031:エンジェル・カードとルーン
バリの刑務所では、朝の点呼が7:30。夕方は17:30(但し、お金を払って延長してもらうことがほとんど)。その間に「やらなければならないこと」はほとんどありません。時々弁護士が来て打ち合わせをすることはありましたが、それ以外はほぼフリー。
「自由な時間がたっぷりあって良いじゃん」と思うかも知れませんが、この先どうなるか分からない中で「何もできない」という感覚の方が強く、あまり良い気分ではありませんでした。
心をポジティブに保つために
時間がある日々の中でやっていたのは、運動、読書、瞑想など。iPodで音楽やスピーチを聴いたりもしていました。
警察に捕まってからしばらくは、まだホテルとの関係が悪化していなかったので、ホテルにあったお客様用の本を何冊か持ってきてもらっていたのと、日本から送ってもらったものがありました。その中で、繰り返し何度も読んだ一冊が、飯田史彦さんの「生きがいの創造」でした。
ブノアにいる時からずっと、「どうしてこんなことになってしまったんだろう?」という疑問の答えを探していましたが、それはなかなか見つかりませんでした。でも、生きがいの創造を読み、「人生に起こることは全て偶然ではない」ということや、「乗り越えられない問題はない」ことをあらためて意識に落とし込むことを続けた結果、少しずつ気持ちが軽くなっていくのを感じました。
iPodにも、飯田史彦さんの講演を収録した音源が入っていて、時間があるときはそれを繰り返し、繰り返し聴いていました。
また、それまではあまりやっていなかった瞑想もするようになりました。幸い、iPodにはリラクゼーション・ミュージックも入れてあったので、イヤフォンを耳に入れて音楽に集中しながらほぼ毎日やっていて、おかげでかなり気持ちが楽になりました。
まさか自分の人生にこんなことが・・・と、信じられないような出来事が起きてしまい、その現実を受け入れることで精一杯。とにかく、それを受け入れるにはどうしたらよいか?ということを考え、思いつくことを毎日やっていたのです。
困難な時ほどメッセージに耳を傾ける
毎日、時間だけはたっぷりある。でも、できることは限られていて、やりたいこともほとんどできない。
ブノアでは、私のMacをインターネットに繋ぐことができたので、日本の人達ともメールやチャットができていましたが、ここではそれはできません。
誰かと繋がっていることが出来ず、時間だけが流れていき、未来が全く見えない状態。そのことによってネガティブな状態に引き込まれないようにするにはどうしたら良いか?がその時の私のテーマでした。
刑務所に持ち込んだ荷物の中には、本、iPodの他に「エンジェル・カード」と「ルーン」もありました。エンジェル・カードというのはこれです。
ルーンは「それってなに?」という人が多いと思いますので、ネットの情報を引用します(ただ、私はルーンは「占い」ではなく、どちらかというと「リーディング」と言うのが正解だと思っています)。
その場に偶然表れた象徴を用いて占う卜術のひとつで、「ルーン文字」を印した小石・木片・カードなどを使って占う。「ルーン文字」とは、北欧で古代から中世にかけて用いられてきた神秘的なアルファベットのこと。
私が持っていたルーンは木製のものでしたが、カードタイプのものはこんな感じです。
エンジェルカードもルーンも、その時に自分に必要なメッセージを受け取るために使うものです。自分だけで思い悩んでいると、ネガティブなエネルギーに引っ張られてしまうような感じがしましたが、そんな時はカードやルーンを引きました。そして、そこに書かれていることを「これが今の自分に必要なメッセージかもしれない」と捉え、受け入れる事で、ポジティブなエネルギーをもらって元気になることができました。
「必要なものは、いつもそこにある」
全財産を失い、1億円の負債を抱え、おまけに警察に捕まって刑務所に送られるという「これって本当に現実なの?」と思ってしまうような状態の中で、心の支えになる「何か」を求めていたのですが、そんな中でこの二つのアイテムが手元にあったのは、私にとっては本当にありがたかったです。「エンジェル・カードとルーンがある」ということに気付いたのはブノアに行ってしばらくしてからで、それからは毎日欠かさずに引いていました。
エンジェル・カードは全部で44枚あります。確率的にはどのカードも同じ割合で出てきそうなものですが、不思議と特定のカードばかりを何度も引いてしまい、特に、Support、Trust、Powerのカードは「またこれ?」と思うほど何度も出てきました。
ルーンも同じように、私に対するメッセージと感じられるようなものばかりを繰り返し手にしました。とても不思議です。でも、どれも「なぜ、いまこれを引いたのか」という理由がわかるような気がするものばかりで、毎回納得しながらメッセージを受け取っていました。
それらのカードやルーンから私が感じたのは、「今回の出来事が私の人生にとって必要なことであり、そこから何かを学ぶ必要がある。そして、必ずこの試練を乗り越えることができる」ということです。
それはカードを引く度に、ルーンを選ぶ度に感じ、それによって毎回とても力づけられました。また、自分が必要とするものを手にできていることに感謝することができて、「きっと宇宙がサポートしてくれているんだ」と感じられることで、不安な状態に陥らず、ネガティブにならずに済んだのだと思います。
読んでいただいてありがとうございます。何かを感じてもらえたら嬉しいです。これまでの経験について本にしようと考えています。よろしければポチッと・・・。