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Episode1. キャリアの迷子、母になる。


母になるということは、

人生における「役割」が増える一大イベントです。


けれども、そのように自身を客観的に捉えて

さくさく準備できる人って、

そう多くはいないように思います。


なぜなら親になるからといって

職業人生に迷いや不安がない完璧な人になる

というわけじゃないんだから。


私も、そうでした。



私が母になることが分かったのは、

新卒で入社した会社を

11年目で退社すると決めたあと。


大手企業は産休や育休の制度が手厚く、

休職もしやすいから「辞めない」

という話もよく聞きますが


すでに退社の意向を上司に伝えたし

そんな検討をする間もなく、

職場を去る日は訪れました。


退社したあとは

個人事業主として仕事を始め、

少しずつ軌道に乗せていくつもり・・・


・・・というか、

ほとんど決まってなかったんです。

「次、何するか」



つまり、ザ・キャリア迷子です。


・転職先もない

・転職活動もしていない

・個人事業主といっても見込み顧客は1〜2社

・売上の見込みもほぼない

・PR資料も作っていない

・強みも曖昧

よくこれで退社したな・・・と

思われる方もいると思いますが、

当時の私には「社内に居場所」が見出せず

また、尊厳を傷つけられるような出来事もあって、

とてもつらい状況でした。


このままいても、何もいいことはない。

まずは辞めて、新たなスタートを切りたい。


そこまで思い詰めていたのには、訳があります。



退社を決める2年前。

実はリストラされかけたのです。


退職を提案されたので、お断りました。

(退職勧奨ではない、と当時の上司が頑なに言っていたので「提案」w)


退職しなければ、評価は

一番下のグレードになって固定され

業務も、雑用しか任さないよ、

お給料は新人以下になるよ、

と情報提供もありましたが、

(ここまで言っても退職勧奨でも脅しでもない、とのことなので「情報提供」ww)


 会社に残ることを決めました。


要は、早期退職希望者を募るのと同時に

一定数を退職させるために

「提案」も行われたということです。


とても悩みましたが、

その待遇を受け入れることに。


理由は、

お世話になっていた年配の方に相談したとき

「批判的で生意気だからよ」

とズバッと言われたのが響いたからです。


そのままのあなたが社外に出て、何ができるの?

辞めずに落ち着いて、自分を見つめなさい。

忌憚なく言ってくれた人がいました。

この言葉がなければ、会社に残る覚悟はできなかったと思います。

相談したほとんどの人が

「辞めた方がいい」と言いました。

仕事でお世話になったコピーライターさんから

「うちにきて」とお誘いもありました。


でも文字通り底辺を這いつくばってでも

このまま辞めさせられるのではなく、

何かを得て自分の意思で

辞めたいと思ってから辞めたい、

いまは会社に残ろうと決めました。



得たものは、たくさんありました。


どんな仕事でも任されることに感謝する心。

人から見たら些細な仕事でも

丁寧に手を抜かないこと。


いわゆるタコ部屋に詰め込まれているから

文句も出そうにもなりましたが、

仕事の場では、他者批判や

不平不満を絶対に口にしない忍耐。



不平不満をさも正論のように

語る人に同調しないこと。


お付き合いする人を選ぶ基準。

自分軸でキャリアを歩む覚悟。


正社員なのにまさかのシフト制勤務で

14時〜19時出社、なんて日もあったので、

8時半〜13時出社、とか(笑)


空き時間を利用して、

中国語の勉強に励み

1ヶ月のリフレッシュ休暇を取得し

北京へ語学留学にも行きました。

そのときの出会いは、なんと

いまの仕事にも生きています。


お給料が激減したので、

生活コストの見直し。節約も学びました。


それまで激務で何度も

身体を壊したことがあったけど

規則正しい生活の心地よさも、

社会人になって初めて知りました。


この時期があったから

結婚もできました。

夫からも

「暇にならなきゃ結婚しなかったでしょ」

と言われています。


まあ、そうだね。。そう思います。


ちなみに夫は、私のこの時期について

生活の糧を得ながら

自分のために使える自由時間を獲得し

うまく活用して「賢くピボットした」と

評価しているようです。


渦中の自分自身では

とてもポジティブに評価なんて

できなかったけど。


いちばん身近にいる家族が

そう言ってくれるのは、本当に救われるので、

家族が会社で不遇な想いをしていたら

ぜひ、まずは寄り添ってあげてほしいです。



いま、長い目で振り返れば

リストラされかけた過去は

確かに現在の私の糧になっています。


けれども、数年に渡り

心が、人として、

とても傷ついたことも事実です。


それまでの仕事の全てを否定され

社内では見下す人が大半だったと思います。

リストラされかけた人との

つながりを大切にしたいという人は少なく、

ごはん行こう、と歩み寄ってくれる人などは

わずかでした。ありがたかったなぁ。


誰からも置いて行かれたような、

会社の内部事情にも疎くなり、

この例えが正しいかどうかわからないけど

丁稚奉公にきてる子みたいな気持ちで

毎日、出社していました。


何も生み出してない、貢献していないのに、

お給料をいただいて、ありがたい。

そう思いながら。言い聞かせながら。


そんななか、社内におけるキャリア開発の道は

断絶されたまま。


しんどかったなー。



ここまであからさまではなくても、

希望の職種や部署につけないとか、

転職したほうがいいんじゃないかとか、

職業人生を模索中のときは

結婚や出産などのライフイベントが

おっくうになってしまうのではないでしょうか。


そして、

もしかしたら「マミートラック」

苦しむ女性たちも、あのときの私と

似たような気持ちで過ごしているのかな。


「パタハラ」で苦しむ男性たちは

もっとつらい気持ちで過ごしているのかな。


いま改めて思います。

会社員にとって

「会社に居場所がなく、キャリアも描けない」

という事実や、そのような扱いは、

会社員としての死に等しい

重みがあると思うのです。



こうして、

キャリア迷子のまま母となった私。


唯一、救いだったのは

「こういうふうに成長したい」

「こういう業務に携わりたい」

次にやりたい職業や、

そのために不足していることが何か、

明確だったことです。


いつも、自分の心に向き合うこと。

それだけは、常にそうしてきたと

胸を張って言えます。

自分がどうしたいか、どうなりたいか。

常に問い続けることは、すごく大事です。


そんな私を買ってくれる人も社外にいました。

ちょうど会社を辞める前には

「手伝ってほしい」と

ご依頼いただいた案件もあったりして。


この案件をきっちりやることで

次の道を切り開いていくしかない。


目指したい方向も

やるべきことも

明確でした。


ただ、個人事業主になりたててでは

子どもを保育園に入れるのは難しそう

という東京の事情も、初めて知って

「お先真っ暗!!」と

絶望しかけましたが(笑)


それでも、諦めず

取引していた会社さんに

雇用いただけないか交渉したり、、、

「ありたい姿」に近づくために

何が最善の策か、模索を続けて


かなりの綱渡りでしたが、

とある会社さんに、

出産後3.5ヶ月で復職するという前提で

出産する2週間前に雇用いただき

保活にも滑り込むことができました。


(復職というか、

雇われてから初めて出社するという状況。

よく雇ってくれたなあ笑)



キャリアの迷子のまま

母となった8年前。


キャリアの模索、自己実現を目指す心と

子どもの命を守らなければという責任感、


両方を手放さずに、立ち続けることだけで

本当に精一杯でした。


ただ、元気に生まれてきた子どもが

可愛くて、可愛くて、可愛くて、

その日から今日まで毎日、

「かわいいねぇ」

と伝え続ける日が続いているのは幸せなことです。


職業人生も、好転しています。

ライターとしてはドローンをはじめとする

テックビジネスを取材、執筆させていただき

出版や講演のご依頼もいただくようになりました。


キャリアコンサルタントとしては

大学でキャリア講座を行う講師業をさせていただいています。


その礎になっているのは、やはり

新卒で入社した会社で教わったことであり、

苦々しい経験から学んだことだったりします。


いま頑張ってることは、きちんと未来に続いてる。



だから、

キャリア迷子のまま母になっても、大丈夫。

道は必ず開けるはずです。


次回、「Episode2. 働くことは罰なのか」は

8月23日(火)に公開しました。


\かぞくも、じぶんも、しあわせに/

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🌷この記事を書いた人のプロフィール🌷

1978年5月生まれの牡牛座B型。
2022年現在、夫と息子と東京都内で3人暮らし。趣味は茶道。


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