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うっかりしっかり体験記(前編)|永井煌|2023-24 essay 13

こんにちは。ふくしデザインゼミ・コーディネーターの佐藤です。2度目となる「ふくしデザインゼミ 2023-24」、28名のゼミ生とともに、東京八王子、伊豆大島、滋賀高島、長崎諫早の4地域をフィールドに〈福祉をひらくアイディア〉を考え抜いた日々も、3月3日の公開プレゼンテーションで一区切りを迎えました。

essay 12からは、2ヶ月のプログラムを終えたゼミ生たちの言葉をご紹介しています。正解のない世界を漂流する2ヶ月のプロセスのなかで、若者たちは何を感じ、何を思ったのか。ゼミ生一人ひとりが捉えたふくしデザインゼミとは?
2カ月をふりかえりはじめると、それなりの分量になるもので、なんと永井くんのエッセイは1万字超えで初稿があがってきました!ということで、今回から3本にわたって、永井くんの「うっかり」1万字になった「しっかり」レポートです。

難しそうなゼミに来てしまったな

ふくしデザインゼミが始まった!キックオフキャンプ2日目の午後、私が所属する竹端ゼミでは、これから2ヶ月間のゼミをどう進めていくか話し合っていた。

私たちはフィールドワークで、長崎の社会福祉法人南高愛隣会をたずねる。南高愛隣会では、事業や施設が大きくなるなかで、どうしても、地域の人や職員さん同士のつながりが希薄化している状況もあるのだという。また、福祉領域では最近、制度が充実してきたからこそ、枠にはまった仕事になって一人ひとりに向き合う時間が減ったり、必要最小限の支援にとどまってしまったりすることもあるらしい。

そんな現状を背景にした「福祉に余白をつくりだす」というテーマのもと、2か月で具体的なアイデアを考える、竹端ゼミの道のりがスタートした。

キックオフキャンプでまとめたこと

キックオフキャンプで大切にされていたワードは、「ハプニング」「無責任」「余白」…。ゼミ、という名前から「しっかり」しているイメージを持っていたけど、真逆のキーワードがどんどん出てきて、内心とても驚いた。特に心に残ったのは、「臨機応変」「うっかりする」という言葉。アドリブな行動や初対面の人と話すことがとても苦手だった私がこのゼミでやっていけるのだろうか…。

しかも、ゼミ生の中には福祉・社会学に精通している学生や、福祉施設で働く社会人もいる。福祉やデザインの知識が乏しい私がついていけるのか、お先真っ暗な感覚。正直、「難しそうなゼミに来てしまったな」と感じていた。

他方で、「臨機応変」や「うっかりする」に向き合うことで、自分や福祉がどう変わっていけるんだろう?不安以上に、そんなワクワクも大きかった。

うっかりすること。答えのない問いに向き合うこと。苦手意識があるけど、頑張りたい!

これからのゼミへの不安と決意。相反するさまざまな気持ちが押し寄せていた。

「うっかり」実践、初級編

キックオフキャンプを終えたあとは、連日のオンラインミーティング!福祉の「余白になるかもしれないもの」をみつけるために、フィールドワークで「うっかり」しよう。だからその分、事前の準備は「しっかり」していこう。うっかりのために、しっかり?!

具体的にはまず、南高愛隣会さの職員さんや利用者さんとの、オンラインお話会を企画した。ゼミ生が何者か知ってもらうため、まずは依頼文と自己紹介カードを作成することに。

活動が想像以上に早く進んでいて焦っていた。「プロセスを大事にできているのかな?」と感じることもあった。そんな焦りや不安があったからか、担当した自己紹介カードやお手紙は、「しっかり」つくっていた。つくり込み過ぎたかな…と不安だったが、ゼミの仲間は「わかりやすくていいね!」といってくれた。自信がついたような気もする。しっかりも悪くない?!

しっかり作りすぎてしまった?利用者さんへの依頼文
こちらは、職員さんへの依頼文。おひよの絵が上手すぎる!

お話会の準備と並行して進めていたのは、ゼミ生のなっちゃんの発案でやってみたのは「ゼミメンバーを知ろう大作戦」。数名のグループごとに約30分ずつの自己紹介をして、それをもとに全体で他己紹介しあうというものだ。

じっくりと自己紹介をするなかで、うっかり、つらつら自分の話をしてしまう。なぜゼミに参加したのか、その人は何を大事にしているのか、自分との共通点や考え方の違いなどそれぞれの内面に迫る時間だった。

人の内面は、じっくり対話する中で、うっかり知れるんだ!こういう関係を、南高愛隣会のみなさんともつくれたらいいな…。

そんなことを思いながら、1か月で計8人の利用者さん・職員さんとオンラインでお話しした。訊くことや内容を決めず、「うっかり」出てくる話題に耳を傾けていく。

ある利用者さんはビーズアートが大好き。作品を実際に見てみたいなあ。乗馬療法を行っている職員さんとも話した。もっと馬のことを教えてもらいたい!「会いたい!」がどんどんと溜まっていく。

そんな時間ななかで、少しずつ私と「うっかり」との距離は縮まっていったような気がする。

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>>このエッセイは3部に分けて投稿しています!つづきはこちらから。

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|このエッセイを書いたのは|

永井 煌(ながい こう)
筑波大学理工学群社会工学類2年

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