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mote#私の仕事(怖・短編小説)

『お前は下ろすつもりだった。』

毒親から子供の頃に聞いた言葉だ。

『お前は孫だと思えない。』

毒ババアから聞いた言葉だ。

生後半年で肺炎で死にかけ、3歳で車に3m跳ね飛ばされ、8歳で川に流され、12歳で線路で遊んで轢かれかけ、19歳で頭の直ぐ上を漁船が通った。

穴を掘って生き埋めになり、スカイスポーツで墜落した。

いつも死が近くにあり、無意識に死を意識した。

そんな人間が真っ当に育つ訳も無く、学校では問題児、社会に出れば警察沙汰を起こす厄介者になっていた。

親にも見放され会社もクビになり、食う為にはアルバイトしかなかった。

しかしそれも長く続かない。

そんな僕でも続く仕事が見つかった。

ウーパーイーツだ。

お客様はみんな良い人だ。

暖かい言葉をかけてくれる。

《遅えよ、麺伸びてるよ、どうすんの、箸はどうした、手で食えってか、なんだその顔は、クソが、もういい、行け、行けって言ってんだろ》

優しい言葉。

サービス向上努めます。

僕には子供の頃から特技があった。

本来その場から動けない筈の【地縛霊】を運ぶ事が出来た。

(死を考え過ぎたからか?)

地縛霊の居る場所で10秒止まると地縛霊が僕に憑依した。

そして僕が降りろっと念じたらス〜ッと降りて行く。

こんな特技、、役に立たないが、、

今日も常連の客に優しい目と言葉で労ってもらった。

《クソッ》

【あ!そうか!そうなんだ!】

《特技が役に立つじゃないか、、》

優しい客には多少大回りしても特別サービス。

途中調子が悪くなるが、帰りはスッキリ、ラララのラ。


これが【合法的呪い屋】稼業創業のエピソードでした。

mote  #私の仕事 



臼杵ともがら

臼杵ともがら さんの文から発案




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