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003:それはまるで「マイナス一億円」の宝くじ

バリでのホテルのオープンは、私の人生で最大の出来事でした。そして、その夢の達成に協力してくれた大勢の人々にとってもきっと、同じように素晴らしい出来事だったことでしょう。

その時はまさか、オープンしてから一年半後に、最も信頼していたパートナーに裏切られて全てを失うことになろうとは思いもよりませんでした。ホテルが予想外の短期間でオープンできたことも驚異的でしたが、この時の驚きはそれとは比べものになりせんでした。

全て奪われたということは、ホテルに出資した資金も全て失うということを意味していで、出資した金額全てが私個人の負債となることを意味しています。

その額、およそ一億円。

本当に「まさか!」の出来事でした。まるで、買ってもいない宝くじが突然当たったかのような衝撃。それだけでも大変な事なのに、さらに身に覚えのない無実の罪を着せられて警察に連行され、結果的に約2ヶ月の間収監されてしまったのです。

全てを失って、大きな負債を抱えた上に、異国の地で自由まで奪われるという最悪の出来事。まさか私の人生にこんなことが起ころうとは、想像すらしていませんでした。

「ホテルを作りたい」という夢が出来て、あっという間にそれが現実となり人生最高の瞬間を体験し、そして全てを失うまでの期間はわずか5年。抱えてしまった一億円という金額はとてつもなく大きく、私は今でも毎年返済を続けています。

そのような訳で、今の私は経済的にはこれまでの人生で最低の状態で、さらに、非常に厳しい状況に置かれているのが現状です。

では、どん底の状況で絶望し、夢も希望も失ってしまったのかというとそうではありません。

実は、この出来事に遭遇する前も含めた私の一生の中で、最も幸福感を感じています。そんな環境に置かれているのになぜ?その理由は、この経験を通じて気付いたことがあるからです。

幸せかどうかは環境ではなく、自分の心が決める

一夜にして全てを失い、さらに海外の刑務所で2ヶ月を過ごすという経験から、本当の幸せとはなにか、本当の自由とはなにか、という事について多くの気付きがありました。そしてそれらの気付きを自分なりに整理し、考え、そして毎日の生活で実践することによって、私の人生は大きく変わりました。

確かに日々の生活は、過去最悪の状況になりました。しかしその反面、たくさんのことを掴んだり学んだりすることができて、私の考え方が大きく変化し、人生の質に大きな変化が起こったわけです。

もちろん、最初からそんな風にポジティブに捉えることができたわけではありません。始めのうちは「ここから立ち直れるだろうか?」と思うほど落ち込んだ状態でしたが、「起こってしまったことは受け入れるしかない」「きっとこれは何かのメッセージだ」などと、自分で自分に言い聞かせるように徐々に受け入れていきました。その結果として今の私があるのです。

体験したことは「一億円の負債を抱える」という大きなマイナスで、さらに、たくさんの人々にも迷惑をかけてしまいました。しかし、残りの人生にとっては大きなプラスになる、かけがえのない貴重な経験だったと思っています。

読んでいただいてありがとうございます。何かを感じてもらえたら嬉しいです。これまでの経験について本にしようと考えています。よろしければポチッと・・・。