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農家さんのお話~農家のプライド~

こんにちは、広報担当です。
8月7日はオクラの日、企画第二弾!オクラ生産量第一位の鹿児島県にある、オクラ農家さんを取材しました。

今回お話を伺ったのは、鹿児島県指宿市にある緑の宝石 前川農園の代表 前川信男さんです。
22年前に家業であるオクラ農家を継がれ、現在は、収獲期を除いて基本的には奥様とお二人で作業をされていらっしゃいます。
前川さんの畑では、春、夏はオクラを、秋、冬にはそら豆やブロッコリーを栽培されています。

前川さんご夫婦

オクラ栽培について

オクラ栽培の大変なところ

【前川さん】
オクラは成長が早い植物なので毎日収穫作業が発生するんです。そのため半年間は、雨であろうと、台風であろうと毎日収穫作業が必要なため休みがないんですよ。

一方で喜びを感じることもあるようで

【前川さん】
オクラは年に1回しか栽培しないんですよ。だから、22年間続けていても22回しか植えたことがないんです。そのため、一回一回がとても貴重で、挑戦なんです。
美味しいオクラを作るためにどうやって畑を作るか、試行錯誤しているときが楽しみでもあり、期待が高まる時ですね。
また、近年コロナの影響で、オクラに注目が集まっていますよね。おかげで売り上げも上がっています。それに伴い、メディアからの問い合わせも増え、オクラがスポットを浴びる機会が増えていることは、とても喜ばしいことです。

美味しいオクラを作るために工夫していること

【前川さん】
どんな状況下でもちゃんと育つように雨の多い年、雨が少ない年など予測しながら畑をつくることがとても重要です。
指宿には池田湖という九州最大のカルデラ湖があります。池田湖は、指宿の浄水にもなっているほどきれいな水なのですが、その水を使って栽培できるので環境として恵まれているかなと思います。

IPM実証実験について

2014年度から鹿児島県農業開発総合センターが研究を基に、指宿地区における露地栽培でのIPMの本格的な実証実験を開始しています。

【前川さん】
名称が難しいですよね、正式名称は IPM(Integrated PestManagement)、略すと「総合的病害虫・雑草管理」といいます。なかなか覚えづらいので、もっとわかりやすい名称にして、消費者にも伝わるようにしたいと動いています。

IPMとは簡単に言うと、害虫に対しての農薬の使用を少なくする取り組みです。通常、植物を栽培する上で、病気や害虫被害はつきものです。従来、そういった場合、農薬を使用していました。しかし、IPMでは、例えばオクラだと、アブラムシが主要害虫なのですが、そのアブラムシの天敵である、ヒメハナカメムシやテントウムシ等の土着天敵を呼び寄せることで、主要害虫であるアブラムシ類の防除効果を生み、必然的に農薬散布回数を低減することができるのです。実際IPMを導入してから、農薬の使用回数が3分の1に減っています。まだまだ研究中ですが、この取り組みはオクラに付加価値をつけることができるのです。

IPMのような取り組みは、ハウス栽培ではよく行われる手法でした。しかし、露地栽培で成功したのはこの指宿だけなんですよ。成功できた要因としては、指宿にはアブラムシの天敵が多く住み着いていることを先に発見することができたからだと思います。ですので、他県で同じやり方が通用するかというわれると、わかりません。同じようにまずは、その土地の害虫やその天敵についてよく調べる必要があると思います。

私たちはここで育ったオクラを、「てんとう虫と育てたオクラ」というパッケージで販売しています。パッケージには同様にIPMと記載をしているのですが、消費者にはピンとこないと思うので、この取り組みを消費者にも周知していくことも大切だと思っています。

てんとう虫と育てたオクラ

新規就農者が増えている指宿市

一般的に後継者問題や耕作放棄地が問題となっていますが、指宿市には新規就農者が増えているようです。

【前川さん】
指宿市はオクラ農家をやめる人より始める人の方が多いので、ここ20年ほどオクラの栽培面積は減っていないんですよ。その理由としては、手厚いフォロー体制だと思います。指宿市による金銭的援助や土地の情報提供などはもちろん、JAいぶすきなどが栽培方法について指導するため安心して始めることができます。また、オクラは広大な土地ではなく、比較的狭い土地でもオクラとそら豆などを組み合わせて栽培することで、農業で生計を立てることができるのも要因の一つだと思います。
これからもまだまだ増えていくと思いますよ。

規格外という概念

近年、規格外や食品ロスという言葉をよく耳にしますが、農家からみる規格外という概念についてお話を聞きました。

【前川さん】
私たち農家は、規格外をそもそも作ろうと思って栽培しているわけではないんです。よく、規格外品を加工して販売するから提供してほしいという要望を頂きます。しかし、規格外とひとくくりに言われても、どのレベルですか?と聞きたくなるんです。

私たちはプライドをかけて栽培しています。どのような形であれ、消費者が口にする製品になるのであれば、ましてやお金を頂くのであれば、なんでもいいから提供しようとは思いません。やっぱり自信をもって出せるものを提供したいんですよ。

もちろん、自然災害などで大幅なロスが出た際にはそのようなお声はありがたいなと思います。でも常時規格外品を待たれるというのは…私たち農家としては複雑な気持ちです。

オクラのおすすめの食べ方

最後におすすめのオクラの食べ方を教えて頂きました。

【前川さん】
新鮮なオクラが手に入るのであれば、浅漬けがおすすめです。
作り方はすごく簡単で、袋に水洗いしたオクラ、ニンニクスライス、塩昆布、白だしを少し入れて揉むんです。しばらく冷蔵庫に入れておくだけで出来上がりです。ポイントは、オクラを三等分に切っておくことです。そうすることで、粘りが出てとても美味しんですよ。

萎びたオクラの復活方法も教えて頂きましたので、こちらをご確認ください。

緑の宝石 前川農園
〒891-0311 鹿児島県指宿市西方2502-5
TEL・FAX :0993-25-3065
Instagram:@ibusuki_maekawanouen
Facebook :https://m.facebook.com/midorinohouseki/?locale2=es_LA


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