トッテナムの綿密に設計された守備とは?(トッテナムに見た、プレッシングとブロック守備)
19/20 プレミアリーグ 第37節
トッテナム vs レスター
~トッテナムに見た、プレッシングとブロック守備の綿密さ~
守備に長けた監督であるモウリーニョがトッテナムに就任してから、徐々にトッテナムの守備の完成度が高くなってきたと個人的に感じています。
そして、先日行われたプレミアリーグ第37節のレスター戦では非常に素晴らしい守備を披露し、3-0で圧勝でした。
私は様々なリーグの試合を見ていますが、この試合のトッテナムの守備はその中でもトップレベルだったと思います。
スタメン(home : トッテナム)
(away : レスター)
※後半 : ベネット(29) out → グレイ(7) in
4バックに変更(4-2-3-1)
結果 : トッテナム 3 - 0 レスター
( 前半 3 - 0、後半 0 - 0 )
プレッシング
① 陣形と開始点
トッテナムはプレッシング時、下図のように陣形は4-4-2となる。(トップ下のロチェルソがCFのケインと横並びになる)
プレッシングの開始点としては、下図の黄色のエリアで守備プレッシングを行う。
② スイッチと追い込むエリア
この試合、トッテナムは左右のサイドで異なるプレッシングの構造となっていた。
・右サイド
右サイドでは、スイッチとなる選手はFWラインに立つロチェルソで、相手のサイドのCB(以下ハーフDF)にボールが入ったところをアプローチし、これがプレッシングのスイッチとなる。
このとき、ボールサイドに全体がスライドし、サイドのエリアでマンマークとなる。ここで、SHのルーカス・モウラは相手ウイングバック(以下WB)、SBのオーリエは相手ウイング、ボランチのシソコは相手ボランチをマークする。
・左サイド
一方左サイドでは、スイッチとなる選手は左SHのソン・フンミンで、相手ハーフDFにボールが入ったところをアプローチし、これがプレッシングのスイッチとなる。このとき、相手WBへのパスコースを切るように外側からアプローチする。
このとき、ボールサイドに全体がスライドし、サイドのエリアでマンマークとなる。ここで、SBのベン・デイビスが相手WB、CBのアルデルヴァイレルトが相手ウイング、ボランチのウィンクスが相手ボランチをマンマークする。
これはおそらく、右サイドでボールを奪うために、左サイドから右サイドへ誘導しているように見えた。
③ GKへのバックパス
守備的プレッシングにより相手がGKへバックパスを行うと、全体を押し上げる。特に、MFの4枚とFWの2枚は敵を捕まえに出る。
ブロック守備
① 陣形
トッテナムはブロック守備時、下図のようにコンパクトな4-4-1のブロックを形成する。(状況や時間帯に応じて、CFのケインも組織に加わり4-4-2となっていた。)
基準点はボールと味方で、ゾーンで味方との距離間をコンパクトに保つ。
また、ブロックの縦の幅は約10m~15mで、横の幅はペナルティエリアの幅よりも狭く設定する。
② サイド
サイドのエリアでは、大外に立つ相手(WBが多い)に対して原則SHとSBの2枚で対応する。
このとき、ボールサイドのボランチがニアゾーン(SBとCBの間のスペース)を埋め、これによって空いたMFラインのスペースをトップ下のロチェルソが埋める。
また、全体としてコンパクトネスを保ちながらボールサイドにスライドする。
③ ライン間
トップ下のロチェルソとMFのライン間にボールが入ったときは、ボールホルダーに対して飛び出さず、ラインの維持を優先する。このとき、全体が中央に密集してボールを外に逃がす。
④ クロス
クロスボールに対して、下図のようにエリア内では敵を見ないでゾーンで対応する。
モウリーニョの守備は見ていて非常に面白く、勉強にもなると思います。モウリーニョは相手や起用する選手によって守備の細やかな仕方を変え、様々なバリエーションから非常に綿密な準備を行う監督であるといった印象です。
個人的には、シメオネやマルセリーノ、コンテ、モウリーニョなど守備を重点とした監督のサッカーが好きなので、今後もモウリーニョのトッテナムには注目していきたいです。
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