痛烈な皮肉とユーモア&アオハル 弩級の反戦映画『肉弾』
特攻の出撃命令を受けた"アイツ"は、その時21歳6ヶ月。
出撃を明日に控えた〝アイツ〟は最後の自由な1日を過ごすために町に出た。その日は雨だった。
「アンタ特攻か…。特攻は神様だ!
神様なら神様らしくちゃんとして、傘なんか差すな!」
「神様は明日からです。
今日は人間です。今日は人間らしく傘を差したかったんです。
そんなことも許されないんですか。」
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「昭和20年生まれの男性の平均寿命46.9歳
昭和43年生まれの男性の平均寿命68.5歳。
戦争のあるなしでこれだけ寿命が違うもんかね。
試しに引き算してみるか。
68.5歳 ひく 46.9歳。
21.6歳。
こりゃ偶然にしてはびっくりだ。
あいつはあの時、ちょうど21歳6ヶ月だった」
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主人公に名前はなく、アイツとしか呼ばれない。
戦争を生き延びた人にとっての戦死した仲間たちへの気持ちを「アイツ」に託しているのでしょう。
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最近、特別攻撃隊を描いた日本映画が増えてますね。
ゴジラもある、鬼太郎もある、水上恒司もある。
しかもどれも大ヒット!!!
知ることはとても大事だし、無かったことになることほど悪いことはないので
描かれ続けることは素晴らしいことと思います。
が同時に、
特攻がどのような受け取られ方をしているのかは心配。
日本には"特攻"を描いた映画がたくさんある。
しかも戦争を体験した方々が作った映画がたくさん。
じゃ、見なきゃ。
てことで観ました。『肉弾』。
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タイトルとメインビジュアル、あらすじから考えられないような軽快さ。
青春の甘酸っぱさ。
そして馬鹿馬鹿しさ。
人間に対する温かい視線と
戦争に対する風刺と
全体的なコメディ感のバランスが素晴らしいと思いました。
寺田農のエネルギーと可愛らしさ。
この映画の中心にいる主人公としてものすごく求心力のある人物でした。
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