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食、表現。取材から見えた、福祉との多様な関わり方【ふくしデザインゼミ 2022-23】

こんにちは!ふくしデザインゼミ、学生編集部の菊池です。
ふくしデザインゼミでは、「ふくしに関わる人図鑑」を作成するため、学生編集部による取材活動を行っています。

12月23日㈮には、世田谷区と葛飾区のふたつ福祉作業所を訪問しました。

午前取材:「食」を通して関わり合う

午前の取材は、東京都世田谷区にある駒沢生活実習所。ここで栄養士として働く鈴木夢乃さんに、お話を伺いました。

鈴木さんのメインの仕事は、毎日お昼の給食の献立を考えること。その他、利用者の食事のサポートや、体重管理なども行っています。

障害のある方の感情表現はとてもストレート!定番メニューが出ない月があると号泣してしまったり、美味しかったら満面の笑顔をみせてくれたり。そんな利用者の方々が、鈴木さんの原動力になっているようです。

「利用者さん大好き!」と笑顔で語る鈴木さん。とにかく明るい人柄に、笑に溢れた取材になりました。

移動:デザインが、価値観を変える?

電車に揺られ、次の目的地へ向かいます。ふくしデザインゼミでの活動も回数を重ね、メンバー同士の仲も少しずつ深まってきている様子。大学で学んでいることを紹介し合ったり、話題の映画の話をしたり。所属の異なる人たちとの会話はとても刺激になります。

私が会話の中で印象に残ったのは、株式会社ヘラルボニーの取り組み。「異彩を、放て。」をキャッチコピーに、知的障害者の描いたアート作品を使用した雑貨を制作・販売しているそう。HPを見てみると、鮮やかな色彩・ポップな形が特徴的で、見ているとワクワクするものばかり!「障害者の作品だから」ではなく、「商品として魅力的だから」買おうと思わせるデザインセンスに感心しました。

多くの人にとって、「福祉」や「障害」はちょっと距離のある存在。その距離を縮められるのが、視点を変えることで生まれるアイデアや、デザインなのではないでしょうか。「ふくしデザインゼミ」にも通じる点が多そうです。

午後取材:映像に始まり…変化していく表現の形

午後の取材は、葛飾区にある東堀切くすのき園。ここで働いている赤崎正和さんにお話を伺いました。

赤崎さんは、大学の卒業制作で、ドキュメンタリー映画『ちづる』を制作。映画は全国ロードショーされ、話題作に。

「若い頃はどこか尖っていて、福祉は“偽善”ぽいと思っていた」と語る赤崎さん。しかし、自閉症の妹を写した映画『ちづる』の制作や、福祉作業所でのボランティア経験などを通して、その考えに変化が出てきたそうです。現在は、利用者の「言葉になっていない想い」を大事にしながら日々奮闘されています。

優しく穏やかながら、時々茶目っ気も垣間見えた赤崎さん。口から出る言葉一つ一つにリアリティがあり、「福祉の役割とは何か?」「適切な関わり方とは何か?」と考えさせられました。

編集会議:人物と要素を線で繋ぐ

赤崎さんの取材を終えた後、そのままくすのき園で編集会議。今日の取材を振り返りながら、「その人らしさ」を表す6つの要素と、その人を端的に言い表すキャッチコピーのアイデアを出し合います。

今回の編集会議で大切だと感じたのは、要素と人物とのつながりを明確にすること。どんなに素敵なエピソードでも、「ただ、何となく」載せるのはNG。それがその人のどんな部分に影響しているのかを、明確にする必要があります。考えることが多くて難しいけれど、ここがしっかりしていれば、説得力のある図鑑になるはずです。

一日を通して:取材から考える未来像

食で福祉に関わる鈴木さんに、表現を通して福祉を見つめる赤崎さん。福祉施設で働いているという事実は同じでも、役割や得意分野に応じて、福祉との関わり方は異なります。一方、学生編集部を見渡してみても、福祉を学ぶ人、デザインを学ぶ人など専門は様々。それでも現在「ふくしデザインゼミ」に関わっています。

「自分だったら、福祉とどう関わるのか?」「どんな形があり得るのか?」お二人の取材を通し、自分自身の未来像について、考えました。すぐに答えは出ないけれど、その時その時、自分が心の動くことをやっていきたいです。

これからは、図鑑作成がいよいよ本格化していきます!これまでの取材をより意味のあるものにしていくため、各自執筆を進めます。寒さの厳しい時期ですが、体調管理に気を付けつつ、気持ちを引き締め頑張りたいと思います!

くすのき園のクリスマス会!

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