GEN TAKAHASHI

映画作家。監督代表作『陽光桜-YOKO TEH CHERRY BLOSSOM-』『CH…

GEN TAKAHASHI

映画作家。監督代表作『陽光桜-YOKO TEH CHERRY BLOSSOM-』『CHARON』『ポチの告白』他がU-NEXT、Amazon Prime Video、Abema TVなどで配信中。公式サイト:何処かより https://www.gentakahashi.co/

マガジン

  • FULL CONFESSION(全告白)

    映画作家・GEN TAKAHASHIの作文。 旧監督名義・高橋玄で映画代表作『CHARON』『ポチの告白』『ゼウスの法廷』『GOTH』『陽光桜-YOKO THE CHERRY BLOSSOM-』『D5/5人の探偵』など。主に新宿、台北、ニューヨークで活動。

最近の記事

FULL CONFESSION(全告白) 15 記憶の編集  

GEN TAKAHASHI 2024/9/8 基本的に映画作家・GEN TAKAHASHIの作文。 第15回 記憶の編集 「夢を計画的に見たり、記憶を自在に編集できるようじゃなくっちゃ、本物の作家とはいえないな」とは、寺山修司監督の映画『田園に死す』に登場するセリフだ。  私は寺山作品に強く影響を受けているから、この言葉は十代の頃から丸暗記しているわけで、実際に計画的に夢を見る訓練も積んでいた。  これは比較的に簡単なことで、その日の朝から寝る直前まで「おれは空を飛

    • FULL CONFESSION(全告白) 14    監督舞台挨拶は必要なのか?

      GEN TAKAHASHI 2024/8/3 基本的に映画作家・GEN TAKAHASHIの作文。 第14回 監督舞台挨拶は必要なのか?  結論として、映画監督の劇場舞台挨拶は必要ないーというのが私の昔からの主張である。  必要性があるとしたら、有名俳優が監督した(クリント・イーストウッドやビートたけしのような)映画作品の場合だろうと思う。  要するに客はスターを見たくて劇場舞台挨拶に来るわけだから、スタッフの指揮官に過ぎない監督が、のこのこと客前に出て来て能書きを話す

      • FULL CONFESSION(全告白) 13    ゴッホ的映画創造ーただ、映画をつくれるか?

        GEN TAKAHASHI 2024/7/29 基本的に映画作家・GEN TAKAHASHIの作文。 第13回 ゴッホ的映画創造ーただ、映画をつくれるか?  「若い血が汚れる」という例をたくさん見てきた。言いかえればオトナになる若者を山ほど見てきた。  子供が成長するのは生物学的に当たり前だと思われているが、人間の場合は、ややこしくて、単に成人して老化していくのではなく、ついでに「頭の中身」が変化していく。  このことは、私のような創造活動(芸術ともいう)をやっている者

        • FULL CONFESSION(全告白) 12    低予算映画演出

          GEN TAKAHASHI 2024/7/24 基本的に映画作家・GEN TAKAHASHIの作文。 第12回 低予算映画演出  たとえば『ロッキー』。映画を観ないという人でも、題名くらいは聞いたことがあるはずの、1976年公開のアメリカ映画だ。この映画1本で米国内から世界のスター俳優になったシルヴェスター・スタローンの一大出世作である。 あのテーマ曲と共にフィラデルフィアの町をランニングするシーン。ロッキーが、路地に面した市場を走り抜けるとき、果物屋のオッサン

        FULL CONFESSION(全告白) 15 記憶の編集  

        マガジン

        • FULL CONFESSION(全告白)
          15本

        記事

          FULL CONFESSION(全告白) 11    元帝国ホテル配膳人映画監督

          GEN TAKAHASHI 2024/7/20 基本的に映画作家・GEN TAKAHASHIの作文。 第11回 元帝国ホテル配膳人映画監督  職業上、私は映画についてだけは、学術レベルで人に教えられるし、映画史についても、そのへんの専門学校の講師よりも詳しいと自負する映画有識者だ。  しかし、普通に暮らす人間は、映画に対する興味の100倍くらい、食べもののほうに関心がある。  これは当然のことで、食べることは、何百万年前の太古から人間のDNAに設定されてきた、生存のた

          FULL CONFESSION(全告白) 11    元帝国ホテル配膳人映画監督

          FULL CONFESSION(全告白) 10    Take a look what happened(何が起きたか見てみよう)

          GEN TAKAHASHI 2024/7/17 基本的に映画作家・GEN TAKAHASHIの作文。 第10回 Take a look what happend(何が起きたか見てみよう)  ドナルド・トランプ前アメリカ合衆国大統領暗殺未遂事件。  英語を聴きとれる人は、事件直後に世界を駆け巡った、トランプ被弾の直前をとらえた映像に仰天しただろう。  ちょうどトランプが、バイデンの移民政策を非難して、そのデータが映し出されたスクリーンを示しながら「Take a look

          FULL CONFESSION(全告白) 10    Take a look what happened(何が起きたか見てみよう)

          FULL CONFESSION(全告白) 9    ケネディ、安倍、トランプ

          GEN TAKAHASHI 2024/7/15 基本的に映画作家・GEN TAKAHASHIの作文。 第9回 ケネディ、安倍、トランプ  凄いニュースだった。  米国ロサンゼルス市警初の日本人警察官でYouTuberの「警察官ゆり」こと、永田有理氏が緊急ライブ動画を公開。 https://www.youtube.com/watch?v=laIDleCHfH0  映画『ポチの告白』の監督として知られた私としては、彼女のドキュメンタリー映画を撮りたいと思うのだが、なに

          FULL CONFESSION(全告白) 9    ケネディ、安倍、トランプ

          FULL CONFESSION(全告白) 8    虚構の社会

          GEN TAKAHASHI 2024/7/15 基本的に映画作家・GEN TAKAHASHIの作文。 第8回 虚構の社会  私は基本的にSNS否定論者で、自分の生活利便性以外のところでは、SNSにかかわらないように暮らしている。  私にとってのSNSとは「地球全人類おしゃべりシステム」で、虚構のおしゃべりが好きな人たちだけが楽しんだり、虚構を商売にしていれば良いものだ。もっとも、本稿を発表している当該の「note」もSNSのひとつだというけど、私の感覚では不特定少数に向

          FULL CONFESSION(全告白) 8    虚構の社会

          FULL CONFESSION(全告白) 7    SNSと石丸伸二

          GEN TAKAHASHI 2024/7/2 基本的に映画作家・GEN TAKAHASHIの作文。 第7回 SNSと石丸伸二  来たる七夕=7月7日は、2024年東京都知事選挙の投開票日である。  私は期日前投票が始まった初日の6月21日、新宿区役所第一分庁舎で、立候補者・石丸伸二に投票した。親しいスタッフや俳優たちにも投票を呼び掛けて「投票しました!」と報告をくれた人もいる。  ただし、私は石丸陣営でも後援会でもなければ、信者でもないし、カンパもしていない。  そも

          FULL CONFESSION(全告白) 7    SNSと石丸伸二

          FULL CONFESSION(全告白) 6    SNSと包丁

          GEN TAKAHASHI 2024/6/28 基本的に映画作家・GEN TAKAHASHIの作文。 第6回 SNSと包丁  現在、地球人類の多くがSNSを利用して生きている。というより、SNSに利用されながら生きている。それで世界がおかしなことになった。  SNSは災害発生時の情報収集や、相互扶助や、ときにメディアが報じない重大な社会問題の告発を果たすなど、世の人々の役に立っているようだ。  しかし私はSNSを利用しない。理由は不便だし必要がないからだ。  この「

          FULL CONFESSION(全告白) 6    SNSと包丁

          FULL CONFESSION(全告白) 5    ロケハン初心者入門編

          GEN TAKAHASHI 2024/5/18 基本的に映画作家・GEN TAKAHASHIの作文。 第5回 ロケハン初心者入門編  ロケ弁とかロケバスという言葉を聞いたことがある人は多いと思うけど、映画、映像業者以外で、「ロケハン」とは何かを正確に知っている人は少ない。Wikipediaでも「ロケハン」という語の意味は解説されているが、実務の詳細までは記されていない。  なので、今回は「ロケハン初心者入門編」として、この話題に興味がある人と、映画、映像業界で「制作部

          FULL CONFESSION(全告白) 5    ロケハン初心者入門編

          FULL CONFESSION(全告白) 4    映画は勝手に当たるし勝手にコケる   

          GEN TAKAHASHI 2024/5/7 基本的に映画作家・GEN TAKAHASHIの作文。 第4回 映画は勝手に当たるし勝手にコケる  本稿の表題が結論なので、今回はこれにて終了。  …というほど私は大物ではないし、自分の意思でコラムを書いて発表しているのだから、毎度、それなりにまとまった一文にすることは、不特定多数の読者諸氏に対する礼儀というものだ。  ところで、この「それなりに」という言葉は、モノゴトの程度を抽象的に表す慣用句でありながら、実は、裁判官が

          FULL CONFESSION(全告白) 4    映画は勝手に当たるし勝手にコケる   

          FULL CONFESSION(全告白) 3    「無思考」としての「天才バカボン」

          GEN TAKAHASHI 2024/5/4 基本的に映画作家・GEN TAKAHASHIの作文。 第3回 「無思考」としての「天才バカボン」  私は、ほとんどモノゴトを「考えない」種類の人間だ。   脚本を書いて映画を創るし、現在もボランティアで他人の裁判にかかわったり、選挙を手伝うこともあるけど、それらの私の生活は「無思考」のまま行われている。  でも、モノゴトの「判断」はする。  「歩く」という人間の基本的な動作にしても、健康な人なら「右足の次に左足をこれくら

          FULL CONFESSION(全告白) 3    「無思考」としての「天才バカボン」

          FULL CONFESSION(全告白) 2   「無」としての5月=寺山修司   

          GEN TAKAHASHI 2024/5/1 基本的に映画作家・GEN TAKAHASHIの作文。 第2回 「無」としての5月=寺山修司  5月4日は寺山修司の命日だ。没後何年になるだとかいうことまでは知らないが、私は自分の創作活動とは直接的に関係しないものの、寺山の影響を色濃く受けている。寺山のモノマネも得意だ。  昨夜のバーで、ピンク映画界伝説の大女優・伊藤清美にそう話したら「えー!!テラヤマ!??意外―!」と驚かれた。清美ちゃんとは、なんだかんだ35年くらいの知り

          FULL CONFESSION(全告白) 2   「無」としての5月=寺山修司   

          FULL CONFESSION(全告白) 1  「無」としての映画    

          GEN TAKAHASHI 2024/4/1 基本的に映画作家・GEN TAKAHASHIの作文。 第1回 「無」としての映画  新年度のはじまり4月1日に住所地が変わった。自身の生活環境がだいぶ大きく変わったことから、当コラムの枠組みも新たに変えた。  最近年での私の大きな転機は病気である。  忘れたことがない2020年3月14日の午後。私は自宅で脳内出血を発症して倒れる。いわゆる脳梗塞だ。  そこから現在2024年4月までの4年の間、徐々に、あらゆる点で私の「

          FULL CONFESSION(全告白) 1  「無」としての映画