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Written by 福田洋介

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あまのじゃくな福田さんの音楽私論。 参考になるかならないかわからない、ちょっとした思考と考察のあり方を提言。
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記事一覧

吹奏楽のための風之舞(2003)

2003年第16回朝日作曲賞受賞作品
2004年全日本吹奏楽コンクール課題曲I
初演・大阪市音楽団
指揮・金洪才

楽曲のコンセプトは、「架空の歌舞伎の演目」のイメージ。勧進張、連獅子、忠臣蔵、風之舞…という具合に。

主に3つのモチーフをリズミカルに、またメロディックに展開して、絢爛かつ颯爽とした音世界へ。

もともと歌舞伎絵のイメージ映像につけるサントラ用にとメモしてあったスケッチをもとに、吹

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落ち着いて練習しよう

アンサンブルのチームで
「上手くならないのはチームワークや気合が足りないせいだ」と言う/言われることが多いけど、
その前に、原因は「落ち着いて練習できていない」からではないかと推理。

まず、演奏出来ているところ、出来ていないところの分別、
出来ないところの克服の作戦が各自にプランされているかどうか。

また、チームの演奏がまとまらない原因が、
あわてて練習せざるを得ないようなメンタルの状態にある

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楽譜・音符は読めないのが普通です

JBAゼミの資料をまとめている途中で、ちょっと思った。

「学生が譜面が読めないのは普通!」
と考えるといろいろスッキリする。

小学校中学校の授業で取り扱われる譜面に比べると、
吹奏楽の譜面は性質が多様で複雑。
それを「譜読みしときなよ」だけで放られても、
読めないものは読めないw

4拍子が主流のご時世、3拍子の譜面が来たらまず小節を数えるのは難しい。

maestoso=荘厳に、といっても、

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宿題のタイムスパン

レッスンの宿題にいくつか時間のパターンを設けるようにしている。

すぐに解決できそうな簡単な宿題

ピンポイントで粘ってもらう強めの宿題

時間をかけて考えてもらう大きめの宿題

成果がだいぶあとに出る長期の宿題

そして答えがない人生の宿題(笑)

(2014.12.17)

邦題と英題

WASBE Magazineに掲載して頂く、
拙作シンフォニックダンスに関する、楽曲解説とアナリーゼを作成中。
しかも最終的に刊行物で世界に向けて発信する内容の予定なので
(英訳されます)、
日本人だけでわかるだけの内容じゃイカン、と言い聞かせ続ける。

しかし詰まったのは、「お盆」と「雅(みやび)」の説明。
そして日本音階における「下行導音」の説明。
なるべくなるべく簡略化してこそ、やっと通じる

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過ぎると火傷するよ

部活も習い事も、
その「子供の」期間に与える課題命題というもののバランスって難しい。

ピアノを習わなくなった学生や
吹奏楽から離れた学生の話のいくつかに
「求められるものが大きくなりすぎて自分のやりたい事とは違う」
という声がある昨今。

もしかしたら与えすぎ、期待し過ぎの、アンバランス…

指導者やトレーナーはその分野の世界を輝かしくプレゼンするべきだし
学生に体験・経験させるべきだけど、

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スラーのはじめ

最近合奏でよく言ってること。

スラーが長くかかったメロディの最初の音は、単語の1語目。
はっきり子音を言わないと、
言い始めのわからないメロディになる。

スラーの真ん中の歌い込みに気をとられるけど、
最初の音がどこから始まるのかを示すことが最優先。
次につなぎ方、
そして言い終わり方。

よく感情込めて歌って!と言われると、
音符1つずつに対して表情をうわーんうわーんとつけたくなりやすい。

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吹奏楽を見てもらおう

吹奏楽のファン、
吹奏楽に関わってない人たちがもっと増えてほしい。

吹奏楽をやる人達は、
吹奏楽をもっと自慢して良いと思うんです。

…どうやったら吹奏楽に目を向けてもらうかって、
やっぱり部活からなんでしょうね。

高校野球はクラスメートが応援しに来てくれる。
ダンス部の公演も軽音もクラスメートが来てくれる。

吹奏楽部は、コンクールや演奏会に、
クラスメートが来てくれてるだろうか。
見におい

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×弱小バンド

「弱小バンド」という言葉。
やめた方がよい。

運動部の「弱小チーム」から来てるのだろうけど、
少人数でもこまやかな音楽やパッションな音楽は出来る。

少ないことは駄目の理論は音楽には要らない概念。
これは大人に言いたい。

(2015.2.21)

一般バンドの10年 = 学生バンドの1年

週一で活動する楽団の10年の合奏練習の時間を割り出した。

年間52週のうち50回、
4時間、
10年。
[ 50回×4時間×10年 ] =2000時間。
日数に直すと 83日分(24時間計算)

週7で活動する吹奏楽部、
1日4時間×5
休日8時間
[ 計36時間×50週 ] =1800時間。
日数に直すと 75日分。

…と、一般楽団の10年が学生チームの1年と比較するのは乱暴だけど、

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自分のことに感動したっていいじゃない

練習していて、
または創作していて、
自分または自分達が出した音楽の感じとか、
音の雰囲気とかに、
ちょっとしたことでいいから、
楽しかったり感動したり感激したりニヤニヤすることを、
もっと許せるようになればいいのにな、と思う。

合奏リハ中とかに、
他のメンバーが演奏している姿を直視しないようにする、のはなんでだろ…?
(見ちゃいけないものなのだろうか)。
そんな素朴な疑問があって、
自分が合奏

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「自信もって!」という投げかけについて

先日、教え子との話にドキっとした。

「もっと自信もって! って投げかけの言葉って、とても乱暴だと思う。
自分の中では相当の勇気を振り絞ったり、
確信をもってやり遂げたはずなのに、こう言われると、
自分の中の自信を完全否定されてしまい、
どうしたらいいのかわからなくなる。」

…そうか。
自信を持とうよね、という言葉が、
自信を得て、かつそれが実行と実益につながっている事を確信した人の
「上から

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参考音源 → 自分

「どんな演奏をしたいか」というところで、
スタイルを真似て終わるとか、先例に倣うだけであるだけでなく、
そこにひと工夫して「実はやりたいこと」を臆面なく表してみるチャンスが必要なんじゃないかと最近強く思う。
たとえば、参考音源は「参考」「手本」であって、
コピーのソースではない。

それにしてもわれわれ日本人は
「スタイル」と「先例」が好きで、
そのフォームに倣っていることが安心だったりする。

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母の死に向き合う

40歳を迎えてからというもの、
自分を生きるとはどういうことかと考えることが多い。
いまその時を生きる糧は「熱意」と「憩」か。
明日へ生き続ける糧は「欲」と「約束」か。
これらは大小に不足することもあるけど、
それは生きる中の「ひと休み」かも。
喜怒哀楽は生きてる証拠。

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死にゆく人は強いと痛烈に感じた昨夜。
敬愛するあなたに、本当にありがとう。

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先週に

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