見出し画像

Drugに関して #12 Homeless in Vancouver (2014年7月の日記転載)

まず、カナダにおいてのmarijuana(マリファナ/大麻)について、

嗜好品としての購入は、厳密には違法ではあるが、
多くの人が合法かのように、そこら中で吸っているし、簡単に入手することができる

また、weed festivalという大々的な大麻祭りが、4/20にDowntownのArt gallery(美術館)の前 で行われたりする。(その時のblog→ 4/20 weed festival)

ただ、いくつかの国と同様に、医療用としての使用は合法とされている
また、約250種類の疾患に効果があるとされているため、割と簡単にその医療用使用ライセンスが取れるという話だ

Downtownを歩いていると、通りすがりの人や路地からマリファナの独特な匂いがすぐにしてくる
それくらい使用率が高いのだが、それがすべて医療用ライセンスを持っている人かというと、大半が違う
また使用していたとしても、警察に注意される可能性はほとんどない
あるにしても、違反切符を切られることもない

画像1


Hastings st.にある"The real compasion society"
いちよ"ライセンスをもっている人が購入できる"とされている店

4年前では、こういった"薬局"が5件ほどだったが、今では倍以上になっている
Downtown east sideやKings way沿いに店が集中している

依存性も少なくさほど副作用もないため、煙草よりも健康的だという人もいるので、マリファナに関してカナダでは違法なドラッグという認識が非常に薄い


YaletownのBarの看板にも、こんな風に書かれているくらいだし

画像2

では
ここで問題になっているドラッグとは、cocaine(コカイン)、crack cocaine(クラックコカイン)、heroin(ヘロイン)、crystal methamphetamine(覚醒剤)などになる

これらのドラッグは、依存性が非常に高く、ひどい禁断症状に陥る

Hastings界隈には、こういった薬物依存症の人たちがたくさんいる
副作用により浮腫んだ虚ろな顔の人、cocaine bug(コークバグ/コカイン虫:皮膚の下に小さな虫が這いずり回り体の中に入ってくる様な気持ち悪い幻覚になり、皮膚の下から取り出そうとする)により足や腕などに深い傷を作っている人や、禁断症状から発狂する人など

また時々、道を歩いていると、完全にキマった(薬が効いている)状態の人に出くわす

この間、衝撃的だったのだけれども…
よく、ホームレスの人たちがスーパーの大きなショッピングカートにいろんな荷物(私物のほかに、リサイクル可能な缶や瓶などを換金するために集めていたりするので)を下の写真のように積んで移動しているのだが、

画像3

歩道の真ん中で、直立状態で、顔だけを荷物いっぱいのショッピングカートに突っ伏して、微動だにしない人がいた…
よく道端で、薬物によって横たわっている人は見かけるのだが
あまりに歩道のまん真ん中で突っ伏したままだったので、住人のみんなもビックリして、彼をよけながらも、ブツブツ文句言ったり、振り返りつつ通り過ぎていた…

Oppenheimer Parkの向かいにあるDrug Users Resource Centre(薬物依存者の更生施設)

画像4


この界隈には、こういった更生施設もたくさんある
なぜこんなにも、ドラッグ依存の人がこの地域に集まっているのか

バンクーバーは、長年においてアヘンを供給するための北米の主要通関所だったため、アヘンやヘロインの使用が早期に普及するようになった
大恐慌時には、この地域の鉄道の通行権や空き地に失業者や貧困者が殺到したそうだ、つまりその頃からすでにその面影はあったことになる
1970年代には、この地域特有の貧困とアルコールの問題は、麻薬取引の拡大によってより悪化した。1980年には、クラック・コカインの知名度が高くなるのと同じくして、風俗(とくに売春)が特出してくる。1986年のExpo 86'開催に伴う大規模な街の再開発も、そういった問題の加速化や一極集中化させるきっかけとなったと言われている。

安宿や大衆酒場と娼婦や貧困層などが集まる地域には、アルコールやドラッグ依存問題も自ずと増えていく。
需要が増えれば、売人も増えるため、現在のような状態の一途をたどることになる
(このような地域のことをskid row(skid road/スキッドロウ)と言い、アメリカにも数か所ある)

画像5


また今や、低所得者層の住居(市が古いホテルを買い取った)やシェルター、soup kitchen(配給)や様々なサービスもある、仲間もいる、ある種の生きていくために必要な社会システムが、この地域だけで完結する仕組みになっている


では、ドラッグは違法なのに、こんなにもいるdrug addicts(麻薬中毒者)に対して、なぜ警察は動かないのかという話について
もちろん大元やギャングに関しては取り締まりを強化してはいるし、売人に対しての取り締まりもしているが、実際にあまりにも麻薬依存者が多いこと、またその過程が複雑であることもあり、日本とはかなり違うプロセスで、彼らに対応している。

この地域の状況、ドラッグの怖さ、警察と麻薬中毒者との関係性が、もっともわかりやすく、印象的で有名なドキュメンタリー映画がある
なぜか日本の賞も獲っているたので、知っている人も多いのかもしれないが、

1999年に撮影された" Through a blue lens"


さて、この映画の最初の方で、警察官が学校で子供たちに向けて薬物の恐ろしさなどを講義しているシーンがある

この講義をしている人、および、途中で撮影をしている警官なども出てくるのだが、
この警官たちは、"The odd squad productions soiety"といって、数人の警察官(vancouver police dapartment=VPD)が立ち上げたボランティア組織である

彼らは長年の間、Downtown Eastsideでの、薬物やアルコールによる絶望的な状況を目の当たりにして、そのあまりにも悲劇的な人生や犯罪に陥っていくのを防ぐべく、
とりわけ、十分な知識や判断力がないためだけにリスクの高い若者たちへの教育のために15年以上前に非営利団体として立ち上がった

ここでは、ドキュメンタリーの制作をはじめ、直接それを使って学校やコミュニティセンターなどでの講義、また、downtown eastsideの一日work shopなどもしているという


ドラッグについて話を戻すが、

Hastingsにおいて、有名かつ一見異様に見えるサービスがある

それが北米唯一といえる合法的な薬物注射施設"insite"(非営利団体)である

画像6

これは、特に注射器を使ったヘロイン、コカイン、モルヒネなどの薬物使用を対象としており
まずは、清潔な針の提供(HIV、C型肝炎などの感染症を防ぐ)、安全な量(致死量ではない)の摂取を監督すること
また、医療スタッフによる過剰摂取や薬物による傷に対しての応急手当、HIV検査、精神面健康面のカウンセリングなど受けることができる
“Insite safe injection clinic”

insiteで供給されるinjection set(注射器セット)

画像7

内部はこんな感じらしい。さすがの私も内部には入っていないです。

画像8

この施設の必要性、また合法として運営し続けていることについて、
この"the insite story"で語られている

これが、その"insite"でのサービスも含めたポスターになるのだが

画像9

insiteよりも簡易的なneedle exchange programme(新しい注射針の配布と使用済みの針の回収をしている、世界約14か国に存在している)をしているwashington needle depotという団体がある

carnegie centreのすぐ横の路地にあるのだか、矢印の先のこの小さな白い窓口から受け取ることができる

画像10


insite同様、注射針以外にコンドーム、crack用のパイプも配布している
また、路上に落ちている使用済の注射器をみかけた時に電話すると回収しにきてくれる
そのお蔭か、道端で注射器をみかけることがほとんどなかった。

画像11


↑注射器回収post
(portland hotel society=PHSが運営)


また余談なのだが、
この"insite"や"washington needle depot"などはPortland hotel societyという非営利福祉団体が運営している
通称PHSというのだが、ここはpigion parkの前にある"pigion park savings"という低所得者やドラッグ中毒者、ホームレスの人たちが利用可能な信用金庫、hastings urban farmというcommunity farmの運営、またいくつかの古いHotelを買い取り、精神疾患のある人、薬物中毒の人など、何らかの問題を抱える人たちの住まいとして提供している

画像12


"pigion park savings"の看板も好き

画像13


hastings urban farm
確か、木曜日に中で収穫された野菜を売っていた気がする

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?