見出し画像

図書館のお仕事紹介(1)配架と書架整理

専門性についての記事でおおまかな図書館の仕事についてご紹介したのですが、個々の仕事についてもうすこし詳しく解説するシリーズを始めます。

配架は返却本や新着本を所定の場所に並べる業務、書架整理は請求記号順にきちんと並んでいるかチェックしつつ、位置を調整する業務です。

この二つは図書館の仕事としては入門編的な位置づけで、未経験の新人さんが入ってきたときは「まず配架と書架整理からやってもらおうか」となることが多いです。図書館に慣れつつ、棚の構成や配架場所を覚えてもらうのが狙いですね。
「そんなの誰にでもできるだろ」と思われるかもしれません。実際に単純肉体労働として軽んじられがちで、図書館によってはバイトやボランティア任せにして専門職員は関わらないところもあるようです。

私の勤め先では、管理職をのぞく全職員が老若男女雇用形態にかかわらず配架と書架整理に参加しています。じつはこの仕事、簡単に見えて意外と侮れないんです。

ベテランスタッフの作業を見ていると、すごい速さで請求記号を確認しつつ、誤配架されているものを抜き取って正しい位置に入れつつ、棚前面のラインに合わせて本の背をきれいに揃えていきます(←「背たたき」とか「ツラを合わせる」といいます。書店でもよく行われていますね。背が揃って見やすくなります。また内輪で「ここまで書架整理が入っているな」という目印にもなります)。本がぎゅうぎゅうに詰まっていると傷みますし、風通しが悪くなってカビなども発生しやすいので、適度なゆるさになるようにブックエンドの位置を調整したりもします。

この時、みんな自分の担当業務によって書架から情報を収集しているのですね。
修理担当「背が取れかかっているのやページがバラバラになっているのがあるな。ピックアップして後で修理しなきゃ」
選書担当「この辺の棚はもう情報が古いな。最新版に買い替えるか」
分類担当「この分類あきらかに変だな。この内容でここにくるはずない。入力ミスか?」
除籍担当「この本はまったく利用されてる形跡がない。棚スペースも限界だしとりあえず閉架書庫に回していずれ除籍かな」
レファレンス担当「このあいだ相談があった件、検索でヒットしなかったけどこっちにもっといい参考資料があった!しまったー」

とくに貸出をしないで館内で閲覧されただけの場合、貸出回数のようなデータに上がってこないので、書架をチェックする時の体感的な情報も重要です(「この本はよく動いている」「動いていない」という言い方をしたりします)。また利用者からするとレファレンスカウンターは敷居が高いようで、ちょっとした問い合わせは配架中のスタッフに来ることも多いです。

体力的にはけっこうしんどい作業ではあり、背ラベルを見るのは目も疲れますし、踏み台を上ったりしゃがんだりの繰り返しで、私も歳とともにきつくなってきましたが、やはり図書館員の基本と言うか、配架に始まって配架に終わるという感じで、この業務やめられないな、と思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?