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「優秀」という言葉にどうも引っかかるのだ

「今年4月に新卒で入社したAくん、とっても優秀みたいよ〜」とか「いや〜Bさんの部下はみんな優秀でうらやましいよ〜」とかそんな話って職場のいたるところでされてたりしないだろうか。職場のデスクや休憩室で、はたまた仕事終わりの飲みの席で聞こえてきそうな会話だ。在宅勤務で働いてる方もオンライン会議やチャットなんかでこんな話をしたりしなかったりなんじゃないかと思う。

この「優秀」って言葉。うーーーん。ぼくはなんか引っかかるんですよね。「え?ぜんぜん気になんないんだけど」って人のほうが多いだろうし、ぼくの思い違いなのかもしれない。ただどうしても腑に落ちない部分がある。例えて言うならば、ぜんぜん直らない寝癖みたいな感じで、どうも気になるし、なんとかキチンとセットしてあげたい気分。誰に頼まれたわけでもないけど (おそらく今後も頼まれることはないだろうが)、この引っかかりについて考えてみることにしてみた。

「優秀」という言葉を聞いてあなたはなにを思い浮かべるだろうか。ぼくは「優等生」みたいなイメージが真っ先に浮かぶ。教室の机にしゃんと座って(猫背や居眠りなんてもってのほか)、余計なことは言わず先生に聞かれたことに簡潔に答え、宿題だってばっちり期日までに出す。期末はいつもオールAの成績表を受け取って、それなのに涼しい顔してる。なんか行儀よさそうなのだ。『ドラえもん』で例えるならば、出木杉くんみたいな感じ (ぴったりやな)。『ハンターハンター』でいうならクラピカみたいな感じだ (ギリギリ当てはまるかな?)。『セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん』なら… (よし、そろそろやめよう)。

話を戻す。「優秀な人」に対して「仕事が出来る人」だったり「仕事で結果を出している人」だったりを想像するとどんな人が思い浮かぶだろうか。じっくり考えずとも、これまでの職場でエースだった人や今の会社で頼りになる人はすぐに想起されることだろう。その人は一体どんな人だろう?もちろん色んなタイプがいると思う。ものすごく話すのがうまかったり、資料の出来がいつもピカイチだったり、とにかく行動がはやい人だったり色々だと思う。

なんだけど、その思い浮かべた人は「優等生」のような感じだろうか?テストで毎回100点取ってそうな人だろうか?少なくともぼくの場合は違う。彼らはやたらメンタルが強かったり、ずるがしこかったり、バイタリティーに溢れすぎたりしていた。そんな彼らは、残念ながら決して「いい人」と呼べるような人物ではなかったりする。もちろん人によりけりだけども。

ここに「優秀な人」と「仕事で結果を出す人」のズレがあるのだと思う。これがきっと引っかかりの正体なのだろうと推察する。

仕事ができる人ってなんだ?

じゃあ「優秀な人」がぴったり当てはまらないのだとしたら、彼らにはどんな呼び方がもっとしっくりくるだろうか?

ぼくがひねり出した答えは「強い人」だ。彼らは強い。なぜか?それは武器を持っているからだと思う。「この分野ではだれにも負けない」という武器を携えている。この武器は人それぞれ違う。一番わかり易いのは頭がいいとかだと思うが、頭がいい順に仕事で結果を出しているかといえば決してそんなことはないはずだ。凄まじい集中力だったり、なんだか憎めないキャラクターだったり、とにかく数字に強かったり、なんならやたら難しい漢字に強かったり(うん、これはきっとそんなに需要ないだろう笑) などなど千差万別だ。

もう何年も前だけどこんなことがあった。アマゾンジャパンで働いていたときのこと。マーケティングの一貫でとある商品をフェイスブック上の公式アカウントでフィーチャーするなんてことがあった。そこで使用した動画の内容をめぐってあるチーム内で紛糾していた。「こんな動画をあげるのはメーカーに失礼だ!」という声に対して、その発案者である若い子は「そんなことない!」と徹底抗戦をしていた。彼女は見た目はまるでギャルのような子だったけど、ちょっとやそっとのことじゃあきらめない、強い心の持ち主だった。その衝突はだんだんエスカレートしていき、しまいには「けしからん!」と事業部のお偉いさんから厳しい指摘をされてしまうことに。となりの事業部で仕事をしながらこっそり様子を見守っていたぼくはとても心配になった。結局のところ、彼女は言いくるめられ、動画は削除する運びとなった。それである意味事態は収束したわけだけど、彼女は大丈夫だろうか?しょげたりヤキモキしたりしてるんじゃなかろうか?と気がかりだった。

その翌日のことである。オフィスの一角でなんとその彼女と真っ向から対立していたチームメンバーがニコニコと雑談に花を咲かせているではないか。おいおい、なにを話してるわけよと思ったぼくは、どさくさに紛れてそのデスクの近くまで足を運んだ。すると耳にしたのは「えー、今日の晩ごはんどうしようかなー!?ハンバーグ作っちゃおうかな〜。なやむぅぅー!」なんて話だ。衝撃的にどうでもいい話だ笑。そのどうでもいい話、よくその人とできるな!?とぼくは驚愕した。一日経ったとはいえ喧々諤々やってたじゃない。気まずくないの?というのが正直な感想だった。

ただ彼女はまったく後腐れがない人なのだ。ケンカするときはするし、おしゃべりしたいときはするのだ。この彼女の竹を割ったような性格に好感を持っていたのはぼくだけではないはずだ。その証拠に彼女は敵以上に味方にいつも囲まれていたような印象をぼくは持っている。ネチネチした性格のぼくだったら、どうやってあいつらをハンバーグにしてやろうかなんて考えるのだろうが笑、彼女の場合は違う。この性格というのは一見仕事とは関係ないように見えるかもしれないが、ぼくは大有りだと思っている。

なにで戦うのか?

ぼくらは一人ひとり違う武器をもっている。そしてそれはひとつだけではなく、実は何個も持っているはずだ (本人が意識しているかはさておき)。加えてぼくらは職場、もっというと社会のなかでなんらかの"ゲーム"に参加しているものだと思う。形はさまざまで、それは社会人だったらなんらかのプロジェクト、学生さんだったら試験ということになるかもしれない。いずれにせよそのゲームの中で「どの武器を使ったら勝てるのか?」をスマートに考えて勝負に臨む必要がある(と思う)。そしてどんなゲームに参加してるかで選ぶ武器も変わってくることだろう。教室という舞台ならテストで100点取れる学力は評価されて然るべきだし、エンジニアリングの分野なら技術力はあるに越したことないだろう。ではあなたがいる職場やプロジェクトではどうだろうか。あなたはどの武器で戦うだろうか?

今アメリカのテック企業で日々踏ん張ってるぼくは、この"なにで戦うか問題"と常に戦っている。言うまでもないことだけど、アメリカで生まれ育ってきた同僚PMにぼくが英語で勝てるわけがない。かといってエンジニアあがりでもないぼくが技術力で勝てるかと言われればもちろんそんなこともない。

じゃあなにで戦うか?--- 長くなってきたのでこんくらいにして、また気が向いたらこの続きを書くことにしよう。

最後まで読んでいただきありがとうございます。今日はフリーモントのバーで一杯ひっかけて帰ろうっと。

それではどうも。お疲れたまねぎでした!

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