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石破茂自民党総裁誕生をもたらしたもの。

自民党は危機モードにシフトした。自民党は以前から解党的危機に直面したとき、自民党を「ぶっ壊す」「洗い直す」という党内改革派、少数派議員が、世論や党員の人気を背景に主導権を握り、選挙で大勝して高支持率を維持して、自民党を蘇生させてきた。これが自民党の危機モードであり、代表的なのは小泉純一郎元首相や三木武夫元首相であるが、今回の現象もこれに近い。党内改革派、党内少数派の石破氏が、自民党の危機を党員支持と世論人気を背景に、自民党を改革するというモデルだ。こうした環境が石破茂新総裁を誕生させた。
この石破茂新総裁を生み出した要因はまず、旧安倍派を中心にした政治資金パーティ問題による改革刷新の必要性であり、岸田首相の決断による派閥の解消であり、総選挙で勝たねばならない世論人気であり、現在の様々な国難に対処できる政策能力であるが、これらの条件がすべて石破氏に有利に働いた。
石破茂新総裁がこれから新首相となり、組閣して日本政治を運営するために、自らが派閥の人材、パワーを持たない状況でどのようにして求心力を維持できるか。選挙での勝利、国民支持率、これらの要素がなければ、今回の総裁選で発生した党内の分断、溝は乗り越えられず、政権も維持できない。
石破氏がこれから依存する国民支持率、世論の支えは、現在の物価高、景気対策など経済政策、少子化・子育て支援問題などが柱となるが、安全保障・外交などを中心とした政策通であった石破氏にはまだ未知数である。政策実現、実行力に基づいた、それに対する国民からの人気、支持率を維持できなければ、政権基盤の弱い石破新政権はすぐに不安定化し、維持が困難になるだろう。
(※この記事は朝日新聞デジタルに日本大学危機管理学部・福田充研究室がコメントプラスした記事を転載したものです。)

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