まちのことを、まちのみんなと、まちまちに考えてみる|たかしまデザイン会議2024 DAY.1レポート
はじめまして、たかしまデザイン会議です。
人口45,000人ほどが暮らす滋賀県高島市。ここで、2022年に「未来のジャム」がはじまりました。
7つの県からやってきた17人のゲストと話しあうなかで、こんな声が聞こえるように。
「未来のジャムで生まれた“気づき”を、どうアクションにつなげよう?」
2024年8月9日(金)に、高島らしさを生かしてまちの未来を描く「たかしまデザイン会議」がはじまりました。
会場は、TAKASHIMA BASE。高島のベースになれるような場があったらと、2023年に動き出したスペースです。
たかしまデザイン会議で大切にしたいこと
⚪︎問いをめぐらそう
隣の人の問いを聞いて「うん、わかる」と共感したり「どうしてそんなことを言うんだろう」と言葉の背景を考えてみたり。そうして誰かの問いがまちをぐるぐる巡るうち、高島の問いになっているかもしれません。
⚪︎大きく小さく高島を考えよう
基本的には5町1村「まるごと高島」で考えます。ですが、ときには「今津町」や「椋川地区」といったスケールでも考えて、大きく小さく高島をとらえてみましょう。
⚪︎結論をゆっくり待とう
たかしまデザイン会議2024は全5回。1回ごとに「結論」を出したくなるかもしれないけれど、いそぐのはやめましょう。「未来のジャム」がはじまるまでも、約半年間にわたって結論のない話し合いを行いました。
7つの「問い」から読みとくたかしまデザイン会議DAY.1
たかしまデザイン会議DAY.1「ふくしとデザインと高島」を7つの問いから読みときます。
問い いいデザインって?
デザインと聞いて、ロゴデザインを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。たかしまデザイン会議のロゴデザインについて、デザイナーの田中悠介さん(designと)から。
田中
ロゴデザインって、問いなんです。デザイナーが受け取り方を指定するのではなく、それぞれが受け取ってくれたらいい。
会場
ちなみにこのロゴは?
田中
たかしまの「た」であり、「+(プラス)と=(イコール)」でいろいろなことが合わさっていくことであり。手にとった人が「これってなんだろう」「なになになに?」と思うことから、アクションが起こったら。
問い わたしにも起業はできる?
起業って特別な経験やスキルをもつ人がするもの?起業家育成セミナーに集まる人だけがするもの?そうじゃない自分には縁がないもの?
福島県いわき市から訪れた地域活動家の小松理虔さん(ヘキレキ舎)が答えます。
小松
福島県いわき市で、UDOK.という場を運営しています。いわきは製造業のまちなんです。みんな8ー17時で働いている。17-24時は好きなことをする現代の“晴耕雨読”です。仕事は割り切って、雨の日に「好き」をスパークさせたらいいじゃんと。朝まで飲んで、海まで散歩してるうち、5人起業したんですよね。
田中
起業には2種類あると思う。東京型の起業と地方型の起業。東京は「よし起業するぞ」が多い印象。地方は、ゆたかにはたらく選択肢を考えるうち「結果起業」が起こりやすい。
問い 仕事はつくるもの?
自分にも起業ができるとしたら。仕事って、どこからはじまるんだろう?
小松
デザインをする上で、田中さん自身が表現したいことはありますか?
田中
デザインは相手の思いをかたちにするもの。だから、ぼく自身のなかに表現したいことってあんまりないんですよねー。
小松
デザインと福祉って、似ていると思うんです。「自分がこうしたい」より「相手がどうしたい?」から仕事がはじまるという点で。
福祉発のTAKASHIMA BASEには、人の困りごとを受けていく力があるし、地域の困りごとを通じてつながる場所ともいえる。制度と制度の“つなぎめ”から仕事が生まれるかもしれません。
問い これからのまちを支えるのは?
自分がはじめた仕事を一法人でひとりじめせず、地域の仕事にしていく。そんな取り組みをする社会福祉法人があります。
話を聞いたのは、社会福祉法人武蔵野会の高橋信夫理事長。
高橋
養蜂を行ったり、ジャムをつくったり。武蔵野会では、地域の人たちと連携した活動を行っています。ある施設では、それらの活動を、一般社団法人を立ち上げることで、運営をまちの人たちに移したんですね。
継続した人材不足の日本では、そう遠くない時期に専門職だけでは福祉を支えきれなくなります。日々の暮らしを守るために、このような地域共生社会の実現が必要なんです。
一人の専門職が担うのでなく、多くの人が少しの時間を出しあえたら。
問い いまの高島はどう?
高島市では2019年から福祉法人があつまるように。2022年には未来のジャムがはじまりました。そんな高島には、どんな変化が起きている?
西村(高島市社会福祉協議会)
ここ1、2年で高島のいろいろな法人が「まち」に興味を持ちはじめています。わたしたちもそう。これまでは「困りごとのある人は、わたしたちのところにきてください」でした。これからは「わたしたちがまちに出ていこう」。
小坂(社会福祉法人ゆたか会)
なにが変わったんでしょう?
西村
未来のジャムのゲストスピーカーや、全国からやってくる参加者たち。いろいろな人と話すことで「そういうことができるんや」と思えるようになった。
先が見えてるわけじゃないんです。だけど「なんかやろう」「動いてみよう」とおもしろがりはじめてます。
小坂
社会福祉協議会としてめざしたいことは?
西村
「高島の法人どうし」をもっとつなげていきたい!すこしずつ、実現しています。もっともっと、ひらいていきたいな。
問い 高島をどうしたい?
最後に田中さんからの問いが。「みんなはTAKASHIMA BASEをつうじて、高島にどんな『うず』を起こしていきたいですか?」
三輪(成安造形大学 職員)
今日たまたま同じテーブルに座った人と話していたら、お互いに同じモヤモヤを感じていたことがわかりました。話せること自体に価値があるんじゃないかな?
今津(ぼくみん)
「一人ができることってほんとうに限られてるな」と感じています。ステージに立たせてもらっていても、一人はひとり。限られた一人なんです。同時に、高島というまちが持っている力を感じます。ここで、みんなが入り混じりながらやっていけたら。
是永(大学生)
わたしが暮らしている椋川(むくがわ)地区は人口19人です。TAKASHIMA BASEをつうじて、高島のことを一年考えているけどなかなかすぐ形に現れてこない。モヤモヤモヤーってします。ここの場にいると、いろんな方法があるんやと知って、やろうと思える。形にしようとしています。
小松
モヤモヤを話せる場があるって、すごいことですよ!いわき市で原発事故が起きて、目の前の畑でスクスク育つほうれん草が食べられなくなりました。家族に東電社員がいることを人に言えなくなりました。それぞれモヤモヤします。でも、言えません。かならず誰かに当たって、血が流れてしまうから。
猪飼(九条湯)
京都で元銭湯を改修した場を運営しています。人が集う場って、10/10をかためなくていい、1/10を共有することが大事だなあと思っています。
田中
今日はそろそろおしまいです。まだまだまとまりませんけども、最後に。
頭で考える日も手を動かす日も、なんていうか、その両方を行ったり来たりするなかで、見えることがあるんでしょうね。なんでしょうね、高島だって、高島市ととらえるか、椋川ととらえるかで変わる。だから、自分の住んでいるまちを、いろいろな解像度でとらえてみる。モヤモヤする場も、みんなでいろいろなことをする場もつくっていけたら。
たかしまデザイン会議にきませんか?
ゲストとともに高島の未来を描きます。高島市内の人も高島市外の人も気軽に集まってください。
🔖DAY.3 2024年10月7日(月)
「公共政策とまちづくり」
西本 千尋(まちづくり活動家/JAM主宰、NPO法人KOMPOSITION 理事)
🔖DAY.4 2024年11月12日(火)
「ケアと暮らし」
守本 陽一(総合診療医/一般社団法人ケアと暮らしの編集社 代表理事)
🔖DAY.5 2024年12月13日(火)
「高島のこれからを語ろう」
今津 新之助(インターミディエイター/一般社団法人ぼくみん 代表理事)
詳細やお申込みは、 @fukushi_design のプロフィールから、ご確認ください!
【概要】
・開催時間:19:00~21:30(開場 18:30)
・会場:TAKASHIMA BASE @jam_tm.lab
〒520-1501 滋賀県高島市新旭町旭870-7
※JR新旭駅徒歩1分(JR京都駅から新快速で約45分)
・参加費:学生1,000円、社会人2,000円
※高校生以下、無料
・定員:30名
(編集・撮影:toi編集舎 大越はじめ)