートネットワークカメラで、AIが搭載されたネットワークカメラのサービスが家庭でも使える価格帯で利用できるようになってきている。

このビデオにあるスマートネットワークカメラは、全世界55ヶ国に対してスマートホームセキュリティのSaaSプラットフォームを提供しているAlarm.comが提供しているものだ。これまでAIが搭載されたネットワークカメラを導入しようと思うと相当な費用がかかるものだったが、テクノロジーの進化普及により家庭でも手に入る安価なソリューションに仕上がっている。

このAlarm.comは当社のビジネスパートナーの一社。初期費用を抑えて、すぐにIoTのサブスクビジネスを新規事業として始めてみたいという企業に打ってつけのSaaSプラットフォームである。

最後に

カオスマップも僕にとっての大作だったが、このnoteも書き終えてみると1万字を超える大作になってしまったので、これ以降のカテゴリ別の解説は別のnoteにしてみたい。

僕が熟知しているスマートホーム先進国のアメリカ市場の企業にフォーカスしたロゴ分布になっていることは認識しているし、日本でも徐々に出てきているプレイヤーをつぶさに把握できているわけではないこと、各プレイヤーも競争力をつけるために日々プロダクトを充実させていることもあるので、内容について賛否両論はあるとは思うが、もし気づいたことがあれば個別に教えて頂けたらうれしいです。

僕が代表をつとめるX-HEMISTRYは、こうした海外企業とのネットワークをもつ。そんな当社は、ここに書き切れなかった幅広い最先端の情報と数多くの経験をもった日本随一のスマートホームプロ集団だと自負しています。詳しく知りたいという方はお気軽にお問い合わせください。


著者 : 新貝 文将

スマートホームに特化したコンサルティングサービスを提供するスマートホームのプロ集団X-HEMISTRY株式会社の代表取締役。

2013年から東急グループでスマートホームサービスIintelligent HOMEの事業立ち上げを牽引し、Connected Design株式会社の代表取締役に就任。

2018年には株式会社アクセルラボの取締役 COO/CPOとして、SpaceCoreサービスの立ち上げを牽引。

2019年秋にX-HEMISTRY株式会社を設立。スマートホーム事業に関連するノウハウを惜しみなく提供する形で、多くの日本企業向けにスマートホーム事業のノウハウを伝授しつつ、数々のスマートホーム事業企画/立ち上げにも寄与。

リビングテック協会発行「スマートホームカオスマップ」の製作にも深く関わり、スマートホームのエキスパートとして日本のスマートホーム業界で認知されている。

X-HEMISTRYのコーポレートサイト
https://x-hemistry.com/

X-HEMISTRYのオウンドメディア「スマートホームBase」
https://x-hemistry.com/smarthome/

X-HEMISTRYの公式note : 海外のスマートホームニュースを週一で発信中
https://note.com/x_hemistry/

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