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日々雑感2018

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テキストなどを放り込んでいく場.基本的には読書録・映画録になると思います.2018年は精読を心掛ける!
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2018年7月の記事一覧

だらだらと書く自分の文章。的確な短い文章。

大学でのプレゼンの授業、論文の梗概を書くとき、など物事を説明するとき、そして社会に出てからはもっと顕著になる 「言いたいことは短く」 「短い文章で説明してこそ説得力がある」 ということだが、この文句には一定の同意を感じつつも、そうすることでそぎ落とされてしまう何かがあるのではないかともいつも思う。 自分自身がだらだらとした文章を読むことが割と好きで、そして自分が書くときもだらだらとした文章になってしまうから、そう思ってしまうのだろうか。 これはケースバイケースだと考える

「プレイグラウンドとしての展示空間」─ゴードン・マッタ=クラーク展

最近は活力がすっかりなくなってしまい,仕事以外で展覧会などに出かける元気もなかったのだが,ふと思い立ち国立近代美術館で開催されている「ゴードン・マッタ=クラーク展」へ行ってきた. ふらりと行ったのだが,これがまあ面白かった.ので,毎度のことながら考えがまとまらないままに綴ってみる. ゴードン・マッタ=クラークとは?恥ずかしながらゴードン・マッタ=クラークのことは取り壊し前の建物を切断する「ビルディング・カット」しか知らなかったし,若くして亡くなっていることも知らなかった.

雑誌のこと

プロ・アマ問わず、SNS上で誰でも創作物を発表できるようになった時代。作家性や嗜好がダイレクトに表れた作品が商業作品とはまた異なる角度で注目され、SNSでリツイート&いいねを大量に集める―いわゆる「バズる」現象が、日々繰り返されています。 プライベートな体験を描いたレポートマンガ、面白いアイディアをかたちにした造形物、プロが仕事の息抜きに描いたイラスト……etc。 クリエイティブの新しいかたちとして、SNS上で一瞬にして受け手に届き、そして消えていく。そんな環境を「SNSバズ

#建築をスキになった話─読書と建築─

汲み尽くせなさにこそ,建築の魅力はある と言ったのは誰だったろうか(もしかしたら誰も言ってないかもしれない). 知れば知るほど知らないことが増え,その蓄積に圧倒される,というのはあらゆる学問に言えることだが,中でも建築はほとんど人類の誕生と共に歩んできたような文化であり,その蓄積の途方もなさは一層とてつもないと言える. そんな意味が含まれたこの言葉がなぜだか,ずっと,頭の中に残っている. #建築をスキになった話「#建築をスキになった話」を考えてみるも,明確な理由は浮かん

『カラスとケータイのいる都市』 鈴木博之

「空間とは生産されるものである」というのは、H・ルフェーブルによる命題であるが、彼が説いたように現代の空間は実に多様に生み出されてきた。いわく経済空間、政治空間、商業空間、文学空間、音楽空間、絵画空間などなど。それらは全体として都市空間を断片化し、個別化していった。それらは強烈な空間ではあっても、根本的に断片的な空間であり、それらは現実の都市から括り出された異空間なのである。 ケータイによって人びとはそこにいながらそれぞれが断片化された孤独な異空間に飛び去っている(!)。

クラウドベースの協働作業・スモールスタート・データの転用可能性について|「BIM1000本ノック──BIMに対する解像度を上げるために」

建築を情報の観点から再定義しその体系化を目指す建築情報学会。その立ち上げのための準備会議が開催されている。 建築情報学会の準備会議の第2回は「BIM(Building Information Modeling)」を対象にして開催された. 建築設計における新しいワークフローとして登場したBIMだが,こういう企画が催されるということは,その浸透度はまだそこまでの段階ではないのだろう. 仕事柄,設計者から設計上でのBIMの利用についての話を聞くときには3Dの高精度なモデルでのシ

「サヴォア邸ツアーβ版」やってみた

「Unity」や「OculusGo」など個人レベルでも廉価でゲームなどを制作し体験できるようになった現代ならではの建築のトレーニングは考えられないか. と,そんな思いでポツリと呟きをしたところ,Cinema4DとUnrealEngineで近代建築の代表作ル・コルビュジェの「サヴォア邸」を巡る「サヴォア邸ツアー」を制作されている方からレスポンスをもらいました. β版は当初windowsのみでしたが,早速macでも操作できるように対応してくださいました. せっかくなので遊ん

うなぎ絶滅後の世界を描く「ポストうなぎSF」─『うなぎばか』

もしも、うなぎが絶滅してしまったら? 「土用の丑の日」広告阻止のため江戸時代の平賀源内を訪ねる「源内にお願い」、元うなぎ屋の父と息子それぞれの想いと葛藤を描く「うなぎばか」などなど、クスっと笑えてハッとさせられる、うなぎがテーマの連作五篇。 仕事が落ち着いたので,久しぶりに国内SF小説を買い漁り,読んでいる. まずは倉田タカシ氏の「うなぎばか」. うなぎ絶滅後の世界を描く「ポストうなぎSF」 というキャッチコピーで土用の丑の日に発売された本作 . 著者の前作『母になる

私たちの前に新たな存在が現れる─『遥かなる他者のためのデザイン』

本書は、メディアアートの実践者として、 また教育者として、最先端を走り抜けてきた久保田晃弘が、脱中心(=固着した人間中心主義から脱却すること、すなわち人間、ひいては社会が変わることを前提とした経験的想像力を超えたものづくり)を志向しながら、工学から芸術へ、「設計」から「デザイン」へと展開した、20年にわたる思索と実装を辿るデザイン論集です。 いま、何をつくったらいいのか? 見たことのないものを、なぜ人はつくれるのか? 真に新しいものをつくりだすということは、どういうことなの