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司書講習のメリットとデメリット

私は司書の資格を司書講習で取得しました(もう20年ほど前ですが…)。
通っていた大学に司書課程がなかったのです。
最近、周囲に司書講習の受講を検討している人が何人かいたので、メリット・デメリットをまとめてみることにしました。

注:あくまでも20年前に受講した者の感想です。受講を検討されるかたは最新の情報をご確認ください。

司書講習のいいところ

出会いがある

大学の司書課程だとどうしても「まあついでだから司書でもとっておくか」くらいの人も多くいますが、わざわざ講習に通おうというのは必要に迫られた人なので、全体的に授業への熱意は高かったです。
私が受講したときも、脱サラしてきた人、海外で働いて帰国したばかりの人、主婦、書店員、現役の図書館員、などいろいろな立場の人がいました。学生の私にはふだん出会う機会のない人たちなので勉強になりました。
珍しかったのは「牧師さん」で、キリスト教の学校で専属?の牧師さんなのですが、なぜかその人が図書室の管理もすることになり「上司の指示で司書資格を取ることになりました…」と困惑していました。
同期のみなさんとは図書館のあり方について議論したり、協力して課題をこなしたり、親睦会をしたりと、良い思い出が残っています。

短期間で資格が取れる

司書課程なら4年間になりますし、「科目等履修生」という扱いで他大学に通って必要な単位だけを取る方法もありますが、1年くらいかかるようですし、通信教育だと最短でも半年くらい、長い人だと何年もかかったりするようです。
講習だと約2カ月で済むことになります。
短期集中なのでそのぶん日程的には厳しいですが、急いで司書をとらねば、という人にはおすすめです。

司書講習の困ったところ

費用がかかる

通っている大学の司書課程なら授業料の範囲内で済みますが、他大学の講習を受けると自腹になってしまいます。
私が受講した当時でも15万くらいかかったと思います。
学割が効かないので交通費も痛かったです。
私は実家暮らしの学生だったので生活費に困るということはなかったですが、その間ろくにバイトもできないので、最後のほうは貯金の残高が0に近くなっていました。

日程が厳しい

月曜から土曜、朝から晩までびっしり授業、毎週のように試験があり、合間にレポートや実習、研究発表の準備もしなければなりません。
夏場だったので、炎天下毎日駅から歩いて通うのは体力的にも厳しかったです(バス代を節約していました)。
当時の合格率は9割くらいだったと思いますが、落ちた人も試験が難しくてというより、通いきれなかったのですね。出席が足りないと単位が取れないので、ちょっと風邪をこじらせて1週間休むとアウトですし、仕事や家庭の事情で断念せざるを得ない人もいました。
今ならオンライン授業を多用しているところも多いそうなので、その点は受講しやすくなった部分はあると思います。
ただ通信なら楽勝というほどでもないようで、知り合いに通信で資格を取った人もいますが、夜中まで課題に追われていました(その人は仕事と育児をしながらの受講だったのでよけいに大変だったでしょうが)。

結局、元が取れるのか?

司書資格じたいの是非についてはこちらの記事に書いています。

司書講習の問題としては「司書を取ったところで図書館への就職が保証されているわけでもなく、かといって仕事と両立するには日程的に厳しい」というところでしょうか。
司書講習のために仕事を辞めるのはリスキーです。また運よく資格取得後に図書館の仕事が見つかったとしても低賃金の非正規、という可能性もあります。一般職の正規職員の場合「図書館に配属されたのでがんばって講習で司書資格を取ったが、そのとたん他部署に異動になった」という悲しい例もあります。
職場に理解があって講習費用も補助してくれ、受講できるよう勤務シフトも配慮してもらえて、資格取得後は資格手当なり専門職待遇なりで評価してもらえるなら最高ですが、なかなかそんなところはないようです。

お金と時間に余裕があるならいいですが、生活が逼迫している人には正直おすすめできません。

私は「図書館が好き」という能天気な動機で受講して、講習中は志を同じくする仲間と図書館について学べる喜びでいっぱいで、損得など考えていませんでした。
結果的に図書館で働くことになり、現在は司書を持っていない他の職員とは違う専門的な業務も担当しているので、たしかに役立ってはいるのですが、報酬面ではまったく報われていないです…。

今となっては「若くて時間と体力があるときに取っておいて良かったな」という感じでしょうか。

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