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日米での仕事環境の違い -Amazonの米国本社に来て感じたこと-

この「福原たまねぎ」というNoteは元々「Amazon本社に来るまでの経緯や来てからの仕事のことを文章にしてご興味のある方に役立とう」という意図で始まった。アメリカ就職、そしていわゆるGAFAMのようなテクノロジー企業への就職を志す方にとって有益な情報を発信できればいいなと思っていた。

…だがしかし文章を書くこと自体がおもしろくなってしまって気付いたら全然関係ない釣りや旅行のことばっか書いているではないか。随分と気合入れてエッセイばかり書いているし(笑)。例えばこれとかこれとか。

これはまずい。まあまずいというほどでもないのだけど、ここからは少し方向性を修正して仕事関連の記事を積極的に出していこうと思う。もちろんこれからもくだらないことは書いていくつもりですが。そんな経緯については前回の記事で細かく書いたので一応リンクを貼っておきます。

では本題に。

ぼくはAmazon 米国本社のプロダクトマネージャーとしてAmazonのセール機能の開発に携わっている。経歴としては日本のフリービットというベンチャー企業で3年半、そのあとアマゾンジャパン (Amazonの日本支社)で6年の歳月を過ごしたあと、今アメリカに来て3年目になる。 日本で10年近くキャリアを積んだ上でアメリカで働くことになったわけだけど、アメリカに来てぜんぜん働き方が違うなと思う部分がたくさんあった。その多くはカルチャーショックとなってぼくの体にまだある意味で"違和感"として残っている。ここでは備忘録としてぼくが感じたことを記してみたい。

もちろんアメリカと一括りに言っても働く環境によって様相も変わってくるだろうからあくまで一つの例としてお届けします。

16時以降にミーティングはご法度

まずミーティングを実施する時間。これはアメリカに来てすぐ気付いたのだけど、16時以降に会議を設定することってまずない。ミーティングのほとんどは午前中に集中しており、たとえ午後に入っていたとしても遅い時間はありえない。これは推測だけど、アメリカ人は家族との時間をとても大事にするから16時以降はプライベートな時間としてブロックしているんじゃないだろうか。ミーティングがないからオフィスを出る時間や家で仕事を切り上げる時間も自然と16時付近になったりする。

日本でこんなことはありえなかったし、今もありえないだろう。ぼくが日本のベンチャーにいたときも、そしてアマゾンジャパンという外資系で働いていた時でさえ18時頃までミーティングが入っていることなんてザラにあった。もちろん「上司がオフィスで遅くまで働いているとその前に帰りずらい」という良くない風習もそこにはちゃんとあった。

アメリカの働き方に慣れると日本に帰った時にびっくりすることがある。一時帰国して友達と飲みにいこうと誘うと「じゃあ19時半集合で!」と返ってくることがあるが、いつもひっくり返りそうになる。「遅くね!?」ってなってしまうのだ。「アメリカが良くて日本が良くない」というような安直なことが言いたいのではないけれど「そんなに遅くまで働く必要ってある?」とは思ってしまう。

金曜昼からの静寂

毎週金曜日になるとお昼ぐらいから異様に静かになる。暗黙の了解としてそのぐらいの時間からSlackやメールの数がグッと減るのだ。みんな仕事をしていないわけではないが、まあ正直な話オフモードに転換しているのだろう。仕事をしつつ週末の遊びや旅行の準備をしているだろうということがなんとなく伝わってくる。

一度うちのチームのお偉いさん(プリンシパル・テクニカル・プログラムマネージャー)が大事なミーティングを金曜の15時ごろに入れたことがあった。それを見るや否やエンジニアたちがこう言ったのだった。

この時間にミーティングやっても頭働かないよ。来週月曜に移してくだされー。

そしたらそのお偉いさんも「OK、分かった」とあっさり認めて翌週に移した。そしてその翌週月曜日のミーティングは本当にエネルギー溢れる有意義なディスカッションが出来たのだった。

ぼくはこのあっけらかんとしたやり取りを見て思わず笑ってしまった。凄く合理的で自分に正直で、とてもアメリカ人っぽいなと思ったのだ。

朝はみんな早い

これまでの話を踏まえると単純に労働時間が短いという印象を与えかねない。けれどそうではない。

アメリカ人はみんな朝がとても早い。7時にはとっくにオフィスに着いて仕事を始めている輩もぜんぜん珍しくない。遅い時間に入らない代わりにミーティングが朝7時半から入っているということは普通にある。

ぼくは大体7時か7時半から仕事を始めるが、その頃には早起きのエンジニアからSlackで質問が何個も来ているというのが常だ。かといって「ぼくはわたしは早く起きて働いているのだからあなたもそうするべきだ」というような同調圧力は一切ない。

アメリカ人のメンバーが出張で日本のオフィスに来てたときのことだ。アメリカ人たちは朝7時にはオフィスに集まってメールを返したりミーティングをしたりしていた。そこから1時間以上経った後に日本のメンバーがぞろぞろとやってきて「日本人はみんな朝遅いね」と淡々と感想を述べてたことを思い出す。

アメリカ人は早く来て早く帰る。日本人は遅く来て遅く帰る。どっちがいいという話ではぜんぜんないけれど、こんなところにも働き方の違いが見えてくる。

(時間関係なく) ハードワーク

最後に一番大事だなと思うことを。ここまででアメリカ人の時間の使い方について述べてきたけれど実はどれも本質的なことではないかもしれない。

アメリカ人は(時間関係なく)めっちゃハードに働く」と感じることがたくさんあるのだ。16時以降はミーティングが基本入らないと書いたが、忙しい時期はみんな夜ご飯を食べた後に20時ごろからパソコンをもう一度立ち上げて夜中まで仕事に集中するということもある。そしてエンジニアたちも「ここが勝負」という場面をよく分かっていて、必要に応じて土日を返上して技術的な勉強をしたりプロジェクトの追い上げをしたりしているのだ。

総じて「働きたいときには働くし、働きたくないときには働かない」というシンプルな行動原理がアメリカ人の働き方には認められるような気がする。それは決してレイジーだということではなくて、「自分で働き方を決めてい
」ということに尽きると思う。


カッコいい3人組。バンドでも組んでいるのだろうか。

今日はそんなところですね。ここまで読んでくださりありがとうございました。少しでも気に入っていただけたらスキしていただけると嬉しいです。

夏のシアトルにて。夕暮れの海岸を散歩しながら。

それではどうも。お疲れたまねぎでした!


おまけ

もし「これからAmazonの採用面接を受ける予定だよ」という方がいらっしゃたらぜひ下記の記事も参照されたしです。ぼくがアマゾンジャパン・Amazon米国本社で面接を受けた時に準備したこと、そして自分がAmazon内で採用面接官をたくさんしてきた上でのアドバイスをまとめました。面接で話すべきエピソードの参考例もガッツリ記載してあります。

有料記事ですがお値段以上の価値はあると自負しています。ぜひお手に取ってみていただければ幸いです。ご購入された方にもご好評いただいており感謝でいっぱいです。

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