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図書館のお仕事紹介(2) 目録

前回からだいぶ間が空いてしまいました…。

今回は「目録業務」のご紹介です。

1、目録とは?

図書館HPで蔵書検索をすると、本のタイトル・著者・出版社・出版年などのデータが出ますね。これを「書誌データ」といいます。
それに続いて、その図書館にある現物の請求記号・資料番号・登録番号・配架場所などが表示されると思います。これが「所蔵データ」です。
この「書誌データ」と「所蔵データ」を合わせたものが「目録」です。

今は目録と言えばほぼ機械上の目録データを指すと思いますが、昔は冊子体の目録が作られていたこともありますし、一定年齢以上のかたは、引き出しに入った「カード目録」で本を探した記憶をお持ちかもしれません。

この目録を作成するのが目録業務です。

2、目録は地味な仕事です。

じつは昔、目録は図書館業務の花形と言われていた時代があります。司書のなかで最も熟練した、専門知識のある人材が目録を担当していたのです。
今は花形業務と言えばやっぱりレファレンスですね。司書の専門性をアピールしやすく、利用者からもありがたみがわかりやすいですし。あるいは展示やイベント企画のような、対外的に発信する業務も華やかです。
それに対して目録は、何をやっているんだかよくわからず、同業者であるほかの図書館員ですら担当したことのない人は「なんか目録の人ってよくわかんないけどいつも細かいことで悩んでるなあ」ぐらいに思ってたりします。

何を隠そう、私は目録担当ということになっているのですが、べつに高度な専門性を有しているわけではなく、しかも実質的に何でも屋と化しており、他業務の合間にバタバタと目録も片づけねばならず、目録規則も必要に迫られて勉強しただけ、という始末なので、朝から晩まで目録をやっている専門のカタロガーと比べたら雲泥の差です。

目録の地位が軽くなった理由として「書誌ユーティリティ」というシステムが挙げられます。
これはつまり「同じ本の書誌データを各図書館が個別に作るのは無駄なので、他館が作ったデータをみんなが利用できるようにして、共同分担すれば効率がいいよね」という発想です。
これにより、目録の仕事のほとんどは人様が作ったデータをぽちっとダウンロードして、自館の所蔵データを入力するだけ、というものになり、大幅な省力化ができました。また書誌データ作成を専門に請け負う企業などもあり、公共図書館に多いのですが、新刊書と書誌データをセットで購入する方式を採用しているところもあります。そうなると書誌作成業務は完全に外部機関に委託して、自館には目録担当者を置かない、ということもあり得ます。

3、目録はあまり報われません。

とは言え、既存の書誌データを利用することができず、どうしても自館でひとつひとつデータを入力して書誌を作らなければならないタイプの資料も存在します。要するにみんなが買っているような一般的な新刊書とは真逆の資料です。

具体的に多いパターンは、
・外国で発行された資料
・極端に古い資料
・自費出版
・稀覯本
・一般の流通ルートに乗らない資料(非売品・社内報とか)
などです。

私のように普段は「ぽちっとダウンロード」式が基本でも、定期的にこの手の目録作業が回ってきて格闘することになります。
「1960年代のフランスのアイドル」みたいなタレント本の目録をとるためにフランス語のウィキペディアまで読む羽目になったり、まったく読めないヒンディー語を文字変換ツール頼みで記述したり、「ひげ文字」のドイツ語を解読したり、という外国語系の苦労もありますし、宝塚歌劇団の公演DVDを担当した同僚は「宝塚スターの名前って読み方がわからない…」と青ざめていました(映像資料はより面倒が多いです)。

時間をかけて情報の充実した目録をつくっても、件数的には「1件」にしかならないので業務委託の人などは数字だけ見ると怠けているように見えかねません。レファレンスではよく利用者から感謝されることがありますが、「目録つくってくれてありがとう!」と言われることはないですし…(べつに感謝されたくてやっているわけではないですが)。

4、目録には目録なりのやりがいがあります。

目録とは、「資料」と「その資料を必要としている利用者」をつなぐハブのようなものです。目録をとるときはいつも「この資料を必要としている人はどんなキーワードで検索するかな」と想像するようにしています。目録に不備があると所蔵しているはずの本が検索でヒットしない、という恐れもある一方で、目録の品質が向上することによって、今まで埋もれていた本に光が当たる可能性だってあります。地味ですが手を抜けない仕事なのです。

図書館の蔵書を検索するときは、呼び出されたデータを見て「どこかでこれをせっせと作ってる人がいるんだな」と思っていただけると嬉しいです。

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