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東京育ちが島ぐらし。〜住処編〜

はじめまして。

いま、広島県は呉にある、
大崎下島の豊町久比(くび)という瀬戸内の島にいます。
2月に転職をして、
「一般社団法人まめな」という組織でお世話になっている真っ最中です。
http://mamena.or.jp/(←まめなについてはこちらをどうぞ)

久比はたいへんすてきな場所です。
とはいえ、
久比にいると友人に言えばたいてい、
「久比ってどこ?どんな感じ?」と聞かれます。
その通りだと思います。
僕も聞いたことがありませんでした。
(広島出身の方も知らなかった。)

一言で久比の魅力を伝えたい。
と、思ってみたものの、
久比の良さを伝えるのはなかなか難しいのです。
傍目から見れば、
飲食店が一つ、
スーパーが一つ、
ガソリンスタンドが一つ。
以上。なんてことはない。
言い方を変えて、
「海と山とレモンがある町」
と伝えると、
めっちゃいいところじゃん!
と言ってもらえます。

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でも、暮らしてみて思います。
本当の魅力はそこじゃない、と。

海も山もレモンも、わざわざ来るほど大したものではないです。
見せるために営まれてはいないのだから当たり前です。
広島市内に出るのは2時間ちょっとかかります。
暗い夜道はイノシシに会わないか心配しながら歩きます。
春には家を大きな百足が闊歩します。
毎朝6時位に謎の放送で叩き起こされます。
そう、ストイックなまでの田舎。

けれど、ここでの生活は、語ることのできない何かがある。
そしてそれはどうやら、ぼくのこれまでの生活の、
どこかで見落としてしまっていた何かのようです。

世田谷生まれ世田谷育ち、
生粋の都会っ子ではありますが、
久比での暮らしをお伝えしようと思います。
第一回はぼくの居候先についてご紹介します。

家と庭

まずは僕が居候させてもらっている、寺尾邸の紹介。
明治の初期に建てられたこの建物には、非常識がいっぱい。

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このブランコはお気に入り。
ある日ここに大学生がつけてくれたみたい。
うんうん考えているときによく漕いでいます。
意外と勢いがつくのでちょっと怖くて、
公園のブランコは意外と安全だということを知りました。
このまえ漕いでいたら、
ゴキブリが来客したのを深夜に見ました。

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来客が多いので、靴が並びます。
もしかすると、きれいに並んでないからみっともないのかも。
でも、人の気配が滲んでいて、僕は好きです。

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外に出ると畑があります。
荒れていたこの畑は、
年末に移住された看護師の長谷川さんによって開墾され、
大切に育てられています。
裏のおばちゃんがアドバイスをしてくれています。
その声を寝ぼけながら聞く朝6時。

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何が植えられるのか。
草花を忘れた人生になってしまった。

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ピザ窯をつくるためにコンクリートを割った跡。
今はもう完成しています。
くらしの名人、代表の更科さんが作られました。
いつか完成の写真載せたい。

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寺尾邸の正面。
人が増えたので、
工夫を凝らして洗濯物を干しています。
(工夫をしたのは長谷川さん)
雨戸が閉まっているけれど、
この前まで壊れていて閉まりませんでした。冬なのに。
DIYが好きな高校生のみずきくんと、
その先輩で、今は大学生のだいごくんが直してくれました。

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この時はまだ刈り込み途中のお庭。
今はもうすっかりきれいにお手入れされた。
でも雨が降ればあっという間に背が高くなる。
草花はすごい。

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寺尾邸に続く細い道。
このうねりと細さがツボ。

家の周り

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家を出て、すぐ右手には民家と山並み。
ちょっぴりレモンが写ってますね。

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畑へ向かう坂の途中には立派な空き家が。
窓枠の形、素敵です。

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手袋の謎の使い方。
ロックで、どこか間抜け。

畑へ

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山の上が畑です。
柑橘類のだんだん畑。
おじいちゃんとおばあちゃんは、ほんとに急な斜面を、
ぐいぐい登ります。

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立派な鉄塔のご尊顔。
扇子を持って舞をしてるような配線。

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そして畑の近くへ。
こんな感じで、もはや自然と化したみかん小屋がいらっしゃいます。
どんな人が使っていたんだろうか。

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こちらも自然ミラー。
鉄のグリッドは猪よけ。
つたがすごい。

終わりに

冒頭をあんなに真面目に書いたのに、
中身すっからかんでしたね。
出来上がった写真を並べてみて気付いたのですが、
レモンとか海とか、
わかりやすいモチーフを全然撮っていなかった。
記事にしづらいことこの上ない。

そしてこの、なんでもない家の周りは、
どうしてだろう、面白いです。
もう抜け殻となっているところは多くて、
あからさまに時間が流れてしまっているのに、
こびりついた垢のように残る気配に、
どこか安堵する自分もいます。

そんなところが好きなのかもしれないですね。




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