006：バリ島でホテルを作ろう！

ベトナムでの出逢いをきっかけに、それまで何も見えていなかったビジョンについて、なんとなく方向性が見えてきました。そして、日本に帰国するとすぐ、それをより明確にするためにいろいろ考えました。

「途上国の人達のためになることで、自分がやりたいことはなんだろう？」

ビジョンを考えるのであれば、1) 自分が好きなことで、2) 誰かの役に立つこと、を条件にしようと思ったのです。

当時の私はインドネシアのバリ島に惹かれるようになっていて、既に何度も訪れていました。そこで、「途上国」という条件から場所は「バリ島」と決めました。

ではそのバリで、自分にとっても楽しくて、なおかつ現地の人にも貢献できることは何だろう？私は海外でのビジネス経験は全くありません。つまり、何をやるにしても全て未経験です。これは見方を変えれば「何を選んでも同じ。なんでもOK」といえるのではないか。そう思って、自由な発想で考えてみました。

いろいろ出てくる中で、ふと「ホテルを作るのはどうだろう？」というアイデアを思いつきました。最初は「それはちょっと非現実的じゃないか？」とも思ったのですが、他のアイデアが浮かんでは消えていく中で、このことだけはずっと心に残り、忘れることができません。

・ホテルを作れれば現地の人に仕事を提供できる
・泊まりに来たゲストの人達にも楽しいひとときを提供できる
・ホテルの経営が順調にいくようになったら、その利益で学校を作ったり、何かの手段で現地の人々に還元することもできる
・もしかしたらこれで、やりたいことが全て叶うかもしれない･･･。

「期限を決める必要もないし、どうせなら大きな夢にしよう！」

これが一番ベストな選択だ！とでもいわんばかりに、ビジョンにした方が良い理由を考え、無理矢理正当化したようなものです。

私はそれまでにもいくつかの仕事を経験していましたが、ホテル勤務はもちろん、旅行関係の仕事をした経験もまったくありません。さらに、ホテルを作るとなれば多額の資金が必要になりそうなものですが、それも全くなし。そんな私にとってホテルというのはあまりに大きな夢であり、どれだけ時間をかけたからといって、それが叶う保証はまったくありませんでした。

もしかしたら一生かかっても無理かもしれない。でも私は「仮にどれだけ時間がかかっても、そして結果的に達成できなかったとしても、それに取り組むだけの価値が感じられる」と思いました。

状況から考えたら無理だと考えるべきで、非現実的な夢と言った方が良いでしょう。でも、それまでに出会った人々から学んだ教えが後押しをしてくれました。

人生は思った通りになる

「何のために実現したいのか」という目的をしっかり持って、「具体的にどうなりたいのか」を明確にイメージし、そしてそれを常に強く思い続けることができればどんなことでも叶う。私はたくさんの成功者からそう教わり、それを信じて生きてきました。

そして、それまでのビジネスでも、彼等からの教えを信じてできる限り実践することによって目標を達成してきました。目標はどんなことでも、同じようにすれば良いことは頭ではわかっていました。理屈では分かっているのです。

でも、ホテルをオープンするというビジョンは、それまでに達成してきたことに比べるとあまりに大きく、どうしてもそれが本当に実現できるという確信が持てませんでした。

夢は「できそうかどうか？」ではなく「やりたいかどうか？」で決める。

ビジョンの大きさに押されてちょっとあきらめかけた時、そんな言葉が頭に浮かんできました。

「そうだ！叶うかどうかわからないけど、とにかくやってみよう！仮に達成できなくてもいい。チャレンジすることに意味があるはずだ」

まだ具体的に動き始めた訳ではなく思っただけですが、人生最大の夢の実現に向かってスタートする決断をした瞬間でした。