双子妊娠したら #2 育休について話そう(戦略的不在マネジメント編)
前回までは育休検討にあたって「デュアルキャリア」「ペースレイヤリング仮説」を紹介した。
三部作の最後として「戦略的不在マネジメント思考」について説明したい。
デュアルキャリアやキャリアペースレイヤリング仮説が育休取得について決心し期間について検討するための考え方なのに対し、今回の考え方はより実践的で、自分がいない期間少しでも職場環境を改善するための考え方だ。
戦略的不在マネジメント思考
「自分自身が不在になる期間を逆手に取って、身の回りの業務プロセスや組織マネジメントを計画的に改善すること。」
造語。
例えば、具体的には:
出席している会議の見直し。欠席しても問題ないよう調整したり、自分がファシリテーターなら統廃合したりすること。
無駄なタスクの棚卸し。
部下や後輩への権限委譲、組織自律性向上。自分の場合、これが一番効果が大きかった。
自分自身に属人化してしまっているタスクやロールのマニュアル化
駆け込みのタスク依頼(「すみません!育休に入ってしまう前にこれだけはお願いしたく…」)
数週間ないし数ヶ月物理的に不在となるので、その期間あなたがいなくとも組織が回るような引き継ぎが必要となる。
時期も前もってわかっている。どうせやるなら、思い切って振り切る。業務プロセス効率化、自分でなくともできるロール移譲など、とことんやりきってしまうこと。
どうせ復帰後は、稼働時間や意思決定リソースが制限されるデバフ状態での戦いを長期にわたって強いられることになる。
育休に入る前に頑張っておけば、後が楽になる。
この調整の際は、上長・同僚・部下とのコミュニケーションが重要になる。
双子育児は大変というイメージが一般的なため、周りの人も積極的に手伝ってくれる傾向にある。ありがたく甘えさせてもらおう。
もちろん、やり過ぎはよくない!!
持ちつ持たれつの信頼関係が大事なのを忘れないこと。感謝の言葉と恩返しの意識を忘れないこと。
育休前にあなたが積み上げた信頼貯蓄もものを言うだろう。信頼は日々の積み重ねの結果でしかない。
おそらく、引き継ぎ等を推し進めて行っても、どうしてもこれは自分でないと解けないだろうという課題があるはずだ。
その課題こそ、あなたがユニークな存在として価値提供できる金脈の可能性がある。前回のキャリア・ペースレイヤリング仮説もあわせながら、課題の抽象化や解析をすると、新しい可能性を発見できるかもしれない。
とはいえ、不在の間にその課題がボトルネックになってしまっては周りに迷惑がかかる。うまく迂回経路を作ったり別方面の進められることを進めてもらうよう周面を動かそう。
終わりに
丁寧な引き継ぎのおかげか、育休前はあれだけ入っていた会議が、復帰後まっさらになっていたことを思い出す。
また、ロール・タスクも手放した副作用で、復帰後のプロジェクト・インもキャッチアップにも少し時間がかかってしまった。
せっかく呼ばれたプロジェクトや会議でも、自分の発言力が大幅に低下したと痛いほど自覚し焦りを感じたことも、今となっては良い思い出だ。
育休取得は、擬似的な転職活動だと思うようにしている。
新しい職場に飛び込んで、どうやってキャッチアップしながら適応し、自分の武器を発揮していくか。
今まで自分がいなかった職場に割り込んで、どうやって信用と実績を得て、プレゼンスを発揮していくか。
三部作、少しでも育休取得によるキャリアの停滞の恐怖を和らげられればと願っている。
きっと大丈夫。うまくいく。
また次回。
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