見出し画像

第29回Book Fair読書会@町田~人見知りのおもてなし~

最近ねぇ、都内で図書館に関する学習会に、そっ、と出ましてね...

そこで、国内の先進的な事例として、四国の某町立図書館が「森の中をイメージした」「市民参加型の」「おしゃべり自由な図書館」として紹介されていたんですよ...

そしたらね、やだなぁ~、素晴らしいなぁ~、行ってみたいなぁ~、怖いなぁ~って...

でもね...東京にもそういう所、あるんですよ。広さでは負けるし、公共図書館でもないけど、とっても楽しいんですよ…...

ヒント:町田

はい!ということで、第29回Book Fair読書会は、(いつもお世話になっております!)まちライブラリー@南町田グランベリーパークで開催しました!

今回も満員御礼、ありがとうございます!!初参加の方も多く、とても嬉しいことでした(そして遂に、古代ローマからもご新規さんが!)。


それでは、本の紹介をどうぞ!!(〈〉内数字は参加回数です)

シャールさん〈5〉→エンリケ・バリオス(訳:石原彰二)『アミ 小さな宇宙人』徳間文庫

画像1

2000年の刊行時は552円だったのに、絶版で入手困難となり、現在ネットで探しても10倍近い価格になっている希少本。

地球人の少年ペドゥリートが、宇宙人アミと出会い、宇宙を旅する物語です。彼らは旅の中で、争いも悩みもない理想の世界を目にします。

アミは、理想の世界(オフィル星)の人々を「ものごとを問題としてとらえるのではなくて、乗り越えるための自分じしんへの挑戦として解釈している」と紹介します。

シャールさん:理想の世界は、突然できるとは思えない。でも、いつかはできるという気持ちで人と接していれば、自分の幸福感が上がるなあと思いました。夢物語とするか、自分ごととしてとらえるか?読み方はあなた次第です。

【つながり本】エーリッヒ・ショイルマン『パパラギ はじめて文明を見た南海の酋長ツイアビの演説集』SB文庫→クニちゃんさんから

こーせーさん〈23〉→有川浩『県庁おもてなし課』角川文庫

画像2

「分厚めだけど、2日で読み切る」ほどの面白さ!

こーせーさんは、作者の出身地・高知が舞台である「地域応援型エンタメ小説」を紹介。

こーせーさん:観光資源の魅力を伝えるには、「おもてなしのマインド」が、一人ひとりに必要だと感じました。

例えば、高知のホテルで、ご当地の美味しいものが食べたいのに、北海道のカニやフランス料理が出てきたらがっかりですよね。地域でやりたいことがあっても、問い合わせ先が分からなかったり。

大切なのは、自分たちの良い所を知ってもらいたい、相手に満足してもらいたいという姿勢。おもてなし課の「お役所仕事」がどう変わっていくのか、注目です。

かなさん〈3〉→若林正恭『社会人大学人見知り学部卒業見込 完全版』角川文庫

画像3

かなさんが、最近読んだ芸能人の本で、一番面白かった!と紹介してくれたのが、オードリー・若林さんのエッセイ。

「飲み会の断り方」「ハードな言葉をソフトにする作業」「うるさがられない説教」など、人見知りならでは(?)のコミュニケーション術が、共感を誘います。

かなさん:「まずい」→「独特なお味」、「ボロい」→「趣がある」「クソみてぇな奴だ」→「パンチの利いた人ですね」といった言い換えは、使えそうと思いました(笑)

本紹介後の”感想戦”では「読書会に来る人は、人見知りが多いんじゃないか」(byこーせーさん)という説も!

確かに、本が間にあれば、知らない人との話題も広げやすいし、自分の考えも表現しやすいですよね(→私も)…人見知りの皆様、読書会デビューはぜひBook Fairで!!

ちえ坊さん〈初〉→垣谷美雨『老後の資金がありません』中公文庫

画像4

この日の参加者では最年長のちえ坊さんが、「皆さんにとっては、20~30年後に共感できるお話かもしれません」と取り出したのはこちら!

主人公の50代女性は、娘の派手婚で300万、更に舅のお葬式と出費が重なり、貯金がピンチ!コメディタッチな小説だけれど、なんだか将来、笑えないことになりそう…

ちえ坊さん:垣谷美雨さんは、50~60代の人が直面する社会問題と、それによる心の「揺らぎ」を描くことに長けた作家さんです。「親にプレゼントしたい」一冊にもなりそうですね。

若者勢(?)からは「老後どころか、今も資金ないよ~」「年金ってもらえるの?」なんて嘆き節も聞かれましたが、読んだらちょっと気楽になる…かも。

クニちゃんさん〈初〉→筒井康隆『旅のラゴス』新潮文庫

画像5

都市と地方、過去と未来、文明と超能力…分裂し、混沌とした世界を旅する主人公・ラゴスの求めるものは「記憶」でした。

クニちゃんさん:面白い設定は「集団転移」。多くの人の念が揃うと、一斉にワープする現象が、語り継がれている世界があるんです。

読みながら、「記憶とか、人間の脳みそとは?なんて、ぼんやりと考えた」とクニちゃんさん。短い小説だけれど、物語は壮大で、爽快な読後感があったそうです。

ラゴスと共に、読者の思考も縦横無尽。文系理系問わず、美しい文体と、不思議なストーリーを楽しめるSFです。

アウグストゥス帝さん〈初〉→野津寛(編著)『ラテン語名句小事典』研究社

画像6

「最近、就活でなかなか本を読めなくて」というアウグストゥス帝さん。欧州において言語のルーツである、ラテン語の名言集を持参してくれました。

アウグストゥス帝さん:今でもラテン語は、世界中の人々に使われています。例えば、米では〈全ての人に正義を〉(ワシントン)、〈命ある限り希望あり〉(サウスカロライナ)など「州のモットー」が掲げられていますが、これもラテン語の格言です。

ちなみに、アウグストゥス帝さんのお気に入りは、哲学者セネカの〈どの港を目指すか知らぬ者は、いかなる風も順風ではない〉。ふ、深い…私なんて、いつもあてなき航海に出がちなだけに。

なにせ、皇帝も就活をする時代。「短くても本質を突く」言葉の力は、とても重要ですね。

ふっかー〈29〉→三島邦弘『計画と無計画のあいだ』河出書房新社

画像7

「原点回帰の出版社」をテーマに活動している、ミシマ社の代表・三島邦弘さんの著書です。

大手に比べ、刊行ペースはゆっくりでも、丁寧に本を作り、粘り強く読者に届ける。そんな「一冊入魂」の日々が、成功も失敗も盛り沢山で綴られています。

ミシマ社は、古びた一軒家に”野生味ある”オフィスを構えたり、資金が底を付いた状況であえて新人を雇ったり…。そして、取次会社を通さない「直取引」や、手売りにも力を入れます。

まさに「計画と無計画のあいだ」を揺れ動く、自由な本作りへの挑戦。それはクスッと笑えるだけでなく、「出版に必要な構造変革とは何か?」と考えさせられます。

参加してくださった皆さん、改めてありがとうございます!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?