人生の分岐点は年上の女性との出会いだった話

高校を卒業して社会人となった。自分がいた高校はほとんどの人が大学に進学をして当時の自分は、「大学に行くまでもない、勉強するくらいなら働いたほうがいい」という気持ちが強かったため就職を選択した。

就職先は信用組合。社会的信用も高いため、親も安堵した気持ちが顔から滲み出ていた。自分も金融機関に就職するにあたってお金に関する知識をしっかり経験できるということで、ワクワクした気持ちと不安な気持ちが入り混じったような感覚だった。

入社式が終わり、研修期間、同期たちとともに金融の基礎知識に関する座学の勉強や札勘定と呼ばれるお札数える実技的なことをした。

不器用だった自分は、知識に関することや札勘定の数え方について、
覚えられない、数えられない。入社後早々に「ダメ社員」のレッテルがついた。

それでも、配属は窓口営業であったためお客様に対して否応無く、商品の説明や札勘定を実際にしなければならなかった。
店頭に来られるお客様を長いこと待たせてはいけない。実践を繰り返しながら、上司にも何度も怒られ、少しずつ仕事を覚え、店頭に来られるお客様との信頼関係をつくっていった。

気がつくと入社して3年が経過していた。自分を含め2人の同期がいたが、2人になっていた仕事にも慣れ、自分も後輩の指導や窓口業務においてリーダー的ポジションになっていた。金融業界は仕事も然り資格試験の勉強も多々あり3ヶ月一度資格試験があった。当時受験したのは、法務3級。残念ながら合格はできなかったのだが、ふとある思いがよぎった。

「大学で法律の勉強がしたい」

きっかけは些細なことであった。その後、ネットで社会人から入学できる大学を探す。しかし、法学部だけの大学はごまんとあり、法律と何かを身につけたいという気持ちもあった。

そこで、目をつけた学部は知的財産学部であった。簡単にいうとモノを法律で守るという資源の少ない日本で今後必要となる未来がくるのではないかと思い資料請求をする。

社会人から大学生になるということ自体、他人とは違うことをしている感覚はあったが、それでも学びたい気持ちがあったため、まわりの声より自分のやりたいという直感を最優先した。

ちょうどその頃、mixiが全盛期だったためSNSを通じて異業種交流会に参加していた時期であり、そこで出会った10歳年上の女性が社会人から大学生になった経歴を持っている方であった。その方も自分が卒業した大学のOBにあたり、その対策として面接の練習や小論文の添削、そして受験する学部の大学教授とのお話しできる機会を作ってくれた。

これから自分が学ぶ大学に足を運び、
より学びたいという気持ちが芽生え半年かけて試験勉強に取り組んだ。

研究のテーマは、「知的財産担保融資について」

中小企業の多い日本において、技術はあるがお金がないため事業が上手くいかない。または融資ができないなどの事例があったため、その分野の通じた人材になりたいと思ったのだ。

2月某日、大学にて面接。事前に小論文を提出していたため、研究テーマからの質問、社会人から大学生になろうとしたきっかけ、年下と一緒に学ぶことで不安はないか。などを聞かれた。不安はないかと聞かれると嘘になるが、自発的に学ぶことが何よりも自分の要素の糧になるのと、自身の年齢とは違う価値観に触れることで、より自分の価値観の視野が広がるのではないかと前向きな気持ちのほうが上回っていた。

結果は合格。
晴れて4月から社会人から大学生になった瞬間だった。

すぐに10個上の女性に報告する。「おめでとう、よく頑張ったね」とメッセージがきた。

その方に出会わなければ、社会人から大学に行くという道を選ばなかったかもしれない。きっかけはSNSを通じた異業種交流会であったけども、実際に行動をして経験をした方の言葉には言霊が宿っていた。

自分もまたその女性と同じ歳に近づいている。はたして、当時の自分の年齢の人に誇れるような大人になっているのかわからないが、もっと自由に誰かの敷いたレールではなく、自分が敷いたレールに乗って人生を謳歌できるような人が増えることが自分の役目で年上の務めだと思う。

自分の意思で通った大学4年間は、他人とは違うレールになってしまったのだけれど、一つ一つの講義が実社会と結びつく感覚があったため、内容を理解するにあたって社会人から大学生になるという選択も今後増えていくのではないかと感じた。

気づくか気づかないかの問題であり、場所を変えないと見えないものもある。

そのことを自身の行動が教えてくれたのだ。

人と人のつながりが人生を変える。自分もまた今後出会う人たちの架け橋のような存在になれるように今を生きる。


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