GEN TAKAHASHI
映画作家・GEN TAKAHASHIの作文。 旧監督名義・高橋玄で映画代表作『CHARON』『ポチの告白』『ゼウスの法廷』『GOTH』『陽光桜-YOKO THE CHERRY BLOSSOM-』『D5/5人の探偵』など。主に新宿、台北、ニューヨークで活動。
GEN TAKAHASHI 2023/2/1 基本的に映画作家・GEN TAKAHASHIの作文。 第36回 「文化庁長官・都倉俊一氏」最終回、または「特権意識病」 私は2021年12月23日、第23代文化庁長官・都倉俊一氏(昭和歌謡曲の代表的作曲家。『ペッパー警部』など)宛てに、回答を求める意見書を送った。もちろん、メールではなく文化庁宛ての配達証明付き郵便である。 内容は、文化庁の芸術文化振興基金による映画製作助成金制度が、東映、電通、テレビ朝日、朝日新聞、ソニ
GEN TAKAHASHI 2023/1/9 基本的に映画作家・GEN TAKAHASHIの作文。 第35回 映画は滅びゆくか 人類絶滅分野の映画は多くあるけれども、「映画」自体の絶滅について語る映画は記憶にない。 巨大隕石が地球に激突して人類が絶滅するかもしれない危機を乗り切るよりも、映画の絶滅を回避する方が難しいだろう。 2021年12月末現在の統計(日本映画製作者連盟)によれば、全国3648スクリーンのうち、フィルム上映が可能な映画館は55館しかない。それ
GEN TAKAHASHI 2022/12/8 基本的に映画作家・GEN TAKAHASHIの作文。 第34回 追憶の崔洋一 世のニュースをほとんど無視していたら、知らないうちに崔さんが亡くなっていた。映画監督・崔洋一、11月27日享年73歳。え!そんな歳だったのか。そりゃそうだよな、おれが今月57歳になってるんだから。 特異な存在感のある人間が亡くなると「私だけが知っている秘話」みたいなコメントをする人も少なくないと思うけど、今回のおれもそのノリである。 お
GEN TAKAHASHI 2022/11/30 基本的に映画作家・GEN TAKAHASHIの作文。 第33回 役人界=倫理・道徳・正義・法律がない世界 ここのところ、「役人」という種類の人々に接する機会が重なった。区役所や税務署の職員や、厚生労働省や、このブログでも公開している文化庁職員ら「役人」と話をしていると、いまさらながら「役人」は「それが自分の業務であるかどうか」という基準だけで仕事をしていることに呆れ果てる。「自分がやる義務のない仕事はやらないのが普通だ
GEN TAKAHASHI 2022/11/25 基本的に映画作家・GEN TAKAHASHIの作文。 第32回 続・都倉俊一文化庁長官 本ブログ前回記事では、私が、第23代文化庁長官・都倉俊一氏宛てに送った「意見書」を公開し、その経緯と背景事情の概要を説明した。 そこで、ふと思い至ったのだが、もしかしたら私の文書が「意見書」たる表題だから「いただいたご意見は今後の参考とさせていただきます」と、体よくあしらわれたのではないか?最初から「質問書」という言葉を表題に入
GEN TAKAHASHI 2022/11/23 基本的に映画作家・GEN TAKAHASHIの作文。 第31回 文化庁長官・都倉俊一氏への意見書 昭和時代を代表する、主に歌謡曲の作曲家・都倉俊一氏は、2021年から第23代文化庁長官である。任期は2年だから来年3月末まで。 日本音楽著作権協会(ジャスラック)の元会長としても知られるが、その経歴の都倉氏が、なぜ政府の要請を受けて文化庁長官に就いたのか、まったくの謎である。ただ、私にとっては大衆文化である歌謡曲産業の
GEN TAKAHASHI 2022/11/14 基本的に映画作家・GEN TAKAHASHIの作文。 第30回 私の映画を「出入り禁止」とする興行会社 17年前の話である。2005年3月、私の監督代表作のひとつ『CHARON』(主演・川本淳市、森崎めぐみ、水上竜士)という映画が、池袋にあった某劇場で公開された。 この映画は製作費1200万円程度の、われわれの自主製作だったが、35mmフィルム作品で、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭・ファンタランド大賞(観客人気
GEN TAKAHASHI 2022/11/3 基本的に映画作家・GEN TAKAHASHIの作文。 第29回 映画屋が文化人なわけねえだろ ※現在準備中の映画関係者から「誤解を生じる記事は極力控えて頂ければ幸いです」との苦言があったので、伏字、補足(太字が補足部分)を入れておきます。不便な時代だなあ。 「文化人」とはなにかを定義することに、ほとんど意味はないが、一般的に「映画監督」は「文化人」に種別されるようだ。根拠はなく、なんとなく。だが、それは大いなる誤解で
GEN TAKAHASHI 2022/10/25 基本的に映画作家・GEN TAKAHASHIの作文。 第28回 友達という名の不審者 2022年12月31日を限りに、Facebookを退会することにしている。ついでにおれ自身のTwitterアカウントも削除して、基本的には「SNS引退」する方針である。ただし、一応は映像屋としてInstagramと、展開中の映画作品に関するTwitterは続くと思う。 SNS時代というのかどうか知らないのだが、とにかくFacebo
GEN TAKAHASHI 2022/10/17 基本的に映画作家・GEN TAKAHASHIの作文。 第27回 カニ、名古屋までたどり着く 2021年の春から秋にかけて撮影した映画『カニの夢を見る』は2022年5月から銀座8丁目のTCC試写室を「蟹夢座」と銘打って上映を開始。いま現在も「無期限ロングラン上映」を続けている。 そして、「カニ夢」は、11月5日から名古屋のシネマスコーレで上映されることになった。カニだけに地味な前進で、半年かかって名古屋までたどり着い
GEN TAKAHASHI 2022/4/16 基本的に映画作家・GEN TAKAHASHIの作文。 第26回 デジタルちんぴら 私は基本、SNSという社会に住民票を置かない。自分の映画で宣伝したほうが良いと思われる時期だけFacebookやTwitterにちょっとだけ滞在するが、用が済んだらアカウントごと閉鎖することを繰り返している。理由は、SNSは人類を滅ぼすほど有害なものだと考えているからだ。こういうと「じゃあ、SNSやるんじゃねえよ」という声が書き込みだのコメ
GEN TAKAHASHI 2022/2/24 基本的に映画作家・GEN TAKAHASHIの作文。 第25回 国際映画祭の名称詐欺 現在、私は6月に劇場公開予定の最新監督作『カニの夢を見る』を各国の映画祭に出品中である。世界中の映画が国際映画祭に出ようとする理由は「有名になるため」だ。もちろん、映画作品そのものを有名にしたいのであって、監督や出演俳優たちが有名になりたいわけではない。その映画の存在が知られ、評価が高まれば、監督や出演者も有名になっていく。 こうし
GEN TAKAHASHI 2021/07/6 基本的に映画作家・GEN TAKAHASHIの作文。 第24回 日本で一番無知なやつら 『日本で一番悪い奴ら』などという映画があったようだが(観ていない)、どうせなら『日本で一番無知な奴ら』という、裁判官を主人公にした続編を撮ればいい。だいたい、警察は単なる捜査機関なのであって、「一番悪い」のは司法機関に決まっている。 『まずいえるのは、日本の裁判官、少なくともその多数が、実は、「独立の裁判官」というよりは、「ムラ社会的
GEN TAKAHASHI 2021/05/08 23:25 GEN TAKAHASHI 基本的に映画作家・GEN TAKAHASHIの作文。 第23回 みんな暴力が好き 「民間の暴力社会」に生きてきた人間で「暴力が好き」という者は、基本的にはいない。いたとしたら、イカれたやつだ。ここでわざわざ「民間の暴力社会」と注釈したのは、「公的暴力機関」というものが現に存在するからである。 公の暴力機関の代表例は、裁判所、警察、市区町村に至る公権力で、公的な暴力機関ではテ
GEN TAKAHASHI 基本的に映画作家・GEN TAKAHASHIの作文。 第22回 吉原・山谷・圧力鍋 前回記事、おれの母方の祖父とその実家があった新宿についての小文をつらつらと書いたので、今回は父方の祖父とその実家があった「浅草」についてのおはなしである(今回も長編で悪いね。いや、べつに読まなくてもいいから)。 まず、唐突に短歌を紹介する。 「思う目を出さんとふたつのサイを振る敗けなき賭場は何処にありや」(『短歌研究』1996年1月号入選) 「母遠
GEN TAKAHASHI 2021/05/05 基本的に映画作家・GEN TAKAHASHIの作文。 第21回 新宿は世界一の「反社都市」である 今回は長文なので、結論をタイトルにした。 区役所の隣に、朝までやっている酒場や、ストリップ劇場や風俗店が軒を並べる都市は、世界中のどこを探しても、東京都新宿区以外に存在しない。 で、おれは新宿区北新宿生まれだ。残念なことに、戸籍上のおれの父親は単なる富士銀行(現・みずほ銀行)の銀行員だったため転勤に次ぐ転勤で、最短