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#1:沖縄の魅力を残す、これからの建設業の役割

沖縄の魅力

沖縄の魅力、それは、これまでの歴史の中で培われてきた多様性です。
15世紀に誕生した琉球王国時代に、貿易を通じて伝わった伝統工芸の数々、風土に合わせた建築様式など、独特の文化があります。
また、白い砂浜やコバルトブルーの空と海、やんばるの森や鍾乳洞などの大自然も沖縄の魅力の一部です。

やんばるの森

一方で、普段何気なく過ごしている日常の中にも魅力が隠れています。

例えば、個性的な街並み。
沖縄では、日本、米国、東南アジア、東アジア、それぞれの地域の影響を受けながら独特の街並みを形作ってきました。

代表的なのが、首里城を中心とする首里や壺屋周辺の街並みです。
赤瓦と琉球石灰岩で構成された朱色と白のコントラストが、太陽にまぶしく映えます。この辺りは、景色を保存する目的で景観条例が指定されています。

首里の石畳

また、コザの街も個性的です。
米軍統治下に、軍人や軍属向けのバーやライブハウスなどで栄えたコザは、今でも音楽の街として多くのファンを引き寄せながら、最近では商店街を活用したスタートアップの拠点にもなっています。

沖縄の台所の役割を担ってきた市場 (まちぐぁ)も魅力的です。
公設市場や、平和通りや市場本通りから細い路地にまで商店街が連なる風景から、アジアの活気を感じることができます。

公設市場のカラフルな魚たち

そして意外な穴場として、那覇市の東町・西町。
その昔、ここは那覇市役所や那覇市公会堂が存在した沖縄の政治・経済の中心地でした。現在でも、歴史を記す史跡がエリアに多く残っていて、悠久の歴史に思いを馳せながら散歩を楽しむことができます。

薩摩番所の史跡

街の魅力を引き立てるコミュニティの存在

これらの地域の共通点として、街そのものの個性に加えて、そこで活動するコミュ ニティの存在が、街の魅力をより高めています。

例えば、東町・西町には「サンシャイン通り会」という自治会があって、地域の交流や活性化を目的に活動しています。
年に1回、子ども大綱引き大会を企画し、東西に分かれて100人近くの子供たちが綱引きを楽しんでいます。福地組も、2021年から西町に那覇支店を構え、サンシャイン通り会に仲間入りしました。

3年ぶりの大綱挽まつり

通り会代表のカメラのモリヤマの森山会長のお店に遊びにいくと、昔から現在にかけてこの街がどう変わってきたかを説明してくれます。
戦前の東町・西町の写真や、森山会長が独自に調べた琉球王朝自体の絵地図もあって、当時にタイムスリップした気分を楽しめます。

会長との触れ合いも、街の魅力を楽しむ方法の1つです。

そのエリアのコミュニティとつながり、暮らす人たちの思いやドラマを感じながら、街のストーリーを紡いでいく。
そこにワクワクする街づくりのヒントが隠されています。

建設業の役割

街の個性や多様性は、ゆっくりと長い時間をかけて醸成されるもの。
生態系と同じで、一度壊してしまうとなかなか元に戻すことはできません。

建設業は、開発によって地域の様子を一変させる影響力をもっています。ゆえに、そのパワーをどこに向けるかが重要です。

特に沖縄は観光立県なので、観光客が増えるといたるところで新しいホテルや投資目的の分譲マンション、商業施設の建設が進んでいきます。
なかには、既存のコミュニティや地域のストーリーを無視して競争と乱立の様相をした開発も少なくありません。

街の魅力はなにか? 地域資源の本質はなにか?
その視点が、わたしたち建設業に求められています。

その点リノベーションは、1つの有効な手段です。

根こそぎ形を変える開発とは異なり、街の雰囲気を残すことができます。
例えば、今まで地域に愛されてきた場所を、バーやカフェに生まれ変わらせたりすることで、これまでとは違う人の流れをつくることができます。また、空き家になった住宅を、地域の見守り拠点や子供たちの託児スペースに変えることで、街の社会課題を解決する手段としても活用できます。

リノベーション工事(解体中)

わたしたちも、那覇東町のビルでリノベーションを通じたプロジェクトを進めています。
かつては、人がたくさん来て賑わった飲食ビルですが、現在上階部は空き店舗になっています。この空き店舗の活用を考えて、人の注目を集めるビルに生まれ変わらせたいと考えています。
下の階のスナックをそのままに、ママさんたちを求心力のある地域コンテンツと再定義して、ビル全体をリブランディングさせる計画です。

東町ビルの屋上からの眺め

地元の人との交流が楽しめるような場所は、観光客にとってもまた訪れたい場所になります。

1つの古ビルが、街そのものを元気にする存在に生まれ変わる。

リノベーションをうまく使って、街の雰囲気と多様性、その結果として地域の魅力を残す。
そんなワクワクした取り組みが、ここからスタートしていきます。

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