見出し画像

ネタバレあり 映画『ザ・ホエール』 リズ、背負わされすぎだよ 〜映画感想〜

ザ・ホエール(2022年製作の映画) The Whale
上映日:2023年04月07日 製作国:アメリカ 上映時間:117分
監督 ダーレン・アロノフスキー
脚本 サム・D・ハンター
出演者 ブレンダン・フレイザー セイディー・シンク ホン・チャウ タイ・シンプキンス サマンサ・モートン


連ドラだったら全14話くらいになりそうな濃密&鬼展開!



登場人物全員のバックグラウンドが濃厚だし
短時間でそれを発露してくるし
さらに粉塵爆発みたいにスパークして
「そんなことする?」みたな鬼っていうか悪魔の展開に。

観客全員がジェットコースター乗らされたかのようにあっちこっち上へ下へ天国へ地獄へ行かされた感覚。

***

内容詰め込み詰め込み入れ替わり立ち替わりでパンパンです
よ。



タル・ベーラ版のじっっっっっっくりとした上映時間7時間半のヤツも観てみたい(ない)。

***

娘の動きだけでも4時間観てられたと思う。



娘の存在・動きが面白くて面白くて。。
まさかこんなキャラだとは。。

〝悪魔〟の象徴ですよね。
でも〝悪魔〟じゃないよと。
ましてやキリスト教でいうところの悪魔なんかじゃないよ(ていうかそんなのいないよ、と)。

セリーヌ・シアマ版の娘主役ver.観たい(ない)。

***

見終わった後は感動に震えて
「5じゃない?ちょっと久々の5だよね」と興奮しました。

が、30分くらいで落ち着いたのでしたぁ。。。




ネタバレ?は以下に



なんで別の監督のバージョンが観たくなっちゃってるんだろうと思うと、、
やっぱ僕はどこか不満に思ってたわけです。


この映画では同性愛を拒否するキリスト教原理主義を完全拒否していて、僕も同じ気持ちではあるけど、
ここまで怒りの矛先を限定されると「気持ちはありがたいけど、映画を観にきたんだよなぁ」的な気持ちが一切湧き上がらないとは言い切れない。。


リズに背負わせ過ぎ。
主役のチャーリーの友人であり、
チャーリーの恋人の妹であり、
チャーリーのゲイの側面を受け入れている人であり、
一緒にニューライフに反発してくれる人であり、
近所に住んでるめちゃ良い友人であり、
看護師の技術でサポートもしてくれて、
呼んだらきてくれて、
叱ってもくれて、
笑わせてもくれて、
ゆったりした時間も過ごしてくれて、
しかも娘を優先したい時にはその場からサッといなくなってくれる人。
そりゃ第95回アカデミー賞で助演女優賞候補になるよ。
↑何人分演じてんのさ。

すごい便利に説明してくれる役なんですよね。
それをアジア人女性がやってるってのもやっぱちょっと引っかかるし。。

むしろ逆にリズの役は要らなかったんじゃないかと思いますよ。
そうすると映画がものすごく長くなっちゃう。
だから7時間半やるか、ドラマとして14話やるか、要素を削るか。


③舞台っぽい。
閉じ込められてる感、海の底にいる感はありましたよ。
意味も効果もわかる。

ただ俳優の位置や動きやミザンスが、どうしても舞台っぽくて、、ちょっと面白くなっちゃった。。

もうちょっと外の様子を映しても良かったのでは。

あの狭い(広い部屋だけどね。。)部屋に閉じ込められているチャーリーを外から映して、外界と断絶してる彼の印象を強めても良いんじゃないかなと思いました。

なんか逆に、チャーリーの元に人間たちが次々と集まってくるから孤独とか断絶感はなかったんよね。。


④「下で待ってる」が決まりすぎ。
チャーリーがいよいよ死にますと。
娘と二人にしてくれって言われて素直にリズは部屋の外に出ます。
「下で待ってる」とリズ。

階段なんて降りられるわけのないチャーリーにとっては死んで運ばれる時が唯一下に降りる方法。
それが今だと。
下で待ってる。

上手いんだけど。。。
言わないであげてそんなこと、、と思った。。
おしゃれなキラーワードだけど、、
チャーリーには言わないであげて。。
せめて閉めたドアの外で独り言のように言うとかね。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?