目黒川沿いのポイ捨てをなくすアイデア
メーカーのインハウスデザイナーとして普段やらないような領域にある問題を見つけ、(勝手に)解決策を考える、題して「妄想サービスデザイン」。第1回目となる今回のテーマは「目黒川沿いのポイ捨てをなくすアイデア」としてみた。
近所を流れる目黒川には桜が立ち並び、春になると川沿いは桜色のアーチを楽しむ格好の花見スポットになる。また、朝は人が少ないので、近隣住民にとって駅までの通勤は最高に気分が良い。
しかし、そんな清々しい気分に水を差すのが「ゴミ」である。桜の木の根元や川にかかる橋の柱などに、プラスチック製のシャンパングラスや包み紙が置かれているのだ。それもちょっとした量ではなく、かなり大量に…。
なぜ人はゴミを捨てるのか?
まず、今年の花見時期にゴミが多く捨てられていた場所を振り返ってみると、「①桜の木の根元」「②川沿いのベンチ付近」「③路地裏の路肩付近」「④橋の柱付近」「⑤駅前の自販機周辺」であった。
①、②、③については、ゴミを放置しても目立たない場所である。しかし、なぜ人は目立たない場所にゴミを捨てるのだろうか?
これは、あくまでも推測に過ぎないが、幼児教育にて「道にゴミを捨てたらダメ!」ということを教わってきたことが影響している気がする。
教えに反する後ろめたさから誰にも気づかれない場所にこっそり捨てるのではないだろうか。ならば、この後ろめたさを助長することができれば、ゴミを捨てなくなるのかもしれない。
また、「④橋の柱付近」は格好の撮影スポットになっており、撮影時のため手に持っていたグラスや食事を橋の柱付近に置く。すると、インスタ映えする良い写真が撮れたことに気を取られそのまま置き忘れてしまう人が多いようだ。(悪意や後ろめたさはあまりないかも?)
あと、⑤を含む全てに共通する原因としては、まず共有のゴミ箱が用意されていないこともある。ゴミ箱があれば全てが解決するようにも思えるが、誰も自分の家や店舗の前にゴミ箱が置かれるのを歓迎しないのだろう。
一方、川沿いに立ち並ぶ露店にはゴミ袋が用意されている。しかし、基本的にその店で買ったものしか捨てられない(または捨てづらい)。さらに、目黒川沿いは混乱を避けるために一方通行となっており、買ったグラスやゴミ類を捨てる機会を失っているということも多々あると思われる。
ちなみに、以下の記事によると、区の職員や委託業者がゴミの回収にあたってくれているらしい。ゴミを捨てても勝手に元通りになるという有難さも、花見客がゴミを捨てる心理的な障壁を下げてしまっているのかもしれない。
解決策を考えるための問い
この問題に対する解決策を考えるため「ゴミを捨てることに後ろめたさを感じさせつつ、花見の楽しい雰囲気を邪魔しないようにするにはどうすれば良いか?」という問いを立ててみる。
まず、現状の容器は透明や白を基調としたものが多いため、風景に溶け込みやすい。するとポイ捨てするという後ろめたさを軽くしてしまっている気がする。また、容器が没個性的なものであるため、誰かが捨てたゴミが自分の持っているものとほぼ同じものとなり、「なんだ、これも捨てていいかも(よくないけど!!)」と同調行動を取ってしまうのではなかろうか。
vivid containers
そこで、ゴミを路上に捨てる後ろめたさを高めるため、露店で提供される透明や白を基調とした容器の代わりに、蛍光色を基調とした色鮮やかな容器や紙袋を目黒区が提供するというのはどうだろう。
夜でも目立つ蛍光色であれば、そっと地面に置くこともためらうだろう。また、色鮮やかな容器は花見をより賑やかなものとしてくれるはずだ。橋の上でインスタ映えする写真撮影に気を取られていても置き忘れることは減る気がする。
同じ色のゴミ袋に捨てることでゴミ量を平準化
また、隣合わない複数の露店ごとに色を割り当て、その色の容器であれば、他店で買ったものでも捨てることができるようにする。すると、食べ歩きをしながらでも、ゴミを適宜捨てるようになるし、露店ごとに捨てられるゴミの量をある程度平準化することができるかもしれない。
容器にかかるコストは区の財政に頼ることなるが、ゴミが減ることを見込んで清掃業務に当てる費用を転用、または、協賛を募り容器に社名を印字するなどすれば賄えると考える。
鮮やかな容器がインスタ映えの道具として消費されるだけではなく、人の行動を変え、花見客と住民がいがみ合うことなく価値ある街の景観をともに楽しめることができるようになればいい。
このブログを目黒区役所の担当者の方が見ることを(ちょっと)期待しながら、来年の桜シーズンを楽しみにしておこう。
おわり