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世界4位の移民大国 日本で、人種問題は他人事なんだろうか。

6月2日火曜日、私のフォローする友人(主に外国人)たちや著名人がSNSに黒一色、黒塗りの画像を投稿し、私のインスタのタイムラインは真っ黒に埋め尽くされた。アメリカで、無抵抗の黒人男性ジョージ・フロイドさんが白人警官によって拘束され死亡した事件をきっかけに、アメリカの音楽業界が6月2日にストライキと人種差別について考える日として発信されたもので、世界的にBlackout Tuesdayとして大きな運動になった。

偶然、その日に日本人の友人と電話で話していた時「私のタイムラインには全然流れてこなかったよ~」という話を聞いた。私の日本在住の日本人の友人たちもこの人種問題について特にSNSでの発信はなかった。日本人の日常の中で、どれだけ各々が人種問題に問題意識を持っているか、気になった。SNSに書き込んだかどうかで、この人は意識が高いとか低いとか言いたいわけではない。ただ、もしかして日本では人種問題は他人事なのでは?という思いがよぎった。

黒人だけに限定するわけではないけれど、私は日本で起こっている外国人への対応について、不信感を抱くことが多々あったから。

現在世界的に起こっているBlack Lives Matter運動の中で、沈黙することは共犯だ [To be silent is complicit.] という言葉がある。それもあって、私はこの文章を書くことにした。

◆ 5月22日、東京でクルド人男性が警官からの職務質問を受けた際に無抵抗で何の違反もないにも関わらず、警官が地面に引き倒すなどし、首や脚、脇腹にけがをした。

◆ 職質は有色人種(白人以外)に頻繁に行われるという事実。
私の日本在住のアメリカ人友人(ヒスパニック系)はしょっちゅう職質にあうと言っていた。在留カードを見せてアメリカ人だとわかると警察に丁寧に謝られる。彼曰く、同僚の白人はほとんど職質受けたことないと言っていた。

◆ アフリカ出身の友人と東京の街を歩いていた時、私たちは赤信号で立ち止まった。車が全く来ていないことに気づいた私は、「危なくないし、渡っちゃおう!」と言って信号無視をして渡った時、友人に注意された。「ふみは日本人だからそんなことができるんだ。ほんの些細な違反がきっかけで、ビザの取り消しだってあり得るんだから。」とその友人は大真面目に言った。これは渡った私が悪いのだが、彼らがここまで気を配って生活していることは知らなかった。

◆入国管理局で働いていた木下さんの話。
2019年3月まで入国管理局の職員として勤務していた木下さんが「私が入管を辞めたわけ」という講演会で日本の入国管理局の対応を「外国人は煮て食おうが焼いて食おうが自由」と描写していた。それは収入が低い外国人を減らそうとする日本政府の方針のもと、いかに在留資格の申請・延長に不許可を出すか、あら捜しに血眼になる入管マインドについて述べたものだった。
「入管は発展途上国には厳しく、先進国には甘い」、木下さんの言葉から、日本ですら人権の重みが出身地によって違うんだと知った。

◆ 実際に、ビザの更新日を一日でも過ぎるとビザが不許可になる可能性が高いというのは外国人の友人が教えてくれた話。たとえ自分がインフルエンザでも、子どもが熱を出しても。住所変更の連絡を忘れた、などの軽微な理由で不許可になることもある。そんな人たちがそのまま日本に滞在すると、不法滞在として品川や牛久、その他地方にもある収容所に何年も収容される可能性がある。そこでは人間らしい生活はできず、人権はなく、女性部屋でもシャワー室やトイレまで監視されている状態がある。この収容に抗議して起こったハンガーストライキで2019年6月ナイジェリア人男性が餓死するという信じられない事件が起こっている。難民申請者など、母国に帰りたくても帰れない人たちも収容されており、不法滞在する奴が悪い、そう言い切れるわけではない。

◆ 私が東京に住んでいた時になんか不思議だなあと思ったのは、原宿の竹下通りや新宿、六本木の歓楽街で客引きしている黒人には絶対関わっちゃいけないというような暗黙の了解があること。(もちろん日本人の客引きでも危ないケースもあるだろうが。)正直、その真実はわからないんだけど、なんで黒人が危ないビジネスに通じてるっていうことになっているんだろう?


私の日本に住んでいる黒人の友達は、仕事休んで台風で被災した地方のボランティアに行ったりするような愛にあふれた人たちだ。日本で、警官や入管職員以外の一般人からあからさまな差別や暴力事件が起こっていないとしても、黒人=怖いというイメージは日本の中でまだかなり残っているような気がする。黒人の友人達はよく、電車に乗っていても僕の隣には人が座らない…みたいに言っていたことを何度か聞いたことがある。

(余談ですが、外国人が増えたら治安が悪くなるっていうよく聞く話は、デマなんですよ。外国人の犯罪率は日本人よりも圧倒的に低いんですよ。)

https://www.amnesty.or.jp/human-rights/region/asia/japan/rhetoric.html

一番、許してはいけないのは警察・入管職員のような公務員が率先して外国人を差別する姿勢だと思う。これらの国家の暴力が、外国人には人権はないと言っている。これを傍観すると、日本でもアメリカのように警官が無実の外国人(アメリカの場合は黒人)を殺しても実刑が伴わないような状況になりかねない。

私が大学時代にアメリカで生活した1年は正直「外国人」だからという理由で(私が英語が下手だったのもあるが)居心地悪い思いを何度もした。でも、あからさまに暴力を振るわれたり差別を受けたわけではない。そしてアメリカでもイギリスでも、私は白人ではないけどJapanese privilegeって言っていいのかな、私が日本人だからという理由で信用してもらえたり、無事に過ごしてこれたと感じたことは何度かあった。(他のアジアの国だったら対応は違っていたかもしれない)

今までの海外経験や日本で出会った外国人の友人たちは、本当に私の世界を何倍も広げてくれた私の恩人たちだ。そんな大事な友人を差別するような日本になってほしくない。「日本って素晴らしい国だって何度も聞いてるよ!日本に住むことが私の夢なんだ!」、「僕は外国人だけど、日本に住んでいる今、日本の為に何かしたいんだ」そう言ってくれる友人たちの期待を裏切る国であってほしくない。

在留外国人の数は2019年6月時点で過去最多の282万9416人、日本総人口の約2%を占めるまで増加した。人種差別は、もう外国の話じゃない。2016年時点で、実は世界第4位の移民大国になっている日本で、日本が日本人も外国人も安心して暮らせる場所であってほしい。

私は自分が他の日本人よりも意識が高くてたくさんのことを知ってるんだ!と知識を誇示したいわけではないし、無知な日本人を教育してやろうという上から目線から発信しているでもない。ただ、自分の言葉で今の思いを発信することが大切だと思ったから。そして、知らないことで相手を傷つけることがあってはいけないと思ったから。
日本にいる外国人のこと、アメリカで起こる人種差別のこと、気になる!もうちょっと知りたい!と思った人へ、日本語の記事で説明がある、こちらのフォローをお勧めします。
   @Freeushiku    @ko_archives


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