007:そしてバリ島へ
「バリ島でホテルを作る」というビジョンはできたものの、では、それまでと何か変わったのか?というと、実は何も変わりませんでした。その理由は、そのビジョンは自分にとっては非常に大きなものだったため「いつか叶えたい」とは思っていても、「すぐに実現する」とは思えなかったからです。
例えるならば、それまでに一度もサッカーをやったことがなかった少年が、ワールドカップの試合を見て感動し、て「将来はJリーガーになるぞ!」と思うようなものです。
ただ、ひとつだけ変わったことがありました。それは、バリ島という場所がそれまでの「遊びに行く」場所から、もしかしたら「自分の夢を叶える」場所になるかも知れない。そう意識し始めたことです。
それでも、自分の中で大きな夢ができたことはとても嬉しいことでした。遠い将来でもいいからバリ島でホテルができたらなぁ・・・。もしかしたらそれが本当に叶う時が来るかも知れない。遙か彼方を目指す旅のように、そこにたどり着いた時の事を考えるとワクワクしました。
その頃は定期的にバリ島に行っていて、何度も何度も訪れるうちに馴染みのショップやレストランがいくつもできていました。そのため、どちらかというと旅行に行くと言うより「通っている」という感覚です。そして、この新しい夢ができた時にも、既に次に訪れる予定が決まっていました。
バリ島の魅力のひとつは、プライベートなヴィラにリーズナブルな価格で泊まれることです。ベッドルームの他にリビング、キッチンなどがあり、ほとんどのヴィラはプール付きという贅沢な作りなのですが、他のリゾートとは比べものにならないくらい安く泊まれるのです。ただし、部屋数があまり多くない小さなホテルが多いため、人気のあるところはすぐに満室になってしまいます。私はいくつかお気に入りのホテルがあったので、毎回できるだけ早めに予約をして希望の部屋を確保するようにしていました。
その時も早々とホテルを予約していたのですが、残念なことに直前になって急遽スケジュールの調整がつかなくなり、予定を変更せざるを得なくなってしまいました。直前になってからの予定変更など、長い間海外旅行をしていて初めてのことでした。おまけに次に行けるのは年末年始。果たして、泊まりたいホテルが取れるかどうか・・・が心配でした。
案の定、第一希望のホテルも、第二希望も既に満室。ヴィラタイプではない普通のホテルなら空きはあるのですが、バリに行くからにはヴィラに泊まりたい。どのホテルもことごとく満室で部屋を確保することが出来ず、もう諦めるしかないか・・・と思った時、あるホテルから「キャンセルが出た」との連絡があり、ようやく宿を予約することができたのです。
予定が変わったおかげで泊まれたホテル
それから数ヶ月。ベトナム旅行で「ホテルを作る」という夢ができてから初めてのバリです。
年末年始のバリはそれが初めて。というより、海外で年を越すこと自体が初めての経験でした。そこで、初めての年越しツアーなのだから、旅行そのものもいつもと違うものにしようと考えました。
それは、「何もしないでノンビリすること」です。
海外でも国内でも、旅行に行く時はいつもできるだけ事前に下調べをし、ほぼ全てのスケジュールを組んでから出かけるのがいつもの私のスタイルなのですが、今回はあえてそれをやめて、その時の流れで過ごしてみようと思ったのです。
今回泊まるホテルのことは、以前から知ってはいたものの、宿泊するのは初めて。繁華街に近いロケーションだったので、「便利だろうけど少しうるさいかな?」と心配でしたがそんなこともなく、部屋もサービスも全て大満足。非常に快適に過ごす事ができて、私の中でお気に入りのホテルのひとつになりました。
当初の予定通りでバリに来ていたら、ここではなく他のホテルに泊まっていたので、「予定が変更になったおかげでここに泊まれた」と考えると、本当にラッキーだったと思いました。
そのホテルは欧米人がオーナーでしたが、実際に運営を任されているゼネラル・マネージャーはバリ人で、日本語も流暢にこなす人でした。今回はのんびりしようとあまり予定を入れていなかったためホテルにいることが多く、彼と会って話をする機会が度々ありました。
彼はとても気さくで、予約の段階から直接メールのやり取りをしていたこともあり、何度か会話をするとすぐに仲良くなりました。いつもなら滞在中の予定はほとんど決まっているのですが、今回は比較的スケジュールに余裕がありました。そこで、せっかくだから一緒に食事でもしないかな?と思って誘ってみると、すぐに「OK」ということになり、早速その晩、近くのレストランでディナーをすることになりました。
その時の私は、ただ単に「バリの友人がひとり増えたらいいな」と思っただけなのですが、その後のレストランでの会話をきっかけに、私の人生は思いもよらない展開を迎えることになるのです。
読んでいただいてありがとうございます。何かを感じてもらえたら嬉しいです。これまでの経験について本にしようと考えています。よろしければポチッと・・・。