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XR空間を考える

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来たるべきパラレルリアルの世界へ向けて,XR空間について考える. 主として建築を参照しつつ新しく生まれつつある空間への思考を深化させるための断片記noteです.気になった方はまず… もっと読む
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VR演出についてかんがえてみた|後編:未来の話

「インタラクション」と「学習」についてphi16 全体的に話は盛り上がって、現在について言語化できたと思います。 ここからは「こういうの見たいよね」とか「こういう技術があるんだから、VR演出でこういうこともできるよね」「こういうのあり得ないけどめちゃくちゃ面白いし見たいね」など未来の話をしたいです。 坊主さんどうですか。 三日坊主 (笑) もうちょっと“影”を使いたいなと思っていて。“影”を使えば、もっと遊べると思っていて。 phi16・fotfla 分かる。 phi

VR演出についてかんがえてみた|中編:音と演出の話

B4の2D・3Dの音の使い分けについてらくとあいす せっかくなので音の話をしようかなと思います。 B4の中でも音の使い方が結構違ったなと思っていて。 大きく分けると2Dと3Dがあって。さらに細かく分けていくと2Dと3Dを両方使いながらというのと、使い分けを替えて混ぜていたり、2Dに振っていたり、音の種類と音の立体感の使い分けがそれぞれ特色合って面白かったなと思いました。 特にBeyond a bitの2Dと3Dの音の使い分けがすごく好きで。 楽曲って単純に配置した場合は3

VR演出についてかんがえてみた|前編:没入と主体と破壊の話

phi16 みなさん今回は集まっていただきありがとうございます。この回の目的は、まずサンリオバーチャルフェスのB4が色々面白かったというのはあるんですけど、それについて振り返るだけの会というよりは「これからのVR演出」について考える機会にできたら良いなと思っています。 今回は前半と後半に分けてお話しできればと思います。 前半ではこれまでの振り返りをしたいのですが、自分のつくった作品を解説するのではなく他の人の作品の「こういうポイントが面白かった・よくなかった」みたいな話がで

建築学生にとってソーシャルVRでのワールド制作が良いかもしれない話

本記事はワ探アドカレ12/16の記事です。 はじめに大学の建築学科などでは「設計課題」という、独自の演習授業があります。 いわゆる「建築家・設計者」や「空間デザイナー」と言った職能を目指す学生にとっては、実際に手を動かしながら学習ができる楽しい楽しい授業です。 筆者も大学では建築学科に所属していたので、学生時代はこうした課題に打ち込んでいました。 今自分は、VRChatワールド探索部で色々なワールドを巡ったり、たまに自分でワールドをつくってみたりしているわけですが、学生の

リアルとバーチャルの「梯子」をつくるーバーチャル空間を使った映像制作の"現在" 根本凪「タイニーグレープフルーツ」MV制作インタビュー

虹のコンキスタドール、でんぱ組.incとリアルでのアイドル活動を経た後、VTuberとして活動を開始した根本凪さん。 彼女の初のEPとなる「lume di spica」に収録された楽曲『タイニーグレープフルーツ』のミュージックビデオは、VRChatに実際にあるワールドを活用し制作されています。 リアルでは実際に行ける場所をロケ地として使い、映像を制作する事はあたりまえですが、これまでバーチャルでは「実際に行ける場所」を「ロケ地として」活用し制作される映像はあまり多くなかった

文脈の接続についての妄想─リアル/バーチャルのサンリオピューロランドから

2022年7月15日からサンリオピューロランドで開催されているショー「Nakayoku Connect」を見てきたので、久しぶりにキーボードを叩いています。 ──いたのですが、しばらく筆を置いてしまっていました。ですが来年も「SANRIO Virtual Festival 2023 in Sanrio Puroland」が開催されることが決まったそうなので、改めてキーボードを叩き直しています。 「Nakayoku Connect」は、昨年12月に開催された「SANRIO V

ワールド探索日記 2022/11/13

先週の、イギリスの独立系映画祭RAINDANCE映画祭のVR部門として10/26~11/26で開催されている「RAINDANCE IMMERSIVE」の特設ワールドツアーに続き、ノミネート作品のVRChatワールドを作者さんに案内してもらえるという貴重な機会があったので、参加してきました。 今回案内いただいたのは「Lost Valley Lake Retreat by nprowler」「Namuanki by Kevin Mack」の2ワールド。それぞれ趣向がまったく異な

ワールド探索日記 2022/11/6

Raindance Embassy By marirakuVRChatワールド探索部の特別回。 イギリスの独立系映画祭RAINDANCE映画祭のVR部門として10/26~11/26で開催されている「RAINDANCE IMMERSIVE」の特設ワールド「Raindance Embassy」をキュレーターのMariaさんにご案内いただきました。 「RAINDANCE IMMERSIVE」は今回で7年目らしく、VR作品を取り扱ったイベントとしてはかなり歴史があるように思えます。

ワールド探索日記 2022/10/2

今年の国際芸術祭「あいち2022」の一宮会場で2022年3月に閉館した「旧一宮市スケート場」が展示会場になっていると聞いて、それを見に行くためだけに愛知に遠征してきました。結果として色々な建物巡りができてよかったです。(今回は「リアルワールド」です) 旧一宮市スケート場スケート場自体、訪れるのが十数年ぶりくらいですが、スケート場の氷の下側をはじめて見ました。氷の下には無数のパイプが敷き詰められていて、これで常に冷やし続けることで氷を維持しているようです。理屈は分かりますが、

ワールド探索日記 2022/9/25

Acro-Exhibition By sisidoakuroVtuberとして活動する宍戸あくろ氏のポートレイトやグラフィックなどの制作物を展示したワールド。 「夏にとける。」という展覧会名を体現するようなワールドが興味深かったです。大きくポスターが貼り出されたバス停から始まり、強い日差しが差す坂道を登っていくと、堤防と海。海に面して建つ美術館らしき建物に大きく吊られたポスターの色味を周囲の白さがより引き立てています(内部に入ってポスターを見ると裏側から透けて見えるようにな

「VR」についてかんがえてみた vol.01 後編

前編はこちら 「主観」について──ソーシャルVRでゲームや物語を体験すること三日坊主 「VR」と名前がつくもので、「VR映画」や「VRゲーム」、「ソーシャルVR」があるじゃないですか。これまでに「主観」って言葉が出てきていたのですが、VRChatでヨツミさんの『PROJECT: SUMMER FLARE』に入っていくというのは主観性が強いソーシャルVRの中で、あえて縛られにいくみたいなめちゃくちゃ不思議な体験なのかなと思っています。物語に巻き込まれていき、それに気づいても進

「VR」についてかんがえてみた vol.01 前編

VRChatの内外を繋ぐ特殊な立ち位置三日坊主 この会は以前にphi16さんとfotflaさんと話している時に「タカオミさんとお話してみたいね」という話が出たところから「対談すればいいじゃん」と勢いで決まって始まりました。 そこで、今回は話すテーマとして「VRならでは」という、ある種超でかいテーマを良い感じに楽しくお話していただきたいなぁと思います。 まずは会話のスタートとして、二人はお互いのことどう思っていたかから始めましょうか。 phi16 まず最初にやっておきたいこと

ワールド探索日記 2022/8/15

Labyrinth By rokumori_MONDO GROSSO「ラビリンス」がロケ地となった香港の巨大密集住宅「益昌大廈」を再現したワールド。実際にはいったことないけど、そのおどろおどろしさが伝わってきて、実際に行ってみたくなるワールドでした。 アジアの密集住宅はたびたび映画やアニメの舞台として参照されることが多い。印象に残っているのであれば押井守氏が『イノセンス』を制作した時にキーワードにしていた「チャイニーズゴシック」。 「ゴシック建築」といえばパリのノートルダム

ワールド探索日記 2022/8/22

NarrowBuilding By haruki_haruラーメンの構造体の床・天井が穿たれ、そこに工事用足場や階段が掛けられ、移動できるワールド。 あちこちには配線が行き交い、ぽつりと灯る蛍光灯がそれらの姿を露わにしている。構造物の圧を感じる、(僕にとっては)居心地の良いワールドだった。 ところで、バーチャル空間ではこのようにあえて配管や配線、構造体を見せる空間を結構見かけることがある。現実の空間では、こうしたものはどちらかというと隠すように努力されることが多い。 これら