見出し画像

音楽のサブスクリプションが興味の幅を広げてくれた話

「モノより思い出……」


幼少の頃、とある自動車メーカーのCMをみて、欲しいものだらけの自分にとっては、
「思い出よりモノだろう」と心の中でツッコミをしていたときがあった。

誰よりも先に情報を知りたくて、話題の中心になりたかった。

最新の少年マンガ誌、ゲームカセット、音楽CD、そのモノを購入しなければ、クラスメイトたちと思い出を共有することができなかった。

それほどまでにモノを持っていることは、何でも知っている。小学生のステータスであり、幼いながら羨ましい気持ちと嫉妬の感情が同居していた。

あれから20年。世の中はとても便利になった。インターネットが発達して誰もが、スマホという小さなコンピューターを持ち運べるようになり、モノを持たなくても快適に過ごせるようになった。
モノを持つことよりも、持たないことを選んだミニマリストという存在も出てくる。

スマホひとつで、あらゆることが出来るようになり、モノを持つことよりも持たないほうが、生きるうえで無駄がなく、賢い生き方だという考え方も出てきた。

物欲の塊であった自分も、ここ数年で、モノを持たない生き方や効率的な生活が大部分を占めるようになっている。音楽コレクターであった自分もCDを購入することより、音楽ストリーミングサービスを使用するようになっていた。

月額980円、音楽のサブスクリプション「Spotify」である。

「プレミアム3ヶ月無料であり、4000万曲以上のものを聴き放題……」

とても魅力的なサービスである。
仮に3ヶ月以内に解約をすれば、実質無料で音質の良い音楽を楽しめるのだ。
CDを買う、借りるという行為をしないで、アプリを開けば自分の好きな曲を聴くことができる。

シングルやアルバムを購入すると、自分が求めている曲ではないものも入っているが、必要な曲だけをピックアップして、自分専用のオリジナルトラックをつくることも可能である。

また、今までの履歴から、その人好みの選曲をして自分の音楽の幅を広げてくれることもあり、今まで気になっていたのだが、聴く機会がなかったものも流してくれる。

学生の頃に聴いていた懐かしのヒットソング、自分が生まれる前の曲、世代を跨いで気軽に楽しんで欲しいというサービスだと感じた。


「男性、女性?低音で耳に残る声だ……」

ふと、シャッフルモードで流れてきた。ハスキーなのにスッと染み渡る。
自分の脳内をその声が駆け巡った。

「このアーティストは誰なんだろう?」

すぐにスマホで検索をしてみた。

「A、i、m、e、r、アイマー?いや、エメか。15歳の頃、歌唱による喉の酷使が原因で、突如声が出なくなるアクシデントに見舞われるが、沈黙療法によって独特なハスキーで甘い歌声を得ることになる……」

英語読みそうになったが、どうやらフランス語で「愛する」という意味だそうだ。
顔出しを殆どしておらずミステリアスな雰囲気を醸し出していた。

それだけでなく、その声がいつ出なくなってもおかしくない。綱渡りな状態であるのに、歌手を続けていることであった。

一度、声を失いかけたのにも関わらず、「自分には歌しかない!」というブレない軸があり、そんなハンデをものともせずに、立ち向かっていく姿にも共感した。一瞬にして、彼女の魅力にとりつかれた。

「どんな顔をしているのだろうか……」ふと疑問に思い、
直近でのライブ情報を調べることにした。

偶然にも、京都でライブがあるということで、実際に足を運んでみたのだ。

歌もストリーミング音源変わらないほどの歌唱力。本当に実在する人であった。

その後、光の速さでファンクラブに入会することになる。


Spotifyを購入しなければ、知ることのなかったアーティストであり、音楽のサブスクリプションが、自分の音楽の幅を増やしてくれたのだ。

CMが流れることのなく純粋に音楽を楽しみたい。
そんな人の願いを叶えてくれたツールであり、仕事で疲れたとき、元気を出したいとき、

一人一人に寄り添った音楽で支え、日々の日常を彩ってくれる。

もしかすると、Spotifyがまだ知らないアーティストを出会わせ、新たな発見をつくってくれるかもしれない。

コンテンツをお読みいただきありがとうございます。 サポートのお金はライティング向上のための資金として使います。