【中学受験】国語の問題(漢字・文章読解・作文)②:小学校低学年向け
はじめに
はじめまして。福地暁といいます。塾・家庭教師に15年以上たずさわり、その間、3000組以上のご家庭に学習支援を行ってきました。
お子様の「国語の読解力」にご不安を感じてらっしゃいませんか?
最近の中学入試では、「小学生になじみのないテーマ」の長文が頻出です。テクニックだけでは解きづらくしているのです。こうした長文を読むには、「誰」「いつ」「どこ」「なぜ」といった情報を得ながら読む力が必要です。
しかも、ご存じの方も多いかもしれませんが、記述問題の出題割合が高くなってきているうえに、公立中高一貫校では作文が必須です。「読む」だけでなく、「自分に置きかえて考える」「書く」力が求められています。
そこで初見の文章を読みやすくなるように2ステップの読解トレーニングと、その文章をもとにした作文問題を1題用意しました。
問題演習の仕方
下記の順に演習できるようにしています。
漢字の勉強
↓
文章読解
↓
文章内容の理解チェック
↓
解答・解説を確認
↓
同じ文章をもう一度読解
↓
難易度をあげた問題演習
↓
解答・解説を確認
↓
作文
低学年の子どもが読めるように、漢字にはすべて読み仮名をそえています。ひらがなを多めにしていますが、固有名詞はあえて漢字のまま(ルビつき)にしています。漢字のまま覚えてほしいからです。
また、本文中のすべての段落に段落番号をふっています。解答・解説をチェックするときに見やすくしています。
問題に正解することも大切ですが、まずは文章をじっくり読んで、
「いつ」「誰が」「何を」
を意識しながら読めるように練習させてみてください。
最後に、文章を読んで「自分ならどうするか」をテーマにした作文を用意しています。「なぜ?」「どうすればいい?」を考えて書く練習です。
低学年の間は、小学校では「自分がどう感じたか」を書く練習をしています。「プラスα」の勉強としてはもう少し大人の視点(「なぜ?」「どうすればいい?」)から考えて、相手に伝える練習をできるようにしています。
ちょっとハードルが高いので、「できる範囲内」で取り組ませてみてください。
作文の解答例を載せていますが、そのとおりに書く必要はありません。何を書いていいかわからないときの確認用です。誤字・脱字もまだ気にしなくて大丈夫です。
【国語(こくご)のもんだい】
これからおなじ文章(ぶんしょう)を2回(かい)だします。1回目(かいめ)、2回目(かいめ)ともにもんだいをだしています。
1回目(かいめ)のもんだいはその文章(ぶんしょう)ぜんたいについてきいており、2回目(かいめ)のもんだいは1回目(かいめ)よりすこしくわしくきいています。
したに書(か)いているじゅんばんでもんだいをといてみてください。
①漢字(かんじ)をおぼえる
②文章(ぶんしょう)をよむ
③1回目(かいめ)のもんだいをといて、おおまかに文章(ぶんしょう)のないようをりかいする
④文章(ぶんしょう)をよむ
⑤2回目(かいめ)のもんだいをとく
低学年(ていがくねん)でもよみやすいように、ひらがなをおおめにし、漢字(かんじ)にはすべてよみがなをつけています。
漢字(かんじ)がよめると、文章(ぶんしょう)もよみやすくなります。まず漢字(かんじ)をおぼえてから文章(ぶんしょう)をよむようにしましょう。
また、固有名詞(こゆうめいし=ひとやもののなまえ)については、漢字(かんじ)のままおぼえてほしいので、漢字(かんじ)でかいています。
[漢字(かんじ)のもんだい]
つぎの漢字(かんじ)のよみがなをかきましょう。
①本日
②上
③杉
④名言
⑤人
⑥必ず
⑦思う
⑧取りくむ
⑨大きい
⑩生活
⑪収入
⑫少ない
⑬言われる
⑭商人
⑮返す
⑯自分
⑰同じ
⑱返す
⑲考える
⑳学校
[漢字(かんじ)のこたえ]
①本日:ほんじつ
②上:うえ
③杉:すぎ
④名言:めいげん
⑤人:ひと
⑥必ず:かならず
⑦思う:おもう
⑧取りくむ:とりくむ
⑨大きい:おおきい
⑩生活:せいかつ
⑪収入:しゅうにゅう
⑫少ない:すくない
⑬言われる:いわれる
⑭商人:しょうにん
⑮返す:かえす
⑯自分:じぶん
⑰同じ:おなじ
⑱返す:かえす
⑲考える:かんがえる
⑳学校:がっこう
[文章(ぶんしょう):1回目(かいめ)]
①本日(ほんじつ)は、上杉鷹山(うえすぎ ようざん)という武士(ぶし)について紹介(しょうかい)します。上杉鷹山(うえすぎ ようざん)はこんな名言(めいげん)をのこしています。
「為(な)せば成(な)る 為(な)さねば成(な)らぬ何事(なにごと)も 成(な)らぬは人(ひと)の為(な)さぬなりけり」
②どんなにできそうにないことであっても、ぜったいにやりとげると思(おも)ってあきらめずにとりくめば必(かなら)ずできる。できないのは、やりとげようと思(おも)って行動(こうどう)していないからだ。
という意味(いみ)です。上杉鷹山(うえすぎようざん)は、みんながあきらめかけていた大(おお)きな仕事(しごと)にとりくみ、やりとげた人(ひと)なのです。みんなから「すごい!」とほめられ、いまでも「上杉鷹山(うえすぎようざん)はすごい人(ひと)」と、尊敬(そんけい)されています。
③上杉鷹山(うえすぎようざん)は江戸時代(えどじだい)のひとで、1751年(ねん)にうまれて、1822年(ねん)になくなりました。いまから200年(ねん)いじょう前(まえ)のひとです。米沢藩(よねざわはん。いまの山形県(やまがたけん))という藩(はん)の藩主(はんしゅ。トップのひと。いまでいう知事(ちじ)みたいなひと)をしていました。
④上杉鷹山(うえすぎようざん)が藩主(はんしゅ)をしていた米沢藩(よねざわはん)はお金(かね)がなく、生活(せいかつ)がとても苦(くる)しかったのです。なぜお金(かね)がなかったかというと、とてもたくさんの武士(ぶし)が生活(せいかつ)していたからです。
このころは、藩(はん)のしごとを武士(ぶし)がして、そのかわりに武士(ぶし)やその家族(かぞく)がくらすためのお金(かね)を藩(はん)がだしていました。武士(ぶし)が少(すく)ないほうが藩(はん)はあまりお金(かね)をださなくてよかったのです。
多(おお)くの藩(はん)では、収入(しゅうにゅう)の3割(わり)(30%:ミカンが10こあったらそのうち3こぶん)を武士(ぶし)やその家族(かぞく)にはらっていました。
⑤上杉鷹山(うえすぎようざん)のいた米沢藩(よねざわはん)はどうだったかというと、じつに8割(わり)(ミカンが10こあったらそのうち8こ分(ぶん))をはらっていたそうです。①収入(しゅうにゅう)のほとんど全部(ぜんぶ)といっていいくらいです。
のこり2割(わり)で農民(のうみん)のために堤防(ていぼう)をつくったり、橋(はし)をつくったりしていました。幕府(ばくふ)(そのころの日本(にほん)政府(せいふ))から言(い)われた仕事(しごと)もしないといけませんでした。藩(はん)の仕事(しごと)をするのにとてもお金(かね)がかかるのです。
⑥ところが、米沢藩(よねざわはん)は収入(しゅうにゅう)のほとんどを武士(ぶし)やその家族(かぞく)にはらっていました。そのため、仕事(しごと)をするのにお金(かね)がたりず、②お金(かね)をもっている商人(しょうにん)にいつもお金(かね)を借(か)りないとやっていけなかったのです。
上杉鷹山(うえすぎようざん)が藩主(はんしゅ)になったころ、商人(しょうにん)から借(か)りたお金(かね)がたくさんになりすぎていました。
借(か)りたお金(かね)は返(かえ)さないといけません。ところが、米沢藩(よねざわはん)の武士(ぶし)は生(い)きていくのもむずかしいくらいお金(かね)がなく、とてもお金(かね)を返(かえ)すよゆうがありませんでした。
あまりにも苦(くる)しかったので、米沢藩(よねざわはん)の重臣(じゅうしん)=藩(はん)のきりもりをするえらいひとたち)は幕府(ばくふ)にお願(ねが)いをしました。
「もうやっていけません。米沢藩(よねざわはん)をかいさんさせてください。」
幕府(ばくふ)のえらいひとたちは、このお願(ねが)いをことわりました。
「ダメ。もうちょっと自分(じぶん)たちでがんばりなさい。」
⑦米沢藩(よねざわはん)のひとたちはもうどうしていいかわからなくなっていました。こういう状況(じょうきょう)で上杉鷹山(うえすぎようざん)は藩主(はんしゅ)になったのです。
⑧どうすればいいかを周(まわ)りの人(ひと)に相談(そうだん)し、上杉鷹山(うえすぎようざん)は次(つぎ)のような方法(ほうほう)を考(かんが)えました。
・みんなで一致(いっち)団結(だんけつ)して藩(はん)のたてなおしをする
・商売(しょうばい)をはじめて藩(はん)の収入(しゅうにゅう)をふやす
・よい考(かんが)えかたをするひとをそだてて、藩(はん)をじょうずにきりもりできるようにする
⑨まず、藩(はん)をたてなおすには藩(はん)にかかわるすべての人(ひと)が協力(きょうりょく)して、同(おな)じほうこうを向(む)いてがんばらないといけないと考(かんが)えました。そこで、武士(ぶし)だけでなく農民(のうみん)や商人(しょうにん)にも協力(きょうりょく)をおねがいしました。
⑩そして、藩(はん)の収入(しゅうにゅう)をふやさないといけないと考(かんが)えました。そのために米沢藩(よねざわはん)以外(いがい)の人(ひと)たちがほしがる商品(しょうひん)をつくろうとしました。たくさん商品(しょうひん)をかってくれたら、藩(はん)にお金(かね)が入(はい)ってくるからです。
⑪さらに、またお金(かね)をたくさんかりなくてもずっとやっていけるようにしようと考(かんが)えました。上杉鷹山(うえすぎようざん)がいくらがんばっても、そのあとにつづくひとたちがうまくできないと、また借金(しゃっきん)だらけになります。
⑫そうならないようにするため、学校(がっこう)をつくって藩(はん)をささえる武士(ぶし)をきょういくすることにしました。
「武士(ぶし)はみんなのためにがんばろう」
「藩(はん)は武士(ぶし)やほかのみんなの生活(せいかつ)をささえるためにある」
などの考(かんが)えかたをおしえました。
⑬さいしょにしょうかいした、「為(な)せば成(な)る 為(な)さねば成(な)らぬ何事(なにごと)も 成(な)らぬは人(ひと)の為(な)さぬなりけり」という名言(めいげん)も、上杉鷹山(うえすぎようざん)が武士(ぶし)たちにつたえた考(かんが)えかたの1つです。
⑭上杉鷹山(うえすぎようざん)のこうしたがんばりに賛成(さんせい)する人(ひと)がたくさんいて、50年(ねん)いじょうかけて米沢藩(よねざわはん)を立(た)てなおすことができたのです。
[もんだい1回目(かいめ)]
(1)この文章(ぶんしょう)は、だれについての話(はなし)ですか。そのひとのなまえを書(か)いてください。
(2)この文章(ぶんしょう)は、いつの話(はなし)ですか。文章中(ぶんしょうちゅう)からあてはまる言葉(ことば)をさがしてください。
(3)この文章(ぶんしょう)にでてくるひとは、なにをしたと書(か)いてありますか。つぎのア~ウから1つえらんでください。
ア:お金(かね)をたくさんつかいすぎた
イ:商人(しょうにん)になった
ウ:米沢藩(よねざわはん)をたてなおした
[もんだい1回目(かいめ)のこたえ]
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