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VRAA01に携わりました

こんばんは。
FUKUKOZYです。
本記事はxRArchiアドベントカレンダーの4日目の記事として投稿します。

前回は龍 lileaさんによる「Reality Capture エラーと対策」でした。


xRArchiについては、もう説明は必要ないですよね。

「え?知らないよ!」
って方はこちらの記事で少し触れていますので、ぜひご覧ください。

さて、上記記事の続編として2019年は「VRAA01」というイベントを行い、運営に関わりました。その私的なまとめを今年の振り返りとして投稿できればと思います。


VRAA01ってなに?

「VR Architecture Award(VRAA)」は前回の「VR建築コンテスト」から装いを変えて開催したイベント。
VRAAは一言で言えばVR空間デザインコンテストです。
ただ「コンテスト」と銘を打ってはいるものの競うことが重要ではなく、現在、VR空間を巡って広がりつつあるクリエイションの状況を世の中に広めることを目的としたものです。

ただ何かしら既存のフォーマットに乗っ取らないとイベントとしてなかなか周知することは難しいので、賞などを設けました。しかし、

現実と呼ばれる「実空間」とインターネットが拓いた「情報空間」が融合し、「新たな3次元空間」が生まれるとき、人はどのように 豊かに生きていくことができるか――。

と宣言するように、これから生まれるであろう新しい空間について、みんなで考える機会をつくることが目指すべきところであり、イベントフォーマットはこれからもディベロップしていける部分だと思います。
なぜ「VR建築」ではなく「VR architecture」なの?などは公式サイトに書いてありますので、ぜひご覧ください。

審査会の様子


なにをやったか

主にウェブサイトに載せるコンテンツや文言の細かい調整と、ワードプレスのテンプレートベースですがウェブサイトの構築、登録フォームの構築、広報などを担当しました。

自分はクリエイターでも技術者でもなく雑誌編集者が本業なので、自分が得意とする部分で何かしらの力になれればと思い、これらを担当することにしました。

すべてデジタル上で提出まで完遂させるコンテストのHPというのが意外と前例が少なく、「バーチャルマーケット」のページを大いに参考にさせていただきました。

また、かなり大変だった(純粋な作業量的に)のですが全提出作品のボードとそれに対するコメントの掲載はSNS上でリアクションいただいて嬉しかったです。これは上に書いたように「VR空間を巡って広がりつつあるクリエイションの状況を世の中に広める」ことが目的のVRAAにとっては必須なページだったと思います。

また当初の予定にはなかったのですが、参加をきっかけに記事などを書いてくださる方が多くいたので、急遽、関連記事の紹介ページも設けました(みなさんありがとうございます!)。

あとは、このコンテストの(個人的な)裏テーマとして、自分の専門分野である「建築」となにか接続させたかったので、コンテストの期間中に「architectureってなんなの?」を建築分野から考える記事などを書いたりもしました(時間なくてあまり書けなかった)。
そこまでリアクションがあるわけではありませんでしたが、個人的には引き続き考えたいことですので、このnote上で書いていければと思っています。

また8/18にリアル/バーチャルで開催された「VRAA MeetUp」ではTwitter実況を行いました。
Twitter実況するのはほぼはじめてだったので、読みにくい部分も多々あったかと思いますが、VoxelKeiさんに言及してもらったのは嬉しかったです。


VRAAのアイデア出しが始まったのが2月頃だったと思います。
それから8/18の「VRAA MeetUp」までの半年、仕事の合間の深夜などに作業していたので、正直大変で途中でくじけそうになりましたが、終わった今となってはやってよかったと思っています(まだ終わってない)。
VRAA02もぜひ参加したいです。


なんでやったのか

個人的な状況として「VR建築コンテスト」を開催していた時は、Oculus goしか持っておらず、舞台となったVRChatはデスクトップor無理やりgoで見る、しかできない状況でした。
その後、今年の4月にOculus riftを購入してから本格的にVRChatの世界をまわりはじめ、その世界の多様さに驚かされてばかりです(questも買いました)。
まあ、VRChatはソーシャルVRであるはずなのに一人でふらふらしたりして楽しんでいるのですが。また、そこで感じたことを文章に残すこともしてたりしてます。

大学の時は建築を専攻していて、3DCGに触れる機会などありました。しかし僕はむしろ機械音痴だったので、そういうのを避けて本ばかり読んでいる学生でした。そして、就職も雑誌編集なので、一層遠ざかるばかり。
しかし、なぜか2・3年前からUnityを触ったりして遊ぶようになり、Twitterで自由気ままに楽しい楽しい言っていたところ、番匠さんにxRArchiに誘っていただき、今に至ります。
今では、なんもわからん勢ではあるもののblenderやUnity触りつつVR空間について考えるのに楽しみを感じています。

ここまで書いといて理由らしいものはあんまないんですが、まああえて言うなら「楽しそうだったから」というのが理由でしょうか。


「フィクション」から「無数のほかの現実」へ

一応、なんで自分がそんなに興味を持ったのかもう少しちゃんと思い返してみることにしてみます。

2・3年前に共催していた建築系の勉強会で自分は「フィクション」について取り扱おうとしていました。それはフィクションを単なる虚構ではなく、現実に影響を与える「もうひとつの現実」として捉えたかったからです。
現実に生きる私たちはフィクションに影響を受けて人生が変わることもあることから、フィクションは私たちにとって非常に重要なものだと言えるでしょう。
おそらく私たち人間の別の認識機構としてフィクションが存在していて、それを通して(もしくはフィードバックしあって)現実を考えることで、別の視点が現れるんじゃないか、と当時は考えていました。

このマガジンとかはその時につくったものだったような

その時の考えを思い返してみると、VR空間に興味を持っているのは、当時の延長だと思います(しかしこれらの違いと繋がりについては整理しなければならない)。VR空間はまぎれもない「もうひとつの世界」として現れています。もうひとつどころか「無数の世界」ですらあります。

それらの世界はそれ自体で完結しててもいいし、世界同士が繋がることでまた別の世界を生み出しています。
それらの世界は現実とは違うルールが存在しています。しかし、「バーチャルリアリティ」の「バーチャル」が「表面的にはそうではないが、本質的はそうである」を意味するようにそれらの世界に存在しているルールはまったく荒唐無稽な架空のものではなく、私たちの生きる現実と何らかの形で関係を持っています。
そこで、VR空間について考え始めてから、新しく生まれてきているそれらの空間をこの現実と並列した「無数のほかの現実」として考えることで、何かまた私たちに新しい視点をもたらしてくれるのではないだろうかと思うようになりました。

このように現在のVR空間への興味は「フィクション」への興味から連続するものなのでした(回想終了)。


なにをしたかったか

さて、シンプルに言えば「楽しそうだから」という理由で参加したものの、VRAAに参加するからにはここで自分がなにをしたいのかを明確にしといた方がいいなという思いはありました。
その時に、VRAAが掲げている

現実と呼ばれる「実空間」とインターネットが拓いた「情報空間」が融合し、「新たな3次元空間」が生まれるとき、人はどのように 豊かに生きていくことができるか――。

というのはまさに自分が考えたいことで、これについて言語化することが個人的にしたいことだなと勝手に合点がいきました。

結果として、こうした先端的な場に居合わせることができたのはとても運がよかったと思いますし、なにより言語化以前に「VR空間デザイン」があるとしたら何が出てくるのか、それを誰よりも早く見たかったというミーハーな部分も本音です。
僭越ながら一次審査員をさせていただき、綴った審査コメントには自分の興奮が現れていると我ながら思います。

モノクロの世界。特別な仕掛けなどはないけどモノクロでゆらゆら揺れる草や炎が独特の慕情を誘って、個人的にめちゃくちゃ好き。。。隠し要素が初見ではわからなかったものの、「世界から色を抜く」というワンアイデアからスタートして全然感じ方が異なる世界を生み出しているのがすごい。たとえば、自分たちの普段の周りの風景から色を抜いたバーチャル空間があったらどのように感じるのだろうか、とか、少し深読みかもしれないが、発展性がものすごくあると感じた。
雨の駐輪場というフェティシズムど真ん中にくるような表現。音の減衰など細かいところまで詰められていて、世界観の表現が完璧にできていて最高。
VRマンガのワールド。歩いていくごとにコマが現れていく新しい体験。コマからキャラクターも出てしまったり、従来のマンガ表現における読者←→キャラクターの関係性のイマジナリーラインを超えるような試みを思わせる意欲的な作品。
空間を持ち歩く表現すごい...

忙しさにかまけてあまりVR空間に入れていない身としては、これだけ多くのVR空間を体験させていただきありがとうございます、と言うしかないばかりです。ここで得た経験を言語化するのは、今回だけでなく、これからの自分のやりたいこととなるでしょう。


Twitterのタイムラインには「無数のほかの現実」が広がっている

1年前には考えられなかったことですが、今の自分のTwitterのタイムラインにはさまざまなVRChatterの撮影したVR空間と、それ以外のリアル空間の写真が混在しています。自分のメディアも同様にVR空間とリアル空間が混在しています。

FUKUKOZY/Fukuda Koji(@hukukozy)さんのメディアツイート _ Twitter - Google Chrome 2019_12_01 22_34_38

つまり、ここにはすでに「無数のほかの現実」が実現しています。
こうした流れは今後より一般化し、すべての人が「無数のほかの現実」を享受する時代が必ずやってくると思います。
そういった意味でも、今から「VR空間」について考え記述することは非常に重要なことだと思います。


なにができなかったか

とまあ、ここまで華々しく書いてきましたが、VRAA01は現状はボランティアのイベントであり、有志の力によってなんとか実現できたものです。作業が特定の人に集中してしまい、大変な思いをしてしまった人もいると思います。イベントの持続可能性を考えると改善しなければならない点は無数にあるでしょう。
また、「世の中に広める」という目的を考えるならば、もっと多くの人の目に触れるための方法のディベロップを考える必要があります。
はじめての試みだからこそ得られた知見を次に活かして、より楽しいクリエイションの場をつくっていきたいなと思います。


2020年、なにをしたいか

まずは自分がまあ人よりかは多少できるかなという部分で、もっと積極的に「VR空間の記述」をしていきたいと思っています。
それはVR空間自体の記述でもあれば、建築からリファレンスした論考でもあれば、とにかくさまざまなことに思考を巡らせ、個人的に「VR空間」(そして、ならびに「XR空間」)とはなんなのかを言語化していきたいと思っています。
そうしたことは下記のマガジンに書いていく予定ですので、興味ある方はぜひ。情報交換も歓迎です(VRChatにはあまり現れませんが、xRArchiかVデザインラボのdiscordに普段は生息しています)。

また、これでも大学生の時は設計課題でものづくりをしていて、今年一年見てるばかりで創造欲つつかれまくりだったので、2020年は自分でなにかちゃんと制作してみようと思っています。
まずはVRChatのワールドかな。とにかくつくる!

とまあ、基本的にはxRすげー!みたいな感じで自分の専門性も絡めつつ楽しく思考&クリエイションしたいと思っているので、2020年もよろしくお願いします!

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