ひょんなことから福祉に出会い... 責任感あふれるふたりを取材【ふくしデザインゼミ 2022-23】
こんにちは!ふくしデザインゼミ、学生編集部の佐藤です。
ふくしデザインゼミでは、「ふくしに関わる人図鑑」づくりに向け、学生メンバーによるインタビューや執筆が着々と進んでいます。
12月7日(水)には、文京区と千代田区にある福祉事業所へ、取材にいってきました!
拠点の八王子を飛び出して、都心部の施設をたずねたのは、国際系、教養学系、福祉系で学ぶ多様な学生メンバーたち。当日の様子をレポートします!
取材1:生涯大事にしたい「ふくし」に出会ったのは28
午前の取材先は、文京総合福祉センター内の障害者支援施設「リアン文京」。ここでフルタイムのアルバイトとして働く伊藤一永さんに、お話を伺いました。
伊藤さんは、2年前まではIT系のサラリーマン。コロナが転機となって、縁遠かった福祉の世界でに飛び込み、いまは通信制大学で福祉を学びながら、障害者の生活を日々支援しています。
むかしは完璧主義者だったけれど、福祉に触れてから「相手を大切にするように、自分のことも大切にするように」なったという伊藤さん。まったく福祉に縁がなかったところから、いまでは「生涯かけてふくしを推し進めていくと思う」と力強く語るまでに!
福祉を身近に感じてこなかったメンバーや、生きづらさへの向き合い方を模索している私にとっても、とても刺激的な出会いになりました。
移動:言葉以外も捉え、取材する
これまでは郊外での取材が多かったですが、今回は23区。
あれこれと電車を乗り換えるあいだに、編集者の小松さんや学生メンバーどうしで、いろいろな話ができました。
文化人類学を学ぶメンバーは、取材のプロセスが、フィールドワークの調査の手法と似ていると感じるそう。一方で福祉を学ぶ私は、取材のプロセスは、支援計画を立てるときのアセスメントに似ているな、と感じています。他方、ふだん地域活動することの多いメンバーは、地域の人の話をきくときの姿勢が取材の際にも活きていたよう。
小松理虔さんの大切にされている、「言葉だけではなく、目の前の人の仕草や立ち居振る舞い、身に着けているものなどにも全力で目を向けて耳を澄ませることで『その人らしさ』を捉え、関わる」という取材の姿勢は、領域を越えて大切にされているのだな、と感じます。
取材2:施設のふくしから地域のふくしへ
午後訪れたのは、「千代田区立障害者福祉センターえみふる」。大学や研究機関、商業施設も並ぶ都内のど真ん中にあります。よくこの周辺を訪れていたメンバーも、「こんなところに福祉施設があるって知らなかった!」と。
えみふるでは、施設長の的場康芳さんにお話を伺いました。
「つづける自信がない」というのがスタートしたときの本音だったのに、気づけば施設長になっていたという的場さん。穏やかな口調ながら、実は負けず嫌いだそう。学び続けたいという強い芯を持っておられる印象です。いまでは、施設の枠を越えて「千代田区」の地域福祉をよりよくしていくため、行政や企業と協働しながら奮闘されています。
的場さんの責任感に触れ、将来、福祉の仕事でもそうでなくても、目の前の人から学び続ける姿勢や、自分たちだけではなく地域をよくしていこうという目線を、大切にしていきたいと思いました。
編集会議:その人らしさを編集する
取材のあとは恒例の編集会議。取材をふりかえって、「その人らしさ」を表す6つの要素と、その人を短く言い表せるキャッチコピーのアイデアを出し合います。
今回のインタビューは、結構いい話を聴けた気がするな〜と思って編集会議にのぞみました。しかし、編集者の小松さんとのやりとりをしていくと、「現場の職員さんからは現場の話を、マネージャークラスの職員さんからはマネジメントの話を」とその役割だからこその話をきくという視点や、個人の話に「福祉とはなにか」という普遍性を見出していくという視点が、全然足りていなかったことが明らかに。
む、むずかしい…!
一日を通して:それは何を意味してる?
取材・執筆・編集のプロセスのなかでは、「経験」などの具体と「それがその人にとってどういう経験なのかという意味づけ」という抽象を行き来しないといけない、という話が印象に残っています。
表面的な具体のエピソードを拾うだけでなく、その背景にある価値観や性格を想像してみたり、具体と抽象を往来することは、取材でなくとも、実生活でも活かしていきたいなと思います。
執筆や編集はますます加速し、これから冊子完成に向けて山場を迎えますが、目の前のことに精一杯にならず、この体験からなにを学び、なにを日々の暮らしにつなげていけるのか、学生編集部みんなで一緒に考えつづけたいと思います!
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