関西学院高等部にてSDGs特別講義とワークショップを実施。AIを使って社会問題を解決している企業として代表の瀬川が登壇しました。
フルカイテン戦略広報の斉藤です。2022年5月31日、関西学院高等部にて当社代表の瀬川がAIを用いて社会問題を解決する企業としてSDGs特別講義を行いました。
関西学院高等部では、社会課題・問題を解決するAIをチームで企画しており、年に一度行われるクエストカップ全国大会出場・受賞を目標としています。このような先進的な取り組みをしている皆さんが社会に出ていくということは、世の中の今の常識は変わるんじゃないかと希望を感じた講義当日の様子をレポートします!
はじめに
瀬川は道中、「みんな興味を持って聞いてくれるかな?楽しんでくれるかな?」と講義を心待ちにしていました。「緊張しますか?」と聞くと「もちろん!年に1回の機会やからね。」と話していました。学校に到着して書類を書く際も「なんか学校っていうだけで緊張するね。手が震えるわ!」と意外な一面を見ました。
5時間目の開始を知らせるチャイムがなりました。さぁ、いよいよ授業スタートです!
まずは瀬川の自己紹介です。普段ウェビナーで話す経歴だけでなく、瀬川が経験した沢山の挫折や、家族や趣味などのプライベートについても話しました。
スライドにある瀬川の哀愁溢れる表情をみて、クスっと笑っている生徒さんもいました。特に「高校時代セルフ浪人」というエピソードには、現役高校生のみなさんも目が点になって驚いていました。
笑いあり驚きありで順調な滑り出しです!
講義後の瀬川は「自己紹介に時間を使いすぎたね!」と言うほど、白熱した自己紹介でした。
次からは本題に入っていきます。
大量生産による弊害
「皆さんは今年、衣料品をいくつ買いましたか?」という問いかけからスタートしました。
「一着も買っていないです。」「2~3着です。」「10着以上です。」
様々な回答がありました。
ここで日本国内で1年間に流通する衣料品の数についてのデータを紹介しました。
なんとその数は約40億点!これは国民1人あたり年間33着を買わないといけない計算です。
瀬川は「年間33着というのは、生まれたばかりの赤ちゃんから高齢者まで全員を含むので、作りすぎですよね。」と言うと、生徒の皆さんも首を大きく縦に振っていました。
売れ残った在庫をアウトレットとして販売しても、作り過ぎているという根本は解決していないのでは?というサステナビリティの矛盾点にも触れたあと、作りすぎを裏付けるフルカイテンが調査したデータを紹介しました。
それは、FULL KAITEN導入企業の導入当初のデータを分析したところ、在庫全体のたった2割で粗利の8割を生み出しているという事実です。
生徒の皆さんも「え!どういう事!?」と前のめりになって、一斉にメモを取った姿が印象的でした。
瀬川は、「全商品のたった2割で利益の8割を生み出しているということは、残りの8割で利益を生み出すことができないのでしょうか?そしてこの利益を生まない8割を作りすぎないために、AIで需要予測ができないの?という話になります。」と話しました。
生徒の皆さんも、大きく頷いています。
「しかし現在のAI技術では需要の予測をすることは難しいです。」と言うと、
「えっ?!じゃあどうすればいいの?」という生徒の皆さんの心の声が聞こえた気がしました。
AIの得意不得手
瀬川はまず「AIは万能に見えて限界があるんです。」と言いました。
生徒の皆さんは、思わぬAIの弱点に驚くと同時に必死に耳を傾けていました。
AIは防犯カメラなどの画像認識の分野で飛躍的な進化を遂げていますが、時系列予測の分野はまだまだ技術が追いついていません。
なぜ時系列系予測が苦手かというと、AIは予測しえない外的要因(※)に弱いからです。
(※)芸能人が商品を絶賛する、ライバル店の欠品、カリスマ販売員が休む など
前章で紹介した利益を生み出さない8割の在庫のデータをAIで需要予測するのは難しいということになりますが、1つだけ道があります。
それは、残り8割の在庫からも利益を生み出せるようにすることです。8割の在庫から利益を生み出す力がつけば、今より生産量を減らしても、これまでのような利益を効率よく稼げるようになります。FULL KAITENはここに着目し、AIを用いて「短期の予測」にフォーカスし需要予測をしています。
在庫分析クラウド構築に必要なデータとは
この講義を企画する段階で、担当教諭から「生徒の様子を見ていると、社会課題を設定したのはいいものの、それを解決する AI を考える途端に行き詰っております。」という課題を聞いていました。
なので生徒の皆さんは、社会課題を解決するAI構築にはどんなデータが必要なのか特に興味津々でした。
FULL KAITEN構築に必要なデータは、売上データ、在庫データ、季節特徴量です。
この話をすると生徒の皆さんは一斉にメモを取っていました。それだけ求めていた情報だったのだと感じました。
これらのデータをフルカイテンの在庫プラットフォームに毎日蓄積し、短期予測を可能にしています。
アパレルはシーズン商品なので、実質3ヶ月の販売期間から考えても、季節の変動要素を予測に盛り込むことはとても大事です。
休憩
5時間目を終え、10分間の休憩です。友達と今日の部活について話したり、ストレッチをしたり、仮眠を取るなどみんなそれぞれの時間を過ごしてリフレッシュしていました。
瀬川は高校生と触れあって少年の心を思い出したのか、こっそりラムネを食べていました。
「やっぱり高校でラムネとか食べたらあかんのかな?」と瀬川。かなり余談ですが、講義後、瀬川にこの写真を見せたら「ラムネでエエ顔してんなー。こういうことやねんなー、役者って。」と言っていました。役者…!?(笑)
サイコロゲームで長期予測の難しさを体感
6時間目はお待ちかねのワークショップです!今まで座学で真剣に講義を聞いていましたが、教諭が「みんないつものチームに分かれてや~!」というと、ガヤガヤと盛り上がってチームに分かれました。ここでようやくみんなの普段の様子が見れて嬉しかったです。
サイコロを使ったダイスゲームで、大量廃棄の発生原因を体験しました。
どんなルールかというと、
5つのグループに分かれて、それぞれ、衣服の生産から購入されるまでの過程にある「工場」「商社」「MD(マーチャンダイジング)」「店舗」「お客様」を担当します。チームごとにサイコロをふり、出た目の数だけ商品を仕入れることができます。
サイコロを6回振った時に出る目の合計の期待値を計算すると「21」。最終的にお客様に21個の商品が売れれば期待通り。しかし実際そんな上手くいくのでしょうか?
「細かくルール説明するよりも実践したほうが分かると思うので、まずは1回やってみましょう!」と瀬川。
試しに1回やってみると、「あぁ~なるほど!そういうことか。このゲーム、大量生産の発生原因がイメージしやすい!」と120点のリアクションをしてくれました。
例えば店舗グループ。1の目が出て、MDから商品を1つ仕入れます。
次はお客様グループ。店舗で商品を買いますが、ここでは6の目が出ました。しかし店舗には1つしか商品がありませんから、1つしか販売ができません。
現実の世界でもこのようなことが起きます。仕入れたくても、売りたくても、その可否は前の工程に依存します。
このゲームを通して、売りたいのに売れない、在庫が沢山あるのに出荷できない、そんなジレンマを感じてもらい、生徒の皆さんは「よっしゃー!」と喜んだり、「あかーーん!」と落ち込んだり色んな表情を見せてくれました。
チームに分かれて考察&発表
ワークショップを終え、各チームに分かれて自分が担当したグループではどのように統計変動(例:芸能人が絶賛して売れる)と依存事象(前の工程に影響を受ける)の外的要因が発生したか考えました。
シンキングタイムは5分!各チーム苦戦していて、瀬川に質問するチームもいました。
5分経ったので、発表の時間です。すると以下のように答えてくれました。
どれも実社会で起きている事なので、リアリティがあると思いました。
瀬川は「発注数の桁や数字を間違えることは、小売業をしていたら日常茶飯事だと思います。人が行っている事なので、ミスは起きますね。」と話していました。ベビー服ECの経営経験がある瀬川の実体験も踏まえた言葉なのだろうと感じました。
質疑応答
瀬川が「質問ある人ー?」と言うとすぐに手が上がりました。
こんな質問がありました。
他にも多数質問を頂き時間が足りませんでしたが、また後日回答しますと伝えると、生徒の皆さんはとても喜んでいたと担当教諭から聞きました。
その言葉はとても嬉しかったですし、皆さんの意欲的な姿勢に圧倒されました!
瀬川から生徒の皆さんに贈る言葉
最後に瀬川から生徒の皆さんに伝えたいことを話しました。
これから社会に出る皆さんに幸せに暮らせる会社を選んでほしいです。皆さんはその会社に入ってハッピーな気持ちになるか?という観点で会社選びをしてほしいですし、一人一人何に幸せを感じるかは違うので、自分と向き合ってハッピーに過ごしてほしいと思います。
最後は、生徒の皆さんや先生方から大きな拍手を頂き、講演を終えました。
年に一回の機会ですが、フルカイテンや瀬川にとってもとても良い機会でした。
編集後記
戦略広報の斉藤です。講義当日は私も同行したのですが、生徒の皆さんの「学びたい!!」という熱に圧倒されました。講義中は「学びの記録」に一生懸命メモを取り、質問があればサッと手が上がるのは、自分が高校生の時を思い出すと簡単にできることではないと思いました。普段の仕事でもオンライン会議で「質問ある人?」と聞かれることは多いですが、関西学院高等部の皆さんのように、自分から情報を得る姿勢でいたいです。
講演の最後に瀬川から、「AIも最後は勘や人が考えることが必要です。」という話がありました。膨大なデータからどれを選択すればより良い予測モデルができるか考えるのは人間です。この講義を通じて、「考える力」の大切さを再認識しました。
もし今回講義をした中から、将来フルカイテンに入社したいと思う人が出てきたら素敵だなとそんな想像をしました。
ここまで読んでくださってありがとうございました。
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