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ブリュッセルで働く日本人ホテルマン

20代前半、バックパッカーをやってたときのこと、ベルギーの首都ブリュッセルに、夜になって到着した。

その日の宿を探さねばならない。時は11月。けっこう寒かった。

バックパッカーをやってると、駅から見てどのあたりに安宿エリアがあるのか、なんとなくわかるようになる。その法則は国内でも使えるから、たぶん万国共通なんだろう。大都市の構造みたいなやつ。

駅から適当な方向に歩いていくと、安宿風のホテルがあった。入って値段を聞いたら、日本円にして4300円だったかな。相場からすると安い。でも、俺にとっては高かった。

ガチで安い宿を探そうとしたら、もっと早い時間に着いて、ユースホステルみたいなやつに行くべきだった。でも俺は移動優先で、いろんな場所に行ってみたかった。

ちと高いよな…。しかし他を探すのもしんどい。疲れたわ。

そんな感じで迷ってたら、値段を教えてくれたホテルマンが、いきなり日本語で言った。

「うちに泊まっていったらどうですか? 悪くないと思いますよ」

完璧なイントネーションで、日本人ネイティブなのは明らか。30~40代のオッサン。日本人でも全然おかしくない外見だったけど、なぜ日本人がブリュッセルのうらぶれたビジネスホテルで働いてるんだ? かなりびっくりした。

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