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図書館のお仕事紹介(15)巡回

半端な時間にちょっと手が空いたな、というときは、館内を巡回することにしています。

警備上の巡回は警備員さんがしてくれているのですが、図書館員の巡回は別の目的があります。

「巡回している自分の姿を利用者に見せる」ことです。

「図書館員だけど質問ある?」みたいな顔で、ゲーム画面のモブキャラ的に館内をうろうろしつつ、書架の乱れを直したり、困っていそうな人にお声がけしたり、問い合わせを受けたりするわけです。
ちょっとした質問だとわざわざレファレンスカウンターまで行かなくても、巡回中のスタッフのほうが尋ねやすいようです。
このとき、わざとヒマそうにしているのがポイントです。図書館で働きはじめたころ「あまりカウンターやフロアで忙しそうにしないように。利用者が声をかけにくくなるから」と忠告されたことがあります。私はこれが苦手で、根がせっかちなせいか、たいした用がなくてもつい急いでしまうのですが、たしかに動作がゆったりしたスタッフのほうが質問を受ける率が高いようです。勤務中は声をかけられなかったのに、昼休みに館内を物色していると質問を受けてしまったりもします。「忙しいオーラ」が出ていないからでしょう。

図書館員が不定期に巡回していることは、盗撮や置き引き、本の無断持ち出しその他の迷惑行為の抑止にもなります。職員が事務室にこもりきりの図書館というのは、てきめんにフロアが無法地帯になるからです。
(昔の話ですが、館内で喫煙している人がいて青ざめたことがあります。こんな燃えやすいものに囲まれた施設で…!)

私は主担当が図書整理部門なこともあって、カウンターで利用者に接する時間がどうしても限られます。巡回は業務として認められるかどうかというくらいささやかなことですが、やはり事務室を出て館内を歩く、本を手に取る、利用者に接する、ということは大切にしたいと思っています。

そんなわけで、館内をヒマそうに歩いているスタッフは「ヒマそうな演技中」です(たぶん)。どうぞお声がけください。


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