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「かもめのジョナサン(完成版)」(リチャード・バック著 五木寛之創訳)を読んで

去年7月から毎日歩くようになり、空や雲や草木・花などとともに野鳥への関心も日に日に高まり。

図書館でも、鳥の名前が入った本に、目をひかれたりする。

「かもめのジョナサン」も、「かもめ」にひかれて、手にとる。

小説を楽しみつつ、鳥にも詳しくなれたら、まさに(?)一石二鳥(^^)

「かもめのジョナサン」は、タイトルはたびたび目にしたことがあったように思うけれど、まだ読んだことはなかった。

1970年に発表されてから、しばらくはまるで反響がなかったが、数年後から爆発的に読まれ始めた伝説の作品」で、

全世界で4000万部以上、日本でも260万部を超える大ベストセラーとなった」とある。

五木寛之さんが訳(創訳、とあるのは創作翻訳、の意だそう)というのも、読んでみたい、と思わせた。

まず、著者自身の4ページの序文から、ぐっとひきつけられる。

想像力はまるで年齢に似合わず知恵深い青年みたいなものだ。心のどこかで、何かがささやく。何かが光あふれる世界についておだやかに語り始める。その世界で歓び、悩み、絶望し、やがて勝利するキャラクターについて語り、やがて物語は美しく締めくくられる。
ただ、そこには言葉がない。(中略)そこで作家たちは、冒頭から大団円まで、自分のイメージに合う言葉を探し求める。
最初に現れる物語は、組織だっておらず、ばらばらのものでしかない。それはわたしたちの胸底に沈む想像力から出た神秘の力で生み落とされたものだ。もともとの原因は何年も前から仕込まれており、それが未知の弓から放たれた矢のように、突然姿を現すのである。

この序文を読んだとき、「この人は(ストーリーを託すことを)選ばれた人だ」と、感じた。

150ページ程の物語を、2時間半ほどで、一気に読んだ。

そこには、不思議な世界が広がっていた。

手塚治虫「火の鳥」から受け取るメッセージに、近い世界観を感じた。

150ページの中に、時空を超える、無限の広がりがあった。


当初、物語はpart1からpart3までで、構成されていた。

「長い歳月ののち、著書が自家用飛行機の事故で九死に一生を得たことをきっかけに、最終章が加えられ、」完成版が2014年に刊行された。ちょうど初版が出てから40年後ということになるらしい。

五木寛之さんは長い年月を経て付け加えられたpart4の部分を、

神秘的に神秘化を否定する

と表現されている。

part4に描かれた結末から、どう歩みを進めるのか。本書で「解答」が示されるわけではない。

「自分で考えることだ」

と、かもめのジョナサンに言われているように、思った。


「野鳥に詳しくなる」という当初のねらいは当たらなかったけれど。

人類に対する普遍的な問いを突き付けてくる、深い深い作品なのであった。


#1日6000歩  昨日7/20歩数 9,684(+3,684)歩✨

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#火の鳥 #手塚治虫






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