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おとこのしっぽ・オンナのしっぽ [詩]


#創作大賞2023 #オールカテゴリ部門

おとこの尻尾は 犬のしっぽ

くるくる、さわさわ動いてる
ぴくぴく、ぱたぱた、はしゃいでる
しゅんとすぼまり、まるまっている

どんなに世慣れた、かっこつけしいのおとこでも
よくよく知れば、しっぽの動きはまるわかり

オンナは、それに抵抗できない
応えたくなる、笑いたくなる、いじり、いじわるしたくなる
おとこのしっぽのかわいさに
オンナは腰砕け



オンナのしっぽは ねこのしっぽ
バランスとるのが、おもな役割

わかりやすいのは、イラッとしてるとき
ぱたっぱたっとムチ打つように
おびえたときには膨らんで威嚇

オンナのしっぽは 愛でるものではありません
さわったら、きっとひっかかれるから

オンナが何か訴えて 心地いいとき
気をゆるすとき
それは、しっぽじゃなくて、のどの「ぐるるる・・・」であらわせられる

おとこは、それに抵抗できない
なでたくなる かまいたくなる
いじり、少しは、じらせたくもなる
オンナの漏らす「ぐるるる・・・」に
おとこはくびったけ

・・・・・
・・・・・

でも


おとこの中には
しっぽの短いヒトもいる

子供の頃にちょきんって
耳や尻尾をカットされた犬みたい

男らしくね・みっともない、と
すなおにパタつくしっぽをなくして
ちょっとかわいそう

でもね
そんな、てごわいおとこでも
慣れてくれば、かすかに
見えないしっぽのうごきがわかる
ピンピンしているのがわかる

わかるって、
わかられちゃったら、もったいない
そういうスカしたおとこには
こっちも、しっぽを読まない・読めないふり、の
距離感が、きっと、ちょうどいい

・・・・・
しっぽの短いオンナもいる
もともとなのか、ケガのせいか
ちんまり短く、パタつけない

だけれど、伝わる

まあるく、いい子、癒し系
・・・・な中にも
やっぱり、イライラや
欲求不満の気配はあるもので

おひげや、耳や、目の光

うまく尻尾をパタつけない
そんな不器用なオンナには
わかってる、ってふりも必要

ほんとは、うまく読めてなくてもね

わかってるよ、ってさりげなく
あくまでさりげなくの寄り添い方が
お互いのためだったりして

おとこのしっぽ
オンナのしっぽ

にんげんのしっぽは
見えないこころの動き

ぱたぱた、ぴくぴく、

いじらしくって、

ほっとけない。


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